【第二種衛生管理者過去問】2024年4月公表問題|問24|脂肪の消化吸収と脂質代謝|胆汁・コレステロール・エネルギー代謝|労働生理を解説

出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)4月公表問題|労働生理第24問

問題

脂肪の分解・吸収及び脂質の代謝に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 脂肪は、膵(すい)臓から分泌される消化酵素である膵アミラーゼにより脂肪酸とグリセリンに分解される。

(2) 胆汁は、アルカリ性で、消化酵素は含まないが、食物中の脂肪を乳化させ、脂肪分解の働きを助ける。

(3) 肝臓は、過剰な蛋白質及び糖質を中性脂肪に変換する。

(4) コレステロールやリン脂質は、神経組織の構成成分となる。

(5) 脂質は、糖質や蛋白質に比べて多くのATPを産生するエネルギー源となるが、摂取量が多すぎると肥満の原因となる。

第二種衛生管理者|脂肪の消化吸収と脂質代謝を解説

脂肪の消化では、脂肪を分解する酵素と、脂肪の分解を助ける胆汁の働きを区別することが重要です。答えは(1)です。脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する主な消化酵素は膵リパーゼであり、膵アミラーゼはでんぷんなどの糖質を分解する酵素です。酵素名と分解する栄養素の対応を取り違えないことが、この問題の正誤判断の中心です。

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(1) 脂肪は、膵(すい)臓から分泌される消化酵素である膵アミラーゼにより脂肪酸とグリセリンに分解される。

不適切です。脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する消化酵素は、膵アミラーゼではなく膵リパーゼです。アミラーゼは主にでんぷんなどの糖質を分解する酵素です。名称が似ていても、アミラーゼは糖質、リパーゼは脂肪、プロテアーゼ系の酵素は蛋白質というように、分解する対象が異なります。この選択肢は、脂肪の分解産物である脂肪酸とグリセリンの部分は正しいものの、酵素名が誤っているため、全体として誤りです。

(2) 胆汁は、アルカリ性で、消化酵素は含まないが、食物中の脂肪を乳化させ、脂肪分解の働きを助ける。

適切です。胆汁は肝臓でつくられ、胆のうに蓄えられた後、十二指腸へ分泌されます。胆汁そのものには脂肪を直接分解する消化酵素は含まれていませんが、脂肪を細かい粒にする乳化作用があります。脂肪が細かく分散されると、膵リパーゼが働きやすくなり、脂肪の消化が進みやすくなります。つまり、胆汁は「分解する」のではなく「分解しやすくする」働きを持つと理解すると整理しやすいです。

(3) 肝臓は、過剰な蛋白質及び糖質を中性脂肪に変換する。

適切です。肝臓は栄養素の代謝に深く関わる臓器です。摂取した糖質や蛋白質が体内で必要量を超えると、余分なエネルギーとして中性脂肪に変換され、脂肪組織などに蓄えられます。蛋白質はそのまま貯蔵されるのではなく、必要に応じて代謝され、余剰分はエネルギー源や脂肪の材料として処理されます。脂肪だけを食べると太るのではなく、糖質や蛋白質でも過剰に摂取すれば脂肪として蓄積される点が大切です。

(4) コレステロールやリン脂質は、神経組織の構成成分となる。

適切です。コレステロールやリン脂質は、単に肥満や動脈硬化に関係する物質というだけではありません。細胞膜を構成する重要な成分であり、神経組織にも多く含まれています。特に神経細胞や神経線維の構造を保つうえで、脂質は重要な役割を持ちます。コレステロールは悪いものとして扱われがちですが、体内では細胞膜、ホルモン、胆汁酸などに関わる必要な物質でもあります。

(5) 脂質は、糖質や蛋白質に比べて多くのATPを産生するエネルギー源となるが、摂取量が多すぎると肥満の原因となる。

適切です。脂質は1g当たりのエネルギー量が大きく、糖質や蛋白質よりも多くのエネルギーを生み出す栄養素です。そのため、体にとって効率のよいエネルギー源になります。ただし、摂取量が消費量を上回ると、中性脂肪として体内に蓄積され、肥満の原因になります。脂質は必要な栄養素ですが、過剰摂取が問題になるという理解が重要です。

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この問題で覚えるポイント

脂肪を分解する主な消化酵素は膵リパーゼであり、膵アミラーゼは糖質を分解する酵素です。胆汁は肝臓でつくられ、胆のうに蓄えられ、十二指腸に分泌されますが、消化酵素は含まず、脂肪を乳化して膵リパーゼの働きを助けます。脂肪の消化では、胆汁が脂肪を直接分解するのではなく、脂肪を細かくして消化酵素が作用しやすい状態にする点が重要です。肝臓は糖質、蛋白質、脂質の代謝に関わり、過剰な糖質や蛋白質を中性脂肪に変換する働きがあります。コレステロールやリン脂質は細胞膜や神経組織の構成成分であり、体に不要な物質ではありません。脂質は糖質や蛋白質よりも多くのエネルギーを産生する栄養素ですが、摂りすぎると中性脂肪として蓄積され、肥満につながります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、脂肪の分解産物である「脂肪酸とグリセリン」という正しい内容に、誤った酵素名である「膵アミラーゼ」を組み合わせている点です。文章の後半だけを見ると正しそうに見えるため、酵素名まで確認せずに判断すると誤答しやすくなります。アミラーゼは糖質、リパーゼは脂肪、ペプシンやトリプシンは蛋白質という対応を固定して覚えることが大切です。また、胆汁は脂肪の消化に関わりますが、消化酵素を含まないため、脂肪を直接分解するわけではありません。「脂肪の消化に関わるものはすべて酵素である」と考えると混同しやすいです。脂質は肥満の原因としてだけでなく、細胞膜や神経組織の材料にもなるため、日常的な悪いイメージだけで判断しないことも重要です。

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