出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働生理第25問
問題
腎臓又は尿に関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは次のうちどれか。
(1) A、B
(2) A、C
(3) A、D
(4) B、C
(5) C、D
第二種衛生管理者|腎臓と尿の仕組みを解説
腎臓は、血液をろ過して原尿をつくり、必要な水分や栄養成分を再吸収し、不要なものを尿として排出する臓器です。答えは(5)C、Dです。糖はボウマン囊中に濾し出されますが、通常は尿細管で再吸収されるため尿中にはほとんど出ません。また、蛋白質は分子が大きいため、腎機能が正常であれば大部分はボウマン囊中に濾し出されません。ここが正誤判断の中心です。

(1) A、B
適切です。AもBも正しい記述です。ネフロンは腎臓で尿をつくる基本単位で、腎小体と尿細管から成ります。腎小体は糸球体とボウマン囊からなり、ここで血液中の水分や小さな成分が濾し出されて原尿ができます。また、尿は大部分が水分で、残りに尿素、尿酸、クレアチニン、無機塩類などが含まれます。尿の成分は腎臓の働きだけでなく、糖尿病、脱水、感染、肝機能異常など全身状態の手がかりにもなるため、健康診断で尿検査が広く行われています。
(2) A、C
不適切です。Aは正しいですが、Cが誤りです。糖はボウマン囊中に濾し出されないのではなく、血液中のブドウ糖は分子が比較的小さいため、糸球体で濾過されて原尿中に入ります。ただし、腎機能が正常で血糖値も過度に高くなければ、尿細管でほぼ再吸収されるため、最終的な尿中には通常ほとんど排出されません。つまり、尿に糖が出ない理由は「濾過されないから」ではなく、「濾過された後に再吸収されるから」です。
(3) A、D
不適切です。Aは正しいですが、Dが誤りです。蛋白質は分子が大きく、通常は糸球体のろ過膜を通過しにくいため、大部分はボウマン囊中に濾し出されません。Dのように「大部分の蛋白質はいったん濾し出され、尿細管でほぼ100%再吸収される」と考えるのは誤りです。尿中に蛋白質が多く出る場合は、糸球体のろ過機能に異常がある可能性があり、腎臓の障害を疑う重要な所見になります。
(4) B、C
不適切です。Bは正しいですが、Cが誤りです。尿の約95%は水分で、約5%が固形物という説明は、尿の基本的な性状として適切です。また、尿検査では糖、蛋白、潜血、比重、pHなどを調べることで、腎臓や泌尿器系だけでなく、糖代謝や全身状態も把握できます。Cは、糖がボウマン囊に濾し出されないとしている点が誤りです。糖は原尿中に入った後、尿細管で再吸収されると理解することが大切です。
(5) C、D
不適切です。これが正解です。Cは、糖がボウマン囊中に濾し出されないとしている点が誤りです。実際には糖は糸球体で濾過され、原尿中に入りますが、正常であれば尿細管で再吸収されるため尿中にはほとんど出ません。Dは、蛋白質が大部分ボウマン囊中に濾し出されるとしている点が誤りです。蛋白質は分子が大きく、正常な糸球体ではほとんど濾過されません。糖と蛋白質はどちらも正常な尿にはほとんど出ませんが、その理由が異なるため、ここを区別できると正解できます。
この問題で覚えるポイント
腎臓の尿生成は、糸球体で血液を濾過して原尿をつくり、尿細管で必要な成分を再吸収し、不要な成分を尿として排出する流れで理解します。ネフロンは腎小体と尿細管から成る尿生成の基本単位で、1個の腎臓に約100万個あります。糖は糸球体で濾過されますが、正常であれば尿細管で再吸収されるため尿中にはほとんど出ません。蛋白質は分子が大きいため、正常であればそもそも糸球体でほとんど濾過されません。尿糖は糖代謝や血糖値の異常、尿蛋白は腎臓のろ過機能の異常と関連して問われやすいです。尿の約95%は水分で、約5%が固形物であり、尿検査は腎臓だけでなく全身の健康状態を反映する検査として重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「正常な尿には糖も蛋白質もほとんど出ない」という結果だけを覚えている受験者に対して、その理由をすり替えている点です。糖は小さい成分なので一度原尿中に濾過されますが、尿細管で再吸収されます。蛋白質は大きい成分なので、正常では糸球体でほとんど濾過されません。どちらも尿中に出にくいという結論は似ていますが、仕組みはまったく異なります。「尿に出ない=濾過されない」と単純に考えると糖の記述で誤りますし、「尿に出ない=再吸収される」と単純に考えると蛋白質の記述で誤ります。腎臓の問題では、濾過されるもの、再吸収されるもの、そもそも濾過されにくいものを分けて覚えることが重要です。
