出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第14問
問題
電離放射線による健康影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。
(2) 電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。
(3) 電離放射線に被ばく後、数週間程度までに現れる造血器系障害は、急性障害に分類される。
(4) 電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確率的影響に分類され、症状の程度は線量に依存する。
(5) 造血器、生殖腺、腸粘膜など頻繁に細胞分裂している組織・臓器は、電離放射線の影響を受けやすい。
第1種衛生管理者|電離放射線の健康影響と確率的影響・確定的影響を解説
電離放射線の健康影響では、身体的影響と遺伝的影響、急性障害と晩発障害、確率的影響と確定的影響の区別が重要です。答えは(4)です。発がんと遺伝的影響は確率的影響に分類されますが、確率的影響では線量が増えるほど発生確率が高くなるのであって、症状の重さが線量に比例して重くなるわけではありません。症状の程度が線量に依存するのは、主に確定的影響です。
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(1) 電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。
適切です。電離放射線による影響は、影響が現れる対象によって身体的影響と遺伝的影響に分けられます。身体的影響は、被ばくした本人の体に現れる影響です。たとえば、皮膚障害、白内障、造血器障害、発がんなどが含まれます。遺伝的影響は、生殖細胞が影響を受けることで、子孫に現れる可能性がある影響をいいます。試験では、まずこの大分類を押さえておくと、細かい分類の理解につながります。
(2) 電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。
適切です。白内障は、被ばく後すぐに現れるのではなく、一定期間を経てから現れる身体的影響であるため、晩発障害に分類されます。晩発障害には、白内障のほか、発がんなどがあります。急性障害は比較的短期間で現れる障害、晩発障害は長い潜伏期間を経て現れる障害と考えると整理しやすいです。
(3) 電離放射線に被ばく後、数週間程度までに現れる造血器系障害は、急性障害に分類される。
適切です。造血器系障害は、骨髄など血液をつくる組織が放射線の影響を受けることで起こります。造血器は細胞分裂が盛んなため、電離放射線の影響を受けやすい組織です。被ばく後、比較的短期間、具体的には数週間程度までに現れる造血器系障害は急性障害に分類されます。急性障害では、造血器系障害、消化管障害、皮膚障害などが問われやすいです。
(4) 電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確率的影響に分類され、症状の程度は線量に依存する。
不適切です。発がんと遺伝的影響が確率的影響に分類される点は正しいです。しかし、確率的影響で線量に依存するのは、症状の程度ではなく発生確率です。つまり、線量が高くなるほど発がんなどが起こる可能性は高くなりますが、発生したがんの重さが線量に比例して重くなる、という考え方ではありません。症状の程度が線量に依存するのは、白内障、皮膚障害、不妊などの確定的影響です。ここは非常によく問われるひっかけです。
(5) 造血器、生殖腺、腸粘膜など頻繁に細胞分裂している組織・臓器は、電離放射線の影響を受けやすい。
適切です。電離放射線は、細胞のDNAなどに損傷を与えるため、細胞分裂が盛んな組織ほど影響を受けやすいです。造血器、生殖腺、腸粘膜は細胞分裂が活発な代表例です。逆に、神経細胞や筋肉細胞のように分裂頻度が低い細胞は、一般に放射線感受性が比較的低いとされます。試験では、細胞分裂が盛んな組織ほど放射線に弱い、という原則を覚えておくと判断しやすくなります。
この問題で覚えるポイント
電離放射線の健康影響は、まず身体的影響と遺伝的影響に分けて整理します。身体的影響は被ばくした本人に現れる影響で、遺伝的影響は生殖細胞への影響を通じて子孫に現れる可能性がある影響です。身体的影響は、現れる時期によって急性障害と晩発障害に分けられます。急性障害は被ばく後、比較的短期間に現れる障害で、造血器系障害、消化管障害、皮膚障害などが代表例です。晩発障害は、時間が経ってから現れる障害で、白内障や発がんが代表例です。さらに、放射線影響は確率的影響と確定的影響にも分類されます。確率的影響は、線量が増えるほど発生確率が高くなる影響で、発がんと遺伝的影響が該当します。確定的影響は、一定以上の線量で発生し、線量が増えるほど症状の程度が重くなる影響で、白内障、皮膚障害、不妊などが該当します。また、造血器、生殖腺、腸粘膜のように細胞分裂が盛んな組織は放射線感受性が高く、試験でよく問われる重要知識です。
ひっかけポイント
このテーマで最も注意したいのは、確率的影響と確定的影響の混同です。発がんや遺伝的影響は確率的影響なので、線量が増えるほど起こりやすくなる、と判断します。しかし、症状の程度が線量に依存する、と書かれていた場合は確定的影響の説明になっています。つまり、文章の前半が正しくても、後半で分類の特徴をすり替えているパターンに注意が必要です。また、白内障は晩発障害でありながら確定的影響にも分類されるため、急性障害と晩発障害の分類、確率的影響と確定的影響の分類を別軸で整理することが大切です。分類名だけを丸暗記すると混乱しやすいので、「いつ現れるか」と「線量との関係は何か」を分けて考えると、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。
