【第一種衛生管理者過去問】2023年10月公表問題|問39|肝臓の働きと代謝機能の基礎知識|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働生理第39問

問題

肝臓の機能として、誤っているものは次のうちどれか。

(1) コレステロールを合成する。

(2) 尿素を合成する。

(3) ヘモグロビンを合成する。

(4) 胆汁を生成する。

(5) グリコーゲンを合成し、及び分解する。

第1種衛生管理者|肝臓の働きと代謝機能の基礎知識を解説

肝臓は、栄養素の代謝、胆汁の生成、有害物質の処理、尿素の合成、グリコーゲンの貯蔵と分解など、体内の化学工場ともいえる重要な臓器です。答えは(3)です。ヘモグロビンは赤血球に含まれる色素であり、主に骨髄で赤血球が作られる過程で合成されます。肝臓はヘモグロビンそのものを合成する臓器ではないため、肝臓の機能としては誤りです。

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(1) コレステロールを合成する。

適切です。肝臓はコレステロールを合成する重要な臓器です。コレステロールというと悪いものという印象を持ちやすいですが、実際には細胞膜の構成成分になったり、胆汁酸やステロイドホルモンの材料になったりする必要な物質です。肝臓では、食事から取り込まれた栄養素をもとにコレステロールを作り、必要に応じて体内で利用できるように調整しています。

(2) 尿素を合成する。

適切です。肝臓では、たん白質の分解によって生じるアンモニアを尿素に変える働きがあります。アンモニアは体にとって有害な物質であり、そのまま血液中に増えると脳などに悪影響を及ぼします。肝臓はアンモニアを比較的無害な尿素に変換し、その尿素は血液によって腎臓へ運ばれ、尿として排出されます。これを尿素回路といいます。

(3) ヘモグロビンを合成する。

不適切です。ヘモグロビンは赤血球の中にある赤い色素で、酸素を全身に運ぶ働きをします。ヘモグロビンは主に骨髄で赤血球が作られる過程で合成されます。肝臓は古くなった赤血球の分解に関係し、ヘモグロビンの分解産物から胆汁色素の処理にも関わりますが、ヘモグロビンそのものを合成するわけではありません。肝臓と血液成分の関係があるため混同しやすいですが、合成する場所としては骨髄を押さえることが大切です。

(4) 胆汁を生成する。

適切です。肝臓は胆汁を生成します。胆汁は脂肪の消化吸収を助ける液体で、肝臓で作られた後、胆のうに一時的に蓄えられ、必要に応じて十二指腸へ分泌されます。胆汁そのものには消化酵素は含まれていませんが、脂肪を細かく乳化して、リパーゼなどの消化酵素が作用しやすい状態にします。肝臓は胆汁を作り、胆のうは胆汁を蓄える場所と整理すると覚えやすいです。

(5) グリコーゲンを合成し、及び分解する。

適切です。肝臓は血糖値の調節に関わり、余ったブドウ糖をグリコーゲンとして合成して蓄えます。食事をして血糖値が上がったときには、ブドウ糖をグリコーゲンに変えて貯蔵します。空腹時など血糖値が下がったときには、蓄えたグリコーゲンを分解してブドウ糖に戻し、血液中へ供給します。この働きにより、体内の血糖値が一定に保たれやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

肝臓は、糖質、脂質、たん白質の代謝に深く関わる臓器です。糖質では、ブドウ糖をグリコーゲンとして合成し、必要に応じてグリコーゲンを分解して血糖値を調節します。脂質では、コレステロールの合成や胆汁の生成に関係します。たん白質では、アミノ酸の分解によって生じる有害なアンモニアを尿素に変えます。胆汁は肝臓で作られ、胆のうで蓄えられ、脂肪の消化吸収を助けます。ヘモグロビンは赤血球に含まれる酸素運搬物質であり、主に骨髄で赤血球が作られる過程で合成されます。肝臓は古い赤血球やヘモグロビンの分解、胆汁色素の処理には関係しますが、ヘモグロビンそのものを合成する臓器ではありません。

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ひっかけポイント

肝臓は血液や代謝に関係する働きが多いため、血液成分であるヘモグロビンまで肝臓で作られると考えてしまうのが典型的な誤答パターンです。肝臓は古くなった赤血球の分解や胆汁色素の処理に関わるため、ヘモグロビンと無関係ではありません。しかし、試験では「関係がある」ことと「合成する」ことを明確に区別する必要があります。肝臓は尿素、胆汁、コレステロール、グリコーゲンに関わる臓器であり、ヘモグロビンの合成は骨髄で行われる、と整理しておくと同じテーマの問題にも対応しやすくなります。

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