出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第32問
問題
メタボリックシンドロームの診断基準に関する次の文中の[ ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものはどれか。「日本では、内臓脂肪の蓄積があり、かつ、血中脂質(中性脂肪、HDLコレステロール)、[ A ]、[ B ]の三つのうち[ C ]が基準値から外れている場合にメタボリックシンドロームと診断される。」
(1) A:血圧 B:空腹時血糖 C:いずれか一つ
(2) A:血圧 B:空腹時血糖 C:二つ以上
(3) A:γ-GTP B:空腹時血糖 C:二つ以上
(4) A:γ-GTP B:尿蛋(たん)白 C:いずれか一つ
(5) A:γ-GTP B:尿蛋(たん)白 C:二つ以上
第1種衛生管理者|メタボリックシンドロームの診断基準と内臓脂肪判定を解説
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を前提として、血中脂質、血圧、空腹時血糖の三項目のうち二つ以上が基準値から外れている場合に診断されます。答えは(2)です。単に肥満であることや、いずれか一つの異常だけで診断されるのではなく、内臓脂肪の蓄積に複数の代謝異常が重なっていることを確認する点が重要です。
(1) A:血圧 B:空腹時血糖 C:いずれか一つ
不適切です。Aの血圧、Bの空腹時血糖は正しい組合せですが、Cの「いずれか一つ」が誤りです。メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪の蓄積に加えて、血中脂質、血圧、空腹時血糖の三つのうち二つ以上が基準値から外れていることが必要です。一つだけ異常がある場合は、将来的な生活習慣病リスクには注意が必要ですが、診断基準としてはメタボリックシンドロームとはされません。
(2) A:血圧 B:空腹時血糖 C:二つ以上
適切です。日本のメタボリックシンドロームの診断基準では、まず内臓脂肪の蓄積があることが前提になります。そのうえで、血中脂質、血圧、空腹時血糖の三項目のうち二つ以上が基準値から外れている場合に診断されます。内臓脂肪の蓄積は、一般に腹囲で判定され、男性では85cm以上、女性では90cm以上が目安とされます。血中脂質、血圧、血糖は動脈硬化や糖尿病、高血圧症、脂質異常症と深く関係するため、複数の異常が重なることが重要な判断材料になります。
(3) A:γ-GTP B:空腹時血糖 C:二つ以上
不適切です。Bの空腹時血糖、Cの二つ以上は正しいですが、Aのγ-GTPが誤りです。γ-GTPは肝機能検査で用いられる項目で、アルコール摂取や胆道系の異常などで上昇することがあります。しかし、メタボリックシンドロームの診断基準に含まれる三項目は、血中脂質、血圧、空腹時血糖です。肝機能の数値と生活習慣病は関連することがありますが、診断基準そのものにγ-GTPは含まれません。
(4) A:γ-GTP B:尿蛋(たん)白 C:いずれか一つ
不適切です。Aのγ-GTP、Bの尿蛋白、Cのいずれか一つがいずれも診断基準として不適切です。尿蛋白は腎機能や腎疾患の評価で重要な検査項目ですが、メタボリックシンドロームの診断基準に含まれる項目ではありません。また、メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積に加え、血中脂質、血圧、空腹時血糖のうち二つ以上の異常がある場合に診断されます。健康診断でよく見る項目が並んでいるため迷いやすいですが、診断基準に入る項目を正確に覚える必要があります。
(5) A:γ-GTP B:尿蛋(たん)白 C:二つ以上
不適切です。Cの二つ以上という条件は正しい方向ですが、Aのγ-GTPとBの尿蛋白が誤りです。メタボリックシンドロームの診断で確認する代謝異常は、血中脂質、血圧、空腹時血糖です。γ-GTPや尿蛋白は健康診断でよく扱われるため重要な検査項目ではありますが、この診断基準には含まれません。試験では、よく目にする検査名に惑わされず、どの病態の基準なのかを結び付けて判断することが大切です。
この問題で覚えるポイント
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を前提として、血中脂質、血圧、空腹時血糖の三項目のうち二つ以上が基準値から外れている場合に診断されます。内臓脂肪の蓄積は腹囲で判定され、男性は85cm以上、女性は90cm以上が目安です。血中脂質では中性脂肪やHDLコレステロールが関係し、血圧では収縮期血圧や拡張期血圧、血糖では空腹時血糖が確認されます。重要なのは、単なる体重増加や腹囲の増加だけで診断するのではなく、内臓脂肪の蓄積に複数の代謝異常が重なっているかを見ることです。γ-GTPは肝機能、尿蛋白は腎機能に関係する検査項目であり、健康診断では重要ですが、メタボリックシンドロームの三つの判定項目には入りません。試験では、血中脂質、血圧、空腹時血糖、二つ以上という組合せを確実に押さえておくと正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、健康診断でよく見かけるγ-GTPや尿蛋白を混ぜることで、受験者に「生活習慣病に関係しそうだから正しいかもしれない」と思わせる点です。たしかにγ-GTPや尿蛋白は健康状態を把握するうえで重要な項目ですが、メタボリックシンドロームの診断基準とは別の検査項目です。また、「いずれか一つ」という表現にも注意が必要です。血中脂質、血圧、空腹時血糖のどれか一つだけが基準値から外れている場合ではなく、二つ以上が基準値から外れていることが診断条件になります。このように、一部の語句だけが正しくても、条件数や検査項目が少し違うだけで誤りになります。メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪の蓄積、血中脂質、血圧、空腹時血糖、二つ以上という流れで覚えると、似た検査項目に惑わされにくくなります。
