出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第9問
問題
次の法定の作業環境測定を行うとき、作業環境測定士に測定を実施させなければならないものはどれか。
(1) チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場における等価騒音レベルの測定
(2) 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分についての外部放射線による線量当量の測定
(3) 常時セメントを袋詰めする作業を行う屋内作業場における空気中の粉じん濃度の測定
(4) 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱の測定
(5) 通気設備が設けられている坑内の作業場における通気量の測定
ビル管過去問|作業環境測定士が実施する法定作業環境測定一覧を解説
法定の作業環境測定には、事業者が測定を行えばよいものと、作業環境測定士に実施させなければならないものがあります。答えは(3)です。常時セメントを袋詰めする屋内作業場は、粉じん則に関係する粉じん作業の作業場であり、空気中の粉じん濃度の測定は作業環境測定士に行わせる必要があります。騒音、外部放射線による線量当量、暑熱環境、坑内の通気量などは法定測定ではあっても、この問題で問われている「作業環境測定士に実施させなければならないもの」には該当しない点を整理しておくことが大切です。
(1) チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場における等価騒音レベルの測定
不適切です。チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場では、著しい騒音を発する作業場として等価騒音レベルの測定が必要になる場合があります。しかし、騒音測定については、作業環境測定士に測定を実施させなければならないものとはされていません。ここでは「測定が必要かどうか」と「作業環境測定士に行わせる必要があるかどうか」を分けて考えることが重要です。騒音は有害要因として重要ですが、作業環境測定士の実施義務がある作業環境測定とは扱いが異なります。
(2) 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分についての外部放射線による線量当量の測定
不適切です。放射線業務を行う作業場では、管理区域に該当する部分について外部放射線による線量当量を測定する必要があります。しかし、この測定は作業環境測定士に実施させなければならないものではありません。放射線という言葉を見ると専門性が高く、作業環境測定士が必要だと判断したくなりますが、試験では法令上の区分が問われます。放射線関係の測定は重要な管理項目ですが、粉じんや特定化学物質などの指定作業場における作業環境測定士の実施義務とは別に整理します。
(3) 常時セメントを袋詰めする作業を行う屋内作業場における空気中の粉じん濃度の測定
適切です。常時セメントを袋詰めする作業を行う屋内作業場は、粉じんを発散する作業場に該当します。このような粉じん作業に関係する屋内作業場では、空気中の粉じん濃度の測定が法定の作業環境測定として必要になり、作業環境測定士に測定を実施させなければなりません。粉じんは、吸入によってじん肺などの健康障害を起こすおそれがあるため、作業場の空気環境を客観的に測定し、管理区分に基づいて改善につなげることが重視されます。この選択肢は、粉じん濃度の測定と作業環境測定士の実施義務が正しく結びついているため、正解です。
(4) 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱の測定
不適切です。溶融ガラスを扱う作業場では、高温環境による熱中症や身体負担を防ぐため、気温、湿度、ふく射熱などの測定が必要になる場合があります。ただし、この測定は作業環境測定士に実施させなければならないものではありません。暑熱環境の測定は労働衛生上とても大切ですが、作業環境測定士による実施が義務づけられる代表例である粉じん、有機溶剤、特定化学物質、鉛、酸素欠乏危険場所などとは区別して覚える必要があります。
(5) 通気設備が設けられている坑内の作業場における通気量の測定
不適切です。坑内の作業場では、酸素濃度や有害ガスの滞留を防ぐため、通気量の測定が重要になります。しかし、通気量の測定は、作業環境測定士に測定を実施させなければならないものではありません。坑内という特殊な作業場であるため、専門資格者が必要だと考えやすいですが、この問題では「特殊な作業場かどうか」ではなく「法令上、作業環境測定士に実施させる測定かどうか」が問われています。
この問題で覚えるポイント
作業環境測定士に実施させなければならない代表的な作業環境測定は、粉じん、有機溶剤、特定化学物質、鉛、酸素欠乏危険場所など、作業環境測定法や関係法令で専門的な測定が求められるものです。特に、常時粉じんを発散する作業を行う屋内作業場における空気中の粉じん濃度の測定は、作業環境測定士が行うものとして押さえておきます。法定測定には、騒音、暑熱環境、放射線、坑内通気量などもありますが、すべてが作業環境測定士の実施義務に直結するわけではありません。正誤判断では、「測定しなければならない」だけで判断せず、「誰に実施させなければならないか」まで確認することが重要です。試験では、有害要因の名称に引っ張られず、粉じん濃度の測定のように作業環境測定士と結びつくものを選ぶのがポイントです。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、どの選択肢も労働衛生上は重要な測定であるため、「測定が必要そうだから正しい」と判断してしまう点にあります。騒音、放射線、暑熱、坑内通気量はいずれも危険性や専門性が高く見えるため、作業環境測定士が必要だと感じやすいです。しかし、試験で問われているのは危険度の高さではなく、法令上、作業環境測定士に測定を実施させなければならないかという区分です。このタイプの問題では、「法定測定であること」と「作業環境測定士が実施すること」を混同しないことが大切です。専門的に見える言葉ほど正解に見えますが、粉じん濃度のように制度上の対象として明確に位置づけられているものを選ぶ意識が必要です。
