出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第11問
問題
化学物質等による疾病のリスクの低減措置を検討する場合、次のアからエの対策について、優先度の高い順に並べたものは次のうちどれか。
ア 化学反応のプロセス等の運転条件の変更
イ 作業手順の改善
ウ 化学物質等に係る機械設備等の密閉化
エ 化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
(1) ア - ウ - イ - エ
(2) ア - エ - ウ - イ
(3) イ - ア - ウ - エ
(4) ウ - ア - イ - エ
(5) ウ - ア - エ - イ
特例第一種衛生管理者|化学物質リスク低減措置の優先順位とリスク管理手法を解説
化学物質等による健康障害を防ぐためのリスク低減措置では、まず危険有害性そのものを小さくする対策を優先し、次に設備面でばく露を防ぎ、その後に作業方法を改善し、最後に保護具を使用します。答えは(1)です。アの運転条件の変更は本質的なリスク低減に近く、ウの密閉化は工学的対策、イの作業手順の改善は管理的対策、エの保護具の使用は個人防護に当たるため、優先順位はア、ウ、イ、エとなります。
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(1) ア - ウ - イ - エ
適切です。化学反応のプロセス等の運転条件の変更は、化学物質の発生量や反応の危険性を根本から小さくする方向の対策です。たとえば、より低温、低圧で反応させる、発散しにくい条件に変える、危険な副生成物が出にくい工程に変えるといった方法が考えられます。次に、機械設備等の密閉化により、作業者が化学物質に接触したり吸入したりする機会を減らします。その後、作業手順の改善により、ばく露時間や作業姿勢、取り扱い方法などを見直します。最後に、有効な保護具を使用します。保護具は重要な対策ですが、正しく選び、正しく着用し、管理されて初めて効果を発揮するため、リスク低減措置の優先順位としては最後に位置付けられます。
(2) ア - エ - ウ - イ
不適切です。アを最初に置いている点は適切ですが、保護具の使用を密閉化や作業手順の改善より先にしている点が誤りです。保護具は作業者個人に依存する対策であり、着用漏れ、選定ミス、劣化、フィット不良などによって効果が下がることがあります。化学物質対策では、まず発生源や設備側でリスクを抑え、それでも残るリスクに対して保護具を使用するという考え方が基本です。
(3) イ - ア - ウ - エ
不適切です。作業手順の改善を最優先にしている点が誤りです。作業手順の改善は大切ですが、人の行動に依存する管理的対策です。作業者が手順を守ることを前提とするため、設備の密閉化や運転条件の変更のように、リスクを根本的または物理的に低減する対策より優先度は低くなります。試験では、人に注意させる対策より、危険有害性そのものやばく露経路を減らす対策が上位であると判断します。
(4) ウ - ア - イ - エ
不適切です。ウの密閉化は非常に有効な対策ですが、アの化学反応のプロセス等の運転条件の変更より先に置いている点が誤りです。密閉化は化学物質が作業環境に出ないようにする工学的対策ですが、運転条件の変更は発生量や危険性そのものを下げる方向の対策です。リスク低減では、発生源に近い対策、つまり危険有害性を根本から小さくする対策の方が優先されます。
(5) ウ - ア - エ - イ
不適切です。ウとアの順序が逆である点に加え、保護具の使用を作業手順の改善より先にしている点も誤りです。密閉化は重要ですが、まずはプロセスや運転条件を見直してリスクそのものを低くすることが優先されます。また、保護具は最後の防護手段として位置付けられます。保護具を早い段階で選ぶのではなく、設備対策や作業方法の改善を行ったうえで、なお残るリスクに対応するために使用するものです。
この問題で覚えるポイント
化学物質等のリスク低減措置は、危険有害性そのものを小さくする対策、設備によってばく露を防ぐ対策、作業方法を見直す対策、保護具による個人防護の順に優先します。具体的には、代替物の使用、使用条件や反応条件の変更、発散源の密閉化、局所排気装置や全体換気装置の設置、作業手順の改善、作業時間の短縮、保護具の使用という流れで考えると整理しやすいです。試験では、保護具は重要であっても最優先ではない点がよく問われます。安全衛生管理では、人の注意や着用に頼る対策より、発生源や設備側でリスクを減らす対策の方が優先されます。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、密閉化や保護具の使用が一見すると強力な対策に見える点です。特に保護具は現場でよく使われるため、優先順位が高いと考えがちですが、実際には最後の手段として位置付けられます。また、密閉化は有効な工学的対策ですが、リスクそのものを低くする運転条件の変更よりは後になります。化学物質対策では、目の前の作業者を守る対策だけでなく、発生源に近いところから順番にリスクを下げるという考え方で判断することが重要です。
