出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第23問
問題
労働安全衛生規則に規定されている医師による健康診断について、法令に違反しているものは次のうちどれか。
(1) 雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者がその健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略している。
(2) 雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、35歳及び40歳の者並びに45歳以上の者に対しては、1,000Hz及び4,000Hzの音について行っているが、その他の年齢の者に対しては、医師が適当と認めるその他の方法により行っている。
(3) 海外に6か月以上派遣して帰国した労働者について、国内の業務に就かせるとき、一時的な就業の場合を除いて、海外派遣労働者健康診断を行っている。
(4) 常時50人の労働者を使用する事業場において、雇入時の健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。
(5) 常時40人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。
第1種衛生管理者|労働安全衛生法の健康診断制度と実施義務を解説
健康診断制度では、雇入時健康診断、定期健康診断、海外派遣労働者健康診断の実施時期や省略できる条件、労働基準監督署への報告義務がよく問われます。答えは(2)です。雇入時健康診断の聴力検査は、原則として1,000Hz及び4,000Hzの音について行う必要があり、年齢によって医師が適当と認める方法に置き換える扱いは認められていません。この年齢による簡略化は定期健康診断の聴力検査で出てくる考え方であり、雇入時健康診断と混同しないことが重要です。
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(1) 雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者がその健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略している。
適切です。雇入時の健康診断では、労働者が医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しないうちに、その結果を証明する書面を提出した場合には、その健康診断の項目に相当する項目を省略できます。これは、短期間のうちに同じ内容の健康診断を重ねて実施する必要性が低いためです。ただし、省略できるのは提出された書面で確認できる項目に限られます。健康診断そのものを無条件に省略できるわけではなく、相当する項目だけを省略できる点を押さえておく必要があります。
(2) 雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、35歳及び40歳の者並びに45歳以上の者に対しては、1,000Hz及び4,000Hzの音について行っているが、その他の年齢の者に対しては、医師が適当と認めるその他の方法により行っている。
不適切です。雇入時の健康診断における聴力検査は、1,000Hz及び4,000Hzの音について行う必要があります。選択肢のように、35歳、40歳、45歳以上の者だけを1,000Hz及び4,000Hzで検査し、その他の年齢の者について医師が適当と認める方法にするという扱いは、雇入時健康診断には当てはまりません。この記述は、定期健康診断における聴力検査の扱いと混同させる内容です。雇入時は、採用時点で労働者の健康状態を把握する重要な機会であるため、聴力についても所定の方法で確認する必要があります。
(3) 海外に6か月以上派遣して帰国した労働者について、国内の業務に就かせるとき、一時的な就業の場合を除いて、海外派遣労働者健康診断を行っている。
適切です。労働者を6か月以上海外に派遣し、帰国後に国内業務に就かせる場合には、原則として医師による健康診断を行う必要があります。海外では、生活環境、感染症リスク、医療事情、労働環境などが国内と異なるため、帰国後に健康状態を確認することが求められます。ただし、一時的に国内業務に就かせる場合は対象外とされます。試験では、「6か月以上」と「一時的な就業の場合を除く」という条件が重要です。
(4) 常時50人の労働者を使用する事業場において、雇入時の健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。
適切です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、定期健康診断の結果については所轄労働基準監督署長への報告が必要です。しかし、雇入時の健康診断の結果については、所轄労働基準監督署長への報告義務はありません。ここでは、「健康診断ならすべて報告が必要」と考えてしまうと誤りになります。報告義務が問われたときは、健康診断の種類を丁寧に見分けることが大切です。
(5) 常時40人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。
適切です。定期健康診断の結果報告が義務付けられるのは、常時50人以上の労働者を使用する事業場です。常時40人の事業場では、この報告義務の対象にはなりません。ただし、報告義務がない場合でも、定期健康診断そのものの実施義務や健康診断個人票の作成、保存などの管理は必要です。報告義務の有無と、健康診断の実施義務の有無を分けて理解しましょう。
この問題で覚えるポイント
健康診断制度では、雇入時健康診断と定期健康診断の違いを整理することが正誤判断に直結します。雇入時健康診断は、労働者を雇い入れる際に実施する健康診断で、医師による健康診断を受けてから3か月以内の結果証明書を提出した場合は、相当する項目を省略できます。雇入時健康診断の聴力検査は、原則として1,000Hz及び4,000Hzの音について行います。定期健康診断では、年齢によって聴力検査の方法に例外的な扱いが出てくるため、雇入時健康診断と混同しないことが重要です。海外派遣労働者健康診断では、6か月以上海外に派遣する場合と、6か月以上海外に派遣された労働者を帰国後に国内業務へ就かせる場合が重要です。ただし、帰国後の国内業務が一時的な就業である場合は除かれます。健康診断結果の報告義務では、常時50人以上の労働者を使用する事業場で定期健康診断結果報告書の提出が必要になる点を押さえます。雇入時健康診断の結果は、常時50人以上の事業場であっても所轄労働基準監督署長への報告義務はありません。
ひっかけポイント
この問題の大きな罠は、雇入時健康診断と定期健康診断の規定を混同させる点です。特に聴力検査では、1,000Hz及び4,000Hzという具体的な検査方法と、年齢によって医師が適当と認める方法が出てくるため、どの健康診断に関する規定なのかを見落とすと誤答しやすくなります。また、健康診断結果の報告義務についても、「常時50人以上ならすべての健康診断結果を報告する」と考えると引っかかります。報告義務があるのは主に定期健康診断であり、雇入時健康診断とは扱いが異なります。さらに、海外派遣労働者健康診断では、「6か月以上」という期間条件と「一時的な就業の場合を除く」という例外がセットで問われます。数字、健康診断の種類、報告義務の対象を一つずつ確認する習慣をつけると、このテーマの問題に安定して対応できます。
