出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第33問
問題
感染症に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 人間の抵抗力が低下した場合は、通常、多くの人には影響を及ぼさない病原体が病気を発症させることがあり、これを日和見感染という。
(2) 感染が成立しているが、症状が現れない状態が継続することを不顕性感染という。
(3) 感染が成立し、症状が現れるまでの人をキャリアといい、感染したことに気付かずに病原体をばらまく感染源になることがある。
(4) 感染源の人が咳やくしゃみをして、唾液などに混じった病原体が飛散することにより感染することを空気感染といい、インフルエンザや普通感冒の代表的な感染経路である。
(5) インフルエンザウイルスにはA型、B型及びC型の三つの型があるが、流行の原因となるのは、主として、A型及びB型である。
第1種衛生管理者|感染症の感染経路・日和見感染・不顕性感染の基礎知識を解説
感染症では、病原体がどのように人へ伝わるか、また感染しても症状が出ない状態をどう呼ぶかがよく問われます。答えは(4)です。咳やくしゃみによって唾液などのしぶきに含まれる病原体が飛散して感染する経路は、空気感染ではなく飛沫感染です。インフルエンザや普通感冒は代表的な飛沫感染であり、この用語の取り違えが正誤判断の中心になります。
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(1) 人間の抵抗力が低下した場合は、通常、多くの人には影響を及ぼさない病原体が病気を発症させることがあり、これを日和見感染という。
適切です。日和見感染とは、健康な人では通常問題になりにくい病原体が、免疫力や抵抗力の低下した人に感染して発症することをいいます。たとえば、高齢者、重い基礎疾患がある人、免疫抑制薬を使用している人などでは、普段は病気を起こしにくい微生物でも感染症の原因になることがあります。日和見感染は、病原体の強さだけでなく、宿主である人間側の抵抗力が大きく関係する点を押さえることが重要です。
(2) 感染が成立しているが、症状が現れない状態が継続することを不顕性感染という。
適切です。不顕性感染とは、病原体が体内に侵入して感染が成立しているにもかかわらず、発熱、咳、下痢などの症状が現れない感染状態をいいます。症状がないため本人が感染に気づきにくい一方で、病原体を排出して他人へ感染を広げる場合があります。感染症対策では、症状のある人だけでなく、症状がない感染者も感染源になり得る点が重要です。
(3) 感染が成立し、症状が現れるまでの人をキャリアといい、感染したことに気付かずに病原体をばらまく感染源になることがある。
適切です。キャリアとは、病原体を体内に保有している人をいい、症状がはっきりしない場合でも周囲に病原体を広げることがあります。感染してから発症するまでの潜伏期間中の人や、症状がないまま病原体を保有している人は、自分が感染源であると気づきにくいため、感染拡大につながることがあります。試験では、症状の有無だけで感染源かどうかを判断しないことが大切です。
(4) 感染源の人が咳やくしゃみをして、唾液などに混じった病原体が飛散することにより感染することを空気感染といい、インフルエンザや普通感冒の代表的な感染経路である。
不適切です。咳やくしゃみによって飛び散る唾液や鼻水などのしぶきに含まれる病原体を吸い込んで感染する経路は、空気感染ではなく飛沫感染です。インフルエンザや普通感冒の代表的な感染経路は飛沫感染です。空気感染は、飛沫よりさらに小さい粒子が空気中に長く漂い、それを吸い込むことで感染するものを指します。代表例としては、麻しん、水痘、結核などが挙げられます。この選択肢は、感染の説明自体は飛沫感染なのに、用語だけを空気感染としているため誤りです。
(5) インフルエンザウイルスにはA型、B型及びC型の三つの型があるが、流行の原因となるのは、主として、A型及びB型である。
適切です。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型がありますが、季節性の流行で問題となるのは主にA型とB型です。A型は変異しやすく、大きな流行や世界的流行の原因となることがあります。B型も季節性インフルエンザの流行に関与します。C型は感染しても比較的軽症であることが多く、大きな流行の中心にはなりにくいとされています。
この問題で覚えるポイント
感染症の感染経路では、飛沫感染と空気感染の違いが特に重要です。咳やくしゃみによる唾液などのしぶきを吸い込んで感染するものは飛沫感染で、インフルエンザや普通感冒が代表例です。空気感染は、病原体を含む非常に小さい粒子が空気中を漂い、それを吸い込むことで感染する経路です。また、抵抗力が低下した人に発症しやすい感染を日和見感染、感染していても症状が現れない状態を不顕性感染といいます。インフルエンザウイルスはA型、B型、C型に分けられ、流行の中心は主にA型とB型です。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、感染の説明文としては飛沫感染を正しく述べているのに、名称だけを空気感染にすり替えている点です。咳やくしゃみという日常的なイメージから「空気中に飛ぶから空気感染」と考えてしまうと誤答しやすくなります。試験では、空気感染、飛沫感染、接触感染などの用語を、感染のしかたとセットで正確に覚える必要があります。インフルエンザや普通感冒は飛沫感染、麻しん、水痘、結核などは空気感染の代表例として整理しておくと判断しやすくなります。
