出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第17問
問題
レーザー光線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) レーザー光線は、おおむね1nmから180nmまでの波長域にある。
(2) レーザー光線は、単一波長で位相のそろった人工光線である。
(3) レーザー光線の強い指向性や集束性を利用し、高密度のエネルギーを発生させることができる。
(4) 出力パワーが最も弱いクラス1又はクラス2のレーザー光線は、可視光のレーザーポインタとして使用されている。
(5) レーザー光線にさらされるおそれのある業務は、レーザー機器の出力パワーなどに基づくクラス分けに応じた労働衛生上の対策を講じる必要がある。
第1種衛生管理者|レーザー光線の特徴とレーザー機器の安全対策を解説
レーザー光線は、単一波長性、位相のそろい、強い指向性、集束性を特徴とする人工光線で、産業現場では加工、測定、医療機器などに利用されます。答えは(1)です。レーザー光線はおおむね1nmから180nmまでの波長域にあるものではなく、紫外線、可視光線、赤外線の領域を含む広い波長域で使用されます。1nmから180nmという範囲は、極めて短い紫外線側に偏った数値であり、一般的なレーザー光線の説明としては不適切です。
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(1) レーザー光線は、おおむね1nmから180nmまでの波長域にある。
不適切です。レーザー光線は、特定の波長の光を人工的に増幅して取り出した光線ですが、波長域が1nmから180nmまでに限られるわけではありません。レーザーには、紫外線レーザー、可視光レーザー、赤外線レーザーなどがあり、実際には可視光や赤外線の波長域でも広く使用されています。1nmから180nmという範囲は非常に短波長側に偏っており、一般的なレーザー光線の波長範囲を表すものではありません。レーザーポインタなど身近なレーザーは可視光であり、可視光の波長はおおむね380nmから780nm程度です。そのため、この記述はレーザー光線の波長域を誤って限定しており、誤りです。
(2) レーザー光線は、単一波長で位相のそろった人工光線である。
適切です。レーザー光線の大きな特徴は、波長がそろっていることと、光の波の山と谷の位置、つまり位相がそろっていることです。通常の白色光はさまざまな波長の光が混ざっていますが、レーザー光線は特定の波長に近い光がそろって出ます。また、位相がそろっているため、光が乱れにくく、遠くまでまっすぐ進みやすい性質があります。このような性質により、レーザーは精密測定、切断、溶接、医療機器などに利用されています。
(3) レーザー光線の強い指向性や集束性を利用し、高密度のエネルギーを発生させることができる。
適切です。レーザー光線は広がりにくく、一定方向に進む性質が強い光です。これを指向性といいます。また、レンズなどで一点に集めやすい性質があり、これを集束性といいます。光を小さな面積に集中させると、その部分に大きなエネルギーを与えることができます。そのため、レーザーは金属の切断、穴あけ、溶接、表面加工などにも使われます。労働衛生上は、この高エネルギーが目や皮膚に障害を与えるおそれがあるため、安全対策が重要になります。
(4) 出力パワーが最も弱いクラス1又はクラス2のレーザー光線は、可視光のレーザーポインタとして使用されている。
適切です。レーザー機器は、人体への危険性に応じてクラス分けされています。クラス1は通常の使用条件では安全性が高いものとされ、クラス2は可視光レーザーで、まばたきなどの自然な防御反応により短時間のばく露では危険性が比較的小さいものとされています。レーザーポインタには、比較的出力の弱いクラス1又はクラス2のものが使用されることがあります。ただし、弱いクラスであっても、意図的に目に向けたり、長時間見続けたりすることは危険です。試験では「クラスが低いほど危険性が低いが、完全に無害という意味ではない」と理解しておくとよいです。
(5) レーザー光線にさらされるおそれのある業務は、レーザー機器の出力パワーなどに基づくクラス分けに応じた労働衛生上の対策を講じる必要がある。
適切です。レーザー機器は出力パワー、波長、ばく露時間、光の広がり方などにより危険性が異なります。そのため、レーザー機器のクラスに応じて、遮へい、保護眼鏡の使用、立入禁止措置、警告表示、作業手順の整備、教育などの対策が必要になります。特に目はレーザー光線の影響を受けやすく、網膜や角膜に障害が生じるおそれがあります。レーザー業務では、機器の危険性をクラスで把握し、その危険性に合った対策を講じることが重要です。
この問題で覚えるポイント
レーザー光線は、単一波長性、位相がそろっていること、強い指向性、集束性が重要な特徴です。レーザーは一点にエネルギーを集中できるため、加工や測定に役立つ反面、目や皮膚に障害を起こす危険があります。レーザー光線の波長は1nmから180nmに限定されず、紫外線、可視光線、赤外線の領域で使用されます。可視光はおおむね380nmから780nm程度であり、レーザーポインタはこの可視光レーザーの代表例です。レーザー機器は危険性に応じてクラス分けされ、クラスが高いほど原則として危険性が大きくなります。安全対策では、クラスに応じた保護眼鏡、遮へい、警告表示、立入管理、作業者教育が重要です。特に試験では、レーザーの特徴と波長範囲、安全対策の必要性を結び付けて覚えると正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、レーザー光線の特徴として「単一波長」「人工光線」「強いエネルギー」という言葉に意識が向いた受験者が、波長範囲の数値の誤りを見落としやすい点です。1nmから180nmという数値は専門的に見えるため、もっともらしく感じられますが、可視光のレーザーポインタが使われていることを思い出せば、可視光の波長である380nmから780nm程度がこの範囲に入らないことに気づけます。つまり、レーザーは「特定の波長の光」であって、「特定の狭い波長域だけの光」ではありません。数値が出てくる選択肢では、用語の正しさだけで判断せず、その数値が代表例と矛盾しないかを確認することが大切です。
