【特例第一種衛生管理者過去問】2021年4月公表問題|問15|作業環境の有害要因による健康障害と職業病|労働衛生(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第15問

問題

作業環境における有害要因による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 窒素ガスで置換したタンク内の空気など、ほとんど無酸素状態の空気を吸入すると徐々に窒息の状態になり、この状態が5分程度継続すると呼吸停止する。

(2) 減圧症は、潜函(かん)作業者、潜水作業者などに発症するもので、高圧下作業からの減圧に伴い、血液中や組織中に溶け込んでいた窒素の気泡化が関与して発生し、皮膚のかゆみ、関節痛、神経の麻痺(ひ)などの症状がみられる。

(3) 金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛、銅などの金属の酸化物のヒュームを吸入することにより発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。

(4) 低体温症は、低温下の作業で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいい、意識消失、筋の硬直などの症状がみられる。

(5) 振動障害は、チェーンソーなどの振動工具によって生じる障害で、手のしびれなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。

特例第一種衛生管理者|作業環境の有害要因による健康障害と職業病を解説

作業環境における有害要因による健康障害では、酸素欠乏、減圧症、金属熱、低体温症、振動障害などの原因と症状を正しく対応させることが重要です。答えは(1)です。ほとんど無酸素状態の空気を吸入した場合は、徐々に窒息するのではなく、意識消失や呼吸停止が急速に起こる危険があります。無酸素空気では体が酸素不足を感じて逃げる余裕がないまま倒れることがあるため、この記述は不適切です。

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チェーンソー振動工具

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【特例第一種衛生管理者過去問】2021年4月公表問題|問15|作業環境の有害要因による健康障害と職業病|労働衛生(有害業務)__t1syu-2021-04-eiseiyugai-q15

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(1) 窒素ガスで置換したタンク内の空気など、ほとんど無酸素状態の空気を吸入すると徐々に窒息の状態になり、この状態が5分程度継続すると呼吸停止する。

不適切です。窒素ガスで置換されたタンク内などでは、空気中の酸素濃度が極端に低下していることがあります。このようなほとんど無酸素状態の空気を吸入すると、体内に酸素が取り込まれず、脳が急速に酸素不足になります。酸素欠乏では、ゆっくり苦しくなっていくというよりも、短時間で意識を失い、呼吸停止や死亡に至る危険があります。特に窒素自体には強い刺激臭などがないため、危険を感じにくい点も重要です。「徐々に窒息の状態になり、5分程度継続すると呼吸停止する」という部分が誤りです。

(2) 減圧症は、潜函(かん)作業者、潜水作業者などに発症するもので、高圧下作業からの減圧に伴い、血液中や組織中に溶け込んでいた窒素の気泡化が関与して発生し、皮膚のかゆみ、関節痛、神経の麻痺(ひ)などの症状がみられる。

適切です。減圧症は、高圧環境で作業した後、急に通常の気圧へ戻ることで起こります。高圧下では窒素が血液や組織に多く溶け込みますが、減圧が急すぎると、その窒素が気泡となって血管や組織に障害を起こします。症状としては、皮膚のかゆみ、関節痛、筋肉痛、しびれ、神経麻痺などがみられます。潜水作業や潜函作業と結び付けて覚えると判断しやすい内容です。

(3) 金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛、銅などの金属の酸化物のヒュームを吸入することにより発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。

適切です。金属熱は、金属の溶接、溶断、溶融などの作業で発生する金属酸化物のヒュームを吸入することで起こる急性の健康障害です。代表的には亜鉛の酸化物ヒュームが知られています。症状は、悪寒、発熱、関節痛、筋肉痛、頭痛などで、インフルエンザに似た症状を示すことがあります。金属そのものの大きな粉じんではなく、加熱により発生する微細なヒュームが原因になる点が重要です。

(4) 低体温症は、低温下の作業で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいい、意識消失、筋の硬直などの症状がみられる。

適切です。低体温症は、寒冷環境で全身が冷やされ、深部体温が35℃程度以下に低下した状態をいいます。初期にはふるえや判断力の低下がみられ、進行すると意識障害、筋の硬直、呼吸や循環の低下などが起こります。寒冷作業では、手足の局所的な障害だけでなく、全身の体温低下による生命に関わる障害にも注意が必要です。

(5) 振動障害は、チェーンソーなどの振動工具によって生じる障害で、手のしびれなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。

適切です。振動障害は、チェーンソー、削岩機、刈払機などの振動工具を長期間使用することで起こる職業性疾病です。手指のしびれ、感覚低下、痛みなどの末梢神経障害のほか、寒冷時などに指が白くなるレイノー現象がみられます。これは末梢血管の収縮による循環障害です。振動障害では、神経障害と末梢循環障害の両方が問われやすいです。

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この問題で覚えるポイント

作業環境の有害要因による健康障害では、原因となる作業環境と発生する症状をセットで覚えることが正誤判断に直結します。酸素欠乏は、酸素濃度が低い空気を吸入することで起こり、特に窒素置換されたタンク内などでは無酸素に近い状態となるため、短時間で意識消失や呼吸停止に至る危険があります。減圧症は、高圧下作業後の減圧により、体内に溶け込んだ窒素が気泡化して起こり、皮膚のかゆみ、関節痛、神経麻痺などがみられます。金属熱は、亜鉛や銅などの金属酸化物ヒュームの吸入によって起こり、悪寒、発熱、関節痛などインフルエンザ様の症状を示します。低体温症は、深部体温が35℃程度以下に低下した状態で、意識障害や筋の硬直がみられます。振動障害は、振動工具の使用によって起こり、手指のしびれなどの末梢神経障害と、レイノー現象などの末梢循環障害が特徴です。

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ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、酸素欠乏を「徐々に苦しくなっていくもの」と考えてしまう点です。日常感覚では、窒息というと息苦しさが少しずつ強くなるイメージがありますが、無酸素に近い空気では脳への酸素供給が急速に途絶えるため、危険を感じる前に意識を失うことがあります。また、他の選択肢は原因物質や作業内容と症状の組合せが典型的であるため、聞き慣れない用語に惑わされず、原因、発生機序、症状を対応させて判断することが大切です。職業病の問題では、文章の一部が正しくても、発症の速さや条件がずれていると誤りになります。

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