出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働衛生第16問
問題
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1) ディスプレイ画面上における照度は、500ルクス以下となるようにしている。
(2) 書類上及びキーボード上における照度は、300ルクス以上となるようにしている。
(3) ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整してグレアを防止している。
(4) ディスプレイは、おおむね30cm以内の視距離が確保できるようにし、画面の上端を眼の高さよりもやや下になるように設置している。
(5) 1日の情報機器作業の作業時間が4時間未満である労働者については、自覚症状を訴える者についてのみ、情報機器作業に係る定期健康診断の対象としている。
第二種衛生管理者|情報機器作業ガイドライン|VDT作業の照度・視距離・健康管理を解説
情報機器作業では、目の疲れ、肩こり、腰痛などを防ぐため、照度、画面の見やすさ、視距離、作業姿勢、健康診断の対象者を適切に管理する必要があります。答えは(4)です。ディスプレイとの視距離は「おおむね40cm以上」を確保することが望ましく、「30cm以内」とする記述は近すぎるため不適切です。画面の上端を眼の高さよりやや下にする点は正しいため、数値の部分に注意して判断する問題です。

(1) ディスプレイ画面上における照度は、500ルクス以下となるようにしている。
適切です。その理由は、ディスプレイ画面が明るすぎると、画面の反射やまぶしさによって目が疲れやすくなるためです。情報機器作業では、画面上の照度はおおむね500ルクス以下となるように管理します。画面そのものを明るくしすぎるのではなく、見やすく、反射が少なく、目に負担がかかりにくい状態をつくることが大切です。
(2) 書類上及びキーボード上における照度は、300ルクス以上となるようにしている。
適切です。その理由は、書類やキーボードが暗いと、文字やキーを確認するために目を凝らす必要があり、眼精疲労につながるからです。書類上及びキーボード上の照度は、おおむね300ルクス以上となるようにします。画面は明るすぎないようにし、手元は暗すぎないようにする、という対比で覚えると整理しやすいです。
(3) ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整してグレアを防止している。
適切です。その理由は、グレアとは、画面への光の映り込みやまぶしさによって見えにくくなる状態をいうためです。窓や照明の光が画面に反射すると、文字が読み取りにくくなり、目の疲労が増えます。ディスプレイの位置、角度、向きを調整することは、グレア防止の基本的な対策です。
(4) ディスプレイは、おおむね30cm以内の視距離が確保できるようにし、画面の上端を眼の高さよりもやや下になるように設置している。
不適切です。その理由は、ディスプレイとの視距離は「おおむね40cm以上」とすることが望ましいからです。30cm以内では画面に近すぎ、目の調節負担が大きくなり、眼精疲労や姿勢の崩れにつながりやすくなります。画面の上端を眼の高さよりやや下にする点は適切ですが、視距離の基準が誤っています。このように、一文の中に正しい内容と誤った内容が混ざっている選択肢では、数値や条件を丁寧に確認することが重要です。
(5) 1日の情報機器作業の作業時間が4時間未満である労働者については、自覚症状を訴える者についてのみ、情報機器作業に係る定期健康診断の対象としている。
適切です。その理由は、情報機器作業に係る健康診断では、作業時間や自覚症状の有無に応じて対象者を考えるためです。1日の情報機器作業時間が4時間未満であっても、目の疲れ、首や肩のこり、腰痛などの自覚症状を訴える者については、必要に応じて定期健康診断の対象となります。作業時間が短ければ常に対象外というわけではなく、自覚症状の有無も重要な判断要素になります。
この問題で覚えるポイント
情報機器作業では、ディスプレイ画面上の照度はおおむね500ルクス以下、書類上及びキーボード上の照度はおおむね300ルクス以上が基本です。画面は明るすぎると反射やまぶしさが生じ、手元は暗すぎると文字やキーが見えにくくなります。ディスプレイとの視距離はおおむね40cm以上を確保し、画面の上端は眼の高さよりやや下になるように設置します。グレア防止では、画面の位置、前後の傾き、左右の向き、照明や窓との位置関係を調整することが重要です。健康管理では、作業時間だけでなく、自覚症状の有無も判断材料になります。特に、4時間未満の作業者でも自覚症状を訴える場合は、情報機器作業に係る健康診断の対象となる点を押さえてください。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「30cm以内」という視距離の数値です。画面の上端を眼の高さよりやや下にするという後半部分は正しいため、全体を流し読みすると適切に見えてしまいます。しかし、情報機器作業では画面に近づきすぎないことが重要であり、基準はおおむね40cm以上です。また、照度についても、画面は500ルクス以下、手元は300ルクス以上というように、場所によって基準の方向が異なります。数値だけでなく、「以上」か「以下」かを取り違えると誤答しやすいテーマです。日常感覚では、画面が近いほうが見やすいと感じることもありますが、労働衛生では目の負担を減らすため、適切な距離を確保するという考え方で判断します。
