【第一種衛生管理者過去問】2021年10月公表問題|問29|職場における腰痛予防対策指針と正しい作業姿勢|労働衛生(有害業務以外)を解説

出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第29問

問題

厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に基づく腰痛予防対策に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 腰部保護ベルトは、重量物取扱い作業に従事する労働者全員に使用させるようにする。

(2) 重量物取扱い作業の場合、満18歳以上の男性労働者が人力のみで取り扱う物の重量は、体重のおおむね50%以下となるようにする。

(3) 重量物取扱い作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後1年以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を行う。

(4) 立ち作業の場合は、身体を安定に保持するため、床面は弾力性のない硬い素材とし、クッション性のない作業靴を使用する。

(5) 腰掛け作業の場合の作業姿勢は、椅子に深く腰を掛けて、背もたれで体幹を支え、履物の足裏全体が床に接する姿勢を基本とする。

第1種衛生管理者|一種衛生管理者過去問|職場における腰痛予防対策指針と正しい作業姿勢を解説を解説

腰痛予防対策では、重量物を扱うときの重量の目安、腰痛健康診断の実施時期、立ち作業や腰掛け作業での姿勢管理がよく問われます。正解は(5)です。腰掛け作業では、椅子に深く腰を掛け、背もたれで体幹を支え、足裏全体が床に接する姿勢を基本とします。これは腰部への負担を分散し、無理な前傾姿勢や不安定な姿勢を防ぐためです。

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(1) 腰部保護ベルトは、重量物取扱い作業に従事する労働者全員に使用させるようにする。

不適切です。その理由は、腰部保護ベルトは労働者全員に一律に使用させるものではないためです。腰部保護ベルトは、腰部への負担を軽減する補助的な用具として用いられることがありますが、使用するかどうかは作業内容、腰痛の有無、労働者の身体状況などを踏まえて判断します。腰痛予防の基本は、作業姿勢の改善、重量物の機械化、作業台の高さ調整、休憩の確保などです。ベルトを使えば腰痛を完全に防げるわけではなく、過信するとかえって無理な作業につながるおそれがあります。

(2) 重量物取扱い作業の場合、満18歳以上の男性労働者が人力のみで取り扱う物の重量は、体重のおおむね50%以下となるようにする。

不適切です。その理由は、満18歳以上の男性労働者が人力のみで取り扱う重量の目安は、体重のおおむね40%以下とされているためです。50%では重すぎます。重量物取扱い作業では、腰部に大きな負担がかかりやすく、特に前かがみの姿勢や身体をひねる動作を伴うと腰痛のリスクが高まります。試験では、男性は体重のおおむね40%以下、女性は男性が取り扱うことのできる重量の60%程度という数値が重要です。

(3) 重量物取扱い作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後1年以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を行う。

不適切です。その理由は、重量物取扱い作業に常時従事する労働者に対する腰痛健康診断は、配置する際と、その後6か月以内ごとに1回、定期に行うものとされているためです。1年以内ごとでは間隔が長すぎます。腰痛は作業姿勢や負荷の蓄積によって悪化することがあるため、早期発見と作業改善につなげる目的で、比較的短い周期で健康状態を確認します。

(4) 立ち作業の場合は、身体を安定に保持するため、床面は弾力性のない硬い素材とし、クッション性のない作業靴を使用する。

不適切です。その理由は、立ち作業では、硬すぎる床面やクッション性のない作業靴は腰や下肢への負担を高めるためです。長時間の立ち作業では、床面の弾力性、滑りにくさ、作業靴のクッション性などが重要になります。足元が硬すぎると衝撃が吸収されにくく、腰部や膝、足への負担が増えます。安定性は必要ですが、単に硬い床や硬い靴にすればよいわけではありません。

(5) 腰掛け作業の場合の作業姿勢は、椅子に深く腰を掛けて、背もたれで体幹を支え、履物の足裏全体が床に接する姿勢を基本とする。

適切です。その理由は、腰掛け作業では、体幹を安定させ、腰部への負担を少なくする姿勢が基本となるためです。椅子に浅く腰掛けたり、背もたれを使わずに前かがみになったりすると、腰部の筋肉に負担がかかります。椅子に深く腰を掛け、背もたれで体を支え、足裏全体を床につけることで、体重が分散され、腰に過度な負担が集中しにくくなります。デスクワークや座位作業でも、この基本姿勢は腰痛予防の重要なポイントです。

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この問題で覚えるポイント

職場における腰痛予防対策では、重量物取扱い作業、立ち作業、腰掛け作業のそれぞれで腰部への負担を減らす考え方が重要です。重量物を人力で取り扱う場合、満18歳以上の男性労働者では体重のおおむね40%以下を目安とします。女性については、男性が取り扱うことのできる重量の60%程度が目安です。重量物取扱い作業に常時従事する労働者には、配置時とその後6か月以内ごとに1回、腰痛健康診断を行うことがポイントです。腰部保護ベルトは、全員に一律に使用させるものではなく、必要性を判断して補助的に用いるものです。立ち作業では、硬すぎる床やクッション性のない靴ではなく、腰や下肢への負担を軽減できる作業環境を整えることが大切です。腰掛け作業では、椅子に深く腰を掛け、背もたれで体幹を支え、足裏全体を床につける姿勢が基本です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、腰痛予防に関する一般的なイメージと、指針上の具体的な基準がずれている点です。腰部保護ベルトは腰痛予防に有効そうに見えますが、労働者全員に一律使用させるものではありません。また、重量物の目安では、男性の体重の50%という数値がもっともらしく見えますが、正しくはおおむね40%以下です。腰痛健康診断の間隔も、一般健康診断の年1回と混同しやすいですが、重量物取扱い作業に常時従事する労働者では6か月以内ごとに1回です。立ち作業では、安定性を重視するあまり硬い床や硬い靴を選びそうになりますが、実際には腰や下肢への負担を減らすため、クッション性や衝撃吸収も大切です。このように、腰痛予防対策では「強く固定する」「硬くする」「年1回でよい」といった一般的な思い込みではなく、腰部への負担を減らす具体的な基準と姿勢を押さえることが正答につながります。

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