出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働衛生第17問
問題
出血及び止血法並びにその救急処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 体内の全血液量は、体重の約13分の1で、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険な状態となる。
(2) 傷口が泥で汚れているときは、手際良く水道水で洗い流す。
(3) 止血法には、直接圧迫法、間接圧迫法などがあるが、一般人が行う応急手当としては直接圧迫法が推奨されている。
(4) 毛細血管性出血は、浅い切り傷のときにみられ、傷口からゆっくり持続的に湧き出るような出血である。
(5) 止血帯を施した後、受傷者を医師に引き継ぐまでに30分以上かかる場合には、止血帯を施してから30分ごとに1~2分間、出血部から血液がにじんでくる程度まで結び目をゆるめる。
第二種衛生管理者|第二種衛生管理者過去問|出血と止血法の応急処置|直接圧迫法と救急対応の基礎知識を解説を解説
出血時の応急処置では、出血の種類、失血量の危険性、傷口の洗浄、止血方法の原則を正しく判断することが重要です。答えは(4)です。毛細血管性出血は、浅いすり傷などで血液がにじみ出るように出る出血です。「ゆっくり持続的に湧き出るような出血」は静脈性出血の特徴であり、毛細血管性出血の説明としては不適切です。

(1) 体内の全血液量は、体重の約13分の1で、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険な状態となる。
適切です。体内の血液量は、おおよそ体重の13分の1程度とされています。たとえば体重65kgの人であれば、血液量は約5L程度と考えられます。そのうち約3分の1を短時間に失うと、血圧の低下やショック状態を起こし、生命に危険が及びます。出血の問題では、少量の出血か、大量出血かを見分けることが重要です。特に短時間に多量の血液を失う場合は、意識障害、冷汗、顔面蒼白、脈拍の異常などが起こり得るため、早急な止血と救急要請が必要になります。
(2) 傷口が泥で汚れているときは、手際良く水道水で洗い流す。
適切です。傷口に泥や砂などの異物が付着している場合は、感染を防ぐために、できる範囲で水道水などの清潔な流水で洗い流します。土や泥には細菌が含まれることがあり、傷口に残ったままにすると化膿や感染の原因になります。ただし、大量出血している場合は、洗浄よりもまず止血を優先します。応急処置では、傷口の汚れを取ることも大切ですが、出血が激しいときには命に関わるため、直接圧迫による止血を先に行う判断が必要です。
(3) 止血法には、直接圧迫法、間接圧迫法などがあるが、一般人が行う応急手当としては直接圧迫法が推奨されている。
適切です。一般人が行う応急手当では、出血している傷口を清潔なガーゼや布などで直接押さえる直接圧迫法が基本です。直接圧迫法は、出血部位そのものを圧迫して血液の流出を抑える方法で、比較的安全で実施しやすい止血法です。間接圧迫法は、傷口より心臓に近い動脈を圧迫して血流を抑える方法ですが、正しい部位や力加減の判断が必要です。試験では、一般的な応急手当としては直接圧迫法が推奨される、という点を押さえておくと判断しやすくなります。
(4) 毛細血管性出血は、浅い切り傷のときにみられ、傷口からゆっくり持続的に湧き出るような出血である。
不適切です。毛細血管性出血は、浅いすり傷や小さな切り傷などでみられ、血液が傷口全体からにじみ出るように出血するのが特徴です。「ゆっくり持続的に湧き出るような出血」は、静脈性出血の特徴です。静脈性出血では、暗赤色の血液が連続的に流れ出るように出血します。これに対して、動脈性出血では、鮮紅色の血液が心臓の拍動に合わせて勢いよく噴き出すことがあります。毛細血管性出血、静脈性出血、動脈性出血の違いは、衛生管理者試験でよく問われる基本知識です。
(5) 止血帯を施した後、受傷者を医師に引き継ぐまでに30分以上かかる場合には、止血帯を施してから30分ごとに1~2分間、出血部から血液がにじんでくる程度まで結び目をゆるめる。
適切です。止血帯は、直接圧迫法などで止血できないような激しい出血の場合に用いられる方法です。ただし、強く締め続けると、その先の組織に血液が届かなくなり、組織障害を起こすおそれがあります。そのため、長時間にわたって止血帯を使用する場合には、一定時間ごとに短時間ゆるめるという考え方が示されることがあります。試験対策上は、止血帯は安易に使うものではなく、直接圧迫法が基本であり、止血帯を使った場合は施した時刻を記録し、速やかに医師へ引き継ぐことが重要だと理解しておきましょう。
この問題で覚えるポイント
出血時の応急手当では、まず出血の程度を確認し、大量出血の場合は速やかに直接圧迫法で止血し、救急要請を行うことが基本です。体内の全血液量は体重の約13分の1で、短時間にその約3分の1を失うと生命が危険になります。一般人の止血法として最も重要なのは、清潔なガーゼや布で傷口を直接押さえる直接圧迫法です。毛細血管性出血はにじみ出るような出血、静脈性出血は暗赤色の血液がゆっくり持続的に流れ出る出血、動脈性出血は鮮紅色の血液が拍動に合わせて勢いよく噴き出す出血として区別します。傷口が泥などで汚れている場合は水道水で洗い流しますが、大量出血では洗浄より止血が優先です。止血帯は強い出血で他の方法が難しい場合の手段であり、使用時刻の記録と医師への速やかな引継ぎが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、毛細血管性出血と静脈性出血の特徴を入れ替えている点です。浅い切り傷という前半部分だけを見ると毛細血管性出血の説明として正しそうに見えますが、「ゆっくり持続的に湧き出る」という表現は静脈性出血に近い特徴です。出血の種類の問題では、前半が正しくても後半に別の出血の特徴が混ぜられることがあります。特に、毛細血管性出血はにじむ、静脈性出血は持続的に流れる、動脈性出血は拍動性に噴き出す、という違いを言葉で区別できるようにしておくと、同じテーマの問題でも安定して正誤判断ができます。
