出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第3問
問題
次のAからDの作業について、法令上、作業主任者の選任が義務付けられているものの組合せは( 1 )~( 5 )のうちどれか。 A 水深10m以上の場所における潜水の作業 B セメント製造工程においてセメントを袋詰めする作業 C 製造工程において硫酸を用いて行う洗浄の作業 D 石炭を入れてあるホッパーの内部における作業
(1) A, B
(2) A, C
(3) A, D
(4) B, C
(5) C, D
第1種衛生管理者|作業主任者の選任義務と対象作業一覧を解説
作業主任者は、一定の危険または有害な作業について、作業方法の決定、労働者の指揮、設備や保護具の点検などを行わせるために選任する責任者です。今回のAからDでは、硫酸を用いて行う洗浄の作業と、石炭を入れてあるホッパー内部の作業が作業主任者の選任対象となります。よって、答えは(5)C, Dです。
(1) A, B
不適切です。Aの水深10m以上の場所における潜水の作業は、作業主任者の選任義務の対象ではありません。潜水作業は危険性の高い作業ですが、衛生管理者試験で問われる作業主任者の選任対象としては、「高圧室内作業」などと混同しないことが大切です。Bのセメントを袋に詰める作業も、単にセメントを袋に詰める作業であるため、作業主任者の選任義務がある作業には該当しません。粉じん対策や保護具の使用は重要ですが、それだけで作業主任者の選任対象になるわけではありません。
(2) A, C
不適切です。Cの製造工程において硫酸を用いて行う洗浄の作業は、特定化学物質作業主任者などの選任が必要となる作業に該当します。硫酸のような有害性や腐食性のある化学物質を製造工程で取り扱う場合、ばく露や薬傷などを防ぐため、作業方法の管理や保護具の使用状況の確認が必要です。一方、Aの水深10m以上の場所における潜水の作業は、作業主任者の選任対象としては扱われません。そのため、この組合せは誤りです。
(3) A, D
不適切です。Dの石炭を入れてあるホッパーの内部における作業は、作業主任者の選任が必要な作業に該当します。ホッパー内部では、石炭による埋没、酸素欠乏、粉じんの発生などの危険があり、作業手順や退避方法を適切に管理する必要があります。一方、Aの水深10m以上の潜水作業は、今回問われている作業主任者の選任義務の対象ではありません。Dだけは正しいものの、Aが含まれているため、この組合せは不適切です。
(4) B, C
不適切です。Cの硫酸を用いて行う洗浄の作業は、作業主任者の選任が必要な作業です。化学物質による健康障害を防ぐため、作業主任者が作業方法、換気、保護具の使用などを管理する必要があります。しかし、Bのセメント製造工程においてセメントを袋詰めする作業は、作業主任者の選任義務がある作業には該当しません。セメント粉じんへの対策は必要ですが、作業主任者の選任対象かどうかは、法令で列挙された作業に当たるかで判断します。
(5) C, D
適切です。Cの製造工程において硫酸を用いて行う洗浄の作業は、有害な化学物質を取り扱う作業であり、作業主任者の選任が必要です。Dの石炭を入れてあるホッパーの内部における作業も、内部での埋没や酸素欠乏などの危険があるため、作業主任者の選任対象となります。どちらも、作業者が単独の判断で安全を確保するには危険性が高く、作業方法や安全措置を管理する責任者が必要とされる作業です。
この問題で覚えるポイント
作業主任者の選任は、危険または有害な作業について、法令で定められた作業に該当する場合に必要です。感覚的に「危なそう」と思う作業すべてに作業主任者が必要になるわけではありません。特定化学物質を取り扱う作業、酸素欠乏危険場所での作業、一定の屋内作業やタンク・ホッパーなどの内部作業は頻出です。硫酸などの有害な化学物質を製造工程で用いる作業は、健康障害防止のため作業主任者の選任対象になりやすいと整理します。石炭や穀物などが入っているホッパー、サイロ、タンクなどの内部作業は、埋没や酸素欠乏の危険があるため、作業主任者の選任対象として問われやすいです。一方、潜水作業や粉じんが発生しそうな作業は危険性や有害性があっても、作業主任者の選任対象として出題された場合には、法令上の対象作業に該当するかを冷静に確認することが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「危険そうな作業」と「作業主任者の選任が法令上義務付けられている作業」を混同させる点にあります。水深10m以上の潜水作業は危険な印象が強いため、選任対象だと思いやすいですが、ここでは作業主任者の選任義務として判断する対象ではありません。セメントの袋詰め作業も粉じんが発生しそうで有害に見えますが、単に粉じんがあるから作業主任者が必要になるわけではありません。試験では、日常感覚で危険性を判断するのではなく、法令で列挙された作業に該当するかを確認する姿勢が大切です。特に、化学物質を用いる作業とホッパー内部作業は正答に結びつきやすい典型例として覚えておくと、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。
