出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働生理第38問
問題
摂取した食物中の炭水化物(糖質)、脂質及び蛋(たん)白質を分解する消化酵素の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
(1) 炭水化物(糖質):マルターゼ 脂質:リパーゼ 蛋白質:トリプシン
(2) 炭水化物(糖質):トリプシン 脂質:アミラーゼ 蛋白質:ペプシン
(3) 炭水化物(糖質):ペプシン 脂質:マルターゼ 蛋白質:トリプシン
(4) 炭水化物(糖質):ペプシン 脂質:リパーゼ 蛋白質:マルターゼ
(5) 炭水化物(糖質):アミラーゼ 脂質:トリプシン 蛋白質:リパーゼ
第1種衛生管理者|消化酵素の種類と栄養素の消化作用を解説
消化酵素は、それぞれ分解できる栄養素が決まっています。答えは(1)です。炭水化物(糖質)を分解する酵素にはアミラーゼやマルターゼ、脂質を分解する酵素にはリパーゼ、蛋白質を分解する酵素にはペプシンやトリプシンがあります。名称が似ていて混同しやすい分野ですが、「糖質はアミラーゼ・マルターゼ、脂質はリパーゼ、蛋白質はペプシン・トリプシン」と整理すると判断しやすくなります。
(1) 炭水化物(糖質):マルターゼ 脂質:リパーゼ 蛋白質:トリプシン
適切です。マルターゼは、麦芽糖をブドウ糖に分解する糖質分解酵素です。リパーゼは脂質を脂肪酸とグリセリンなどに分解する酵素です。トリプシンは膵液に含まれる蛋白質分解酵素で、蛋白質をより小さなペプチドなどに分解します。炭水化物、脂質、蛋白質のそれぞれに対応する消化酵素の組合せとして正しい内容です。
(2) 炭水化物(糖質):トリプシン 脂質:アミラーゼ 蛋白質:ペプシン
不適切です。トリプシンは炭水化物ではなく、蛋白質を分解する酵素です。アミラーゼは脂質ではなく、でんぷんなどの炭水化物を分解する酵素です。ペプシンは胃液に含まれる蛋白質分解酵素なので、蛋白質との組合せだけは正しいです。一部は正しくても、すべての組合せが正しくなければ正解にはなりません。
(3) 炭水化物(糖質):ペプシン 脂質:マルターゼ 蛋白質:トリプシン
不適切です。ペプシンは炭水化物ではなく、蛋白質を分解する酵素です。マルターゼは脂質ではなく、糖質を分解する酵素です。トリプシンは蛋白質分解酵素なので、この部分は正しいです。しかし、炭水化物と脂質の組合せが逆になっているため、全体としては誤りです。
(4) 炭水化物(糖質):ペプシン 脂質:リパーゼ 蛋白質:マルターゼ
不適切です。リパーゼは脂質を分解する酵素なので、この部分は正しいです。しかし、ペプシンは炭水化物ではなく蛋白質を分解する酵素であり、マルターゼは蛋白質ではなく糖質を分解する酵素です。正しい用語が含まれていても、対応する栄養素が入れ替わっているため注意が必要です。
(5) 炭水化物(糖質):アミラーゼ 脂質:トリプシン 蛋白質:リパーゼ
不適切です。アミラーゼは炭水化物を分解する酵素なので、この部分は正しいです。しかし、トリプシンは脂質ではなく蛋白質を分解する酵素です。リパーゼは蛋白質ではなく脂質を分解する酵素です。アミラーゼの組合せだけを見て正しいと判断しないようにしましょう。
この問題で覚えるポイント
消化酵素は、どの栄養素を分解するかで整理すると覚えやすくなります。炭水化物(糖質)を分解する代表的な酵素はアミラーゼとマルターゼです。アミラーゼはでんぷんを分解し、マルターゼは麦芽糖をブドウ糖に分解します。脂質を分解する代表的な酵素はリパーゼです。脂質はリパーゼによって脂肪酸やグリセリンなどに分解されます。蛋白質を分解する代表的な酵素はペプシンとトリプシンです。ペプシンは胃液に含まれ、トリプシンは膵液に含まれます。試験では、酵素名そのものよりも「どの栄養素に作用するか」が問われやすいため、糖質、脂質、蛋白質の三分類で対応関係を押さえることが重要です。
ひっかけポイント
この問題では、聞いたことのある消化酵素名を別の栄養素に入れ替える形で誤答を誘っています。アミラーゼ、リパーゼ、ペプシン、トリプシン、マルターゼはいずれも実在する消化酵素なので、用語だけを見ると正しそうに感じます。しかし、正誤判断で大切なのは名称を知っていることではなく、作用する対象を正しく結び付けることです。特に、ペプシンとトリプシンはどちらも蛋白質分解酵素、アミラーゼとマルターゼはどちらも糖質分解酵素、リパーゼは脂質分解酵素と整理しておくと、入れ替え問題に対応しやすくなります。
