出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第4問
問題
次の特定化学物質を製造しようとするとき、労働安全衛生法に基づく厚生労働大臣の許可を必要としないものはどれか。
(1) ベンゾトリクロリド
(2) ベリリウム
(3) オルト−フタロジニトリル
(4) ジアニシジン
(5) アルファ−ナフチルアミン
第1種衛生管理者|特定化学物質製造許可制度と対象物質一覧を解説
特定化学物質の中には、発がん性などの重大な健康障害のおそれが高いため、製造する際に厚生労働大臣の許可が必要な物質があります。答えはオルト−フタロジニトリルです。オルト−フタロジニトリルは特定化学物質ではありますが、労働安全衛生法に基づく製造許可対象物質には該当しません。ベンゾトリクロリド、ベリリウム、ジアニシジン、アルファ−ナフチルアミンは、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質として整理して覚えることが重要です。
(1) ベンゾトリクロリド
不適切です。ベンゾトリクロリドは、製造しようとするときに厚生労働大臣の許可を必要とする特定化学物質です。特定化学物質の中でも、特に発がん性などの有害性が強く、労働者の健康障害を防止するために厳格な管理が求められる物質については、事業者が自由に製造できるわけではありません。製造前に国の許可を受ける必要があります。この選択肢は「許可を必要としないもの」を問う設問では正解になりません。
(2) ベリリウム
不適切です。ベリリウムは、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質です。ベリリウムは粉じんなどを吸入すると、肺に重い健康障害を起こすおそれがあり、慢性的な障害や発がん性の観点からも厳しく管理されます。試験では、ベリリウムは「特定化学物質」「製造許可対象物質」として出題されやすい代表例です。名前に金属らしさがあるため、他の化学物質と区別しにくいですが、製造許可が必要なものとして押さえておくと判断しやすくなります。
(3) オルト−フタロジニトリル
適切です。オルト−フタロジニトリルは、特定化学物質として管理対象になる物質ですが、労働安全衛生法に基づく厚生労働大臣の製造許可を必要とする物質には該当しません。この設問では「特定化学物質かどうか」ではなく、「製造しようとするときに厚生労働大臣の許可が必要かどうか」が問われています。特定化学物質に含まれるものがすべて製造許可対象になるわけではないため、この違いを見抜くことが正答につながります。
(4) ジアニシジン
不適切です。ジアニシジンは、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質です。ジアニシジンは芳香族アミン系の物質で、発がん性のリスクが問題となる代表的な有害物質として扱われます。衛生管理者試験では、ジアニシジン、アルファ−ナフチルアミンなどの名称が並んで出題されることがあります。聞き慣れない名称でも、製造許可対象物質として暗記しておくと安定して対応できます。
(5) アルファ−ナフチルアミン
不適切です。アルファ−ナフチルアミンは、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質です。芳香族アミン系の有害物質で、発がん性との関係から厳しい規制対象になります。特に、ベータ−ナフチルアミンなど似た名称の物質も有害物質として出題されるため、ナフチルアミン系の名称を見たときは、強い有害性を持つ物質として警戒することが大切です。この選択肢も、許可を必要としないものではありません。
この問題で覚えるポイント
特定化学物質は、有害性が高く労働者に健康障害を起こすおそれがあるため、作業環境測定、特殊健康診断、局所排気装置などの管理が必要になる物質群です。ただし、特定化学物質に該当するものがすべて製造許可対象物質になるわけではありません。製造許可対象物質は、その中でも特に発がん性などの重大なリスクが高く、製造段階から国の許可を必要とするものです。試験では、ベンゾトリクロリド、ベリリウム、ジアニシジン、アルファ−ナフチルアミンなどは製造許可が必要な物質として覚えると正誤判断に直結します。オルト−フタロジニトリルは特定化学物質ではありますが、製造許可対象ではないため、「特定化学物質」と「製造許可対象物質」を同じものとして扱わないことが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「特定化学物質」と書かれているため、すべてが厚生労働大臣の製造許可を必要とするように感じてしまう点です。特定化学物質は管理対象として広い概念ですが、製造許可対象物質はその中の一部です。つまり、「有害だから規制される」と「製造そのものに許可が必要」は同じ意味ではありません。聞き慣れない化学物質名が並ぶと、すべて危険そうに見えて判断が曖昧になりますが、試験では代表的な製造許可対象物質を暗記しておき、そこに含まれないものを選ぶ力が必要です。
