問題
製造所等の使用開始に関する次の記述のうち、消防法令上、正しいものはどれか。ただし、仮使用の承認を受けた場合を除く。
(1) 設置許可を受けた製造所等は、工事が完了すれば、完成検査を受ける前でも使用できる。
(2) 設置又は変更の許可を受けて工事をした製造所等は、完成検査を受け、技術上の基準に適合していると認められた後でなければ使用できない。
(3) 完成検査の申請をしていれば、完成検査済証の交付前でも危険物を使用した試運転を行うことができる。
(4) 製造所等を新たに設置する工事でも、工事が完了した部分について仮使用の承認を受ければ使用できる。
(5) 完成検査前検査を受けたタンクは、製造所等全体の完成検査を受ける前でも使用できる。
危険物取扱者乙種4類|製造所等の完成検査と使用開始を解説
製造所等を設置又は変更する場合は、市町村長等の許可を受けて工事を行います。ただし、許可を受けて工事が完了しただけでは、製造所等を使用することはできません。完成検査を受け、位置、構造及び設備が技術上の基準に適合していると認められた後に、使用を開始できます。 完成検査の結果、技術上の基準に適合していると認められた場合には、完成検査済証が交付されます。したがって、正解は(2)です。

(1) 設置許可を受けた製造所等は、工事が完了すれば、完成検査を受ける前でも使用できる。
不適切です。設置許可を受けたことや工事が完了したことだけでは、製造所等を使用できません。設置許可は、法令上の手続きを経て製造所等を設置するために必要な許可であり、完成した施設の安全性が確認されたことを意味するものではありません。 工事の完了後には、市町村長等が行う完成検査を受ける必要があります。その検査で、製造所等の位置、構造及び設備が技術上の基準に適合していると認められた後でなければ、危険物の貯蔵又は取扱いを開始することはできません。 試験では、「設置許可を受けた」「工事が完了した」という事実だけで使用できると判断しないことが重要です。
(2) 設置又は変更の許可を受けて工事をした製造所等は、完成検査を受け、技術上の基準に適合していると認められた後でなければ使用できない。
適切です。消防法第11条第5項では、設置又は変更の許可を受けて工事をした製造所等について、完成検査を受け、技術上の基準に適合していると認められた後でなければ使用してはならないと定めています。 完成検査では、許可された内容どおりに工事が行われているか、施設の位置、構造及び設備が消防法令上の技術基準に適合しているかが確認されます。基準に適合していると認められると、完成検査済証が交付されます。 危険物施設では、配管の施工不良、タンクからの漏えい、換気設備の不足、消火設備の不備などが重大な事故につながるおそれがあります。そのため、行政による最終的な確認を受けた後に使用を開始する仕組みになっています。
(3) 完成検査の申請をしていれば、完成検査済証の交付前でも危険物を使用した試運転を行うことができる。
不適切です。完成検査を申請しただけでは、製造所等が技術上の基準に適合していることは確認されていません。危険物を実際に使用して行う試運転は、製造所等の使用に当たるため、完成検査による基準適合の確認前に行うことはできません。 「本格的な操業ではなく試運転だからよい」という例外はありません。危険物を設備や配管に入れて運転すると、漏えい、火災、爆発などが発生する危険があるため、試運転であっても完成検査前に行うことは認められません。 なお、水や空気などを用いた配管試験や、危険物を使用しない電気設備の作動確認などは、危険物を使用した試運転とは区別して考える必要があります。実際に行える試験の範囲については、施設や試験内容に応じて所轄消防機関との確認が必要です。
(4) 製造所等を新たに設置する工事でも、工事が完了した部分について仮使用の承認を受ければ使用できる。
不適切です。消防法第11条第5項ただし書による仮使用は、既存の製造所等について変更工事を行う場合に認められる制度です。変更工事に関係しない部分の全部又は一部について、市町村長等の承認を受けることで、変更工事中でも使用できる場合があります。 一方、製造所等を新たに設置する工事については、まだ使用実績のある既存部分が存在しません。そのため、設置工事の一部が完成したことを理由として、仮使用の承認を受けることはできません。 仮使用は、新設工事の完成前に施設の一部を使用するための制度ではなく、変更工事中の既存施設について、安全上支障のない工事対象外部分を使用するための例外制度です。
(5) 完成検査前検査を受けたタンクは、製造所等全体の完成検査を受ける前でも使用できる。
不適切です。完成検査前検査と完成検査は、目的と対象が異なります。完成検査前検査は、液体危険物を貯蔵し、又は取り扱う一定のタンクについて、工事の途中で水張検査、水圧検査、基礎・地盤検査、溶接部検査などを行う制度です。 完成検査前検査に合格しても、確認されたのはタンクの強度や漏れなど、検査対象となった部分に限られます。製造所等全体の位置、構造及び設備が技術上の基準に適合していることまで確認されたわけではありません。 したがって、タンクが完成検査前検査に合格していても、それだけで危険物の貯蔵又は取扱いを開始することはできません。製造所等全体について完成検査を受け、技術上の基準に適合していると認められる必要があります。
この問題で覚えるポイント
製造所等を新たに設置する場合は、設置許可、工事、完成検査、技術上の基準への適合確認、完成検査済証の交付、使用開始という順序で整理します。設置許可を受けたことや工事が完了したことだけでは、使用を開始できません。 変更工事の場合も、変更許可を受けて工事をした製造所等は、原則として完成検査による基準適合の確認後でなければ使用できません。ただし、変更工事に関係しない部分については、市町村長等の仮使用の承認を受けることで、変更工事中でも使用できる場合があります。 完成検査前検査は、一定のタンクについて工事途中の段階で強度や漏れなどを確認する検査です。完成検査前検査に合格したことと、製造所等全体の使用が認められたことは同じではありません。 試験対策では、次の流れを覚えておきましょう。 設置又は変更の許可 ↓ 工事 ↓ 完成検査 ↓ 技術上の基準への適合確認 ↓ 完成検査済証の交付 ↓ 使用開始
ひっかけポイント
このテーマでは、「許可」「完成検査」「完成検査前検査」「仮使用」の違いが問われます。 設置許可や変更許可は、製造所等の設置又は変更について受ける手続きです。許可を受けただけでは、完成した施設を使用できません。使用開始には、完成検査による技術上の基準への適合確認が必要です。 完成検査を申請しただけでも使用できません。特に、危険物を実際に設備へ入れて行う試運転は、本格的な操業前であっても製造所等の使用に当たります。 完成検査前検査は、完成検査を省略する制度ではありません。タンクの水張検査や水圧検査などに合格しても、製造所等全体について完成検査を受ける必要があります。 また、仮使用が認められるのは、変更工事に関係しない既存部分について、市町村長等の承認を受けた場合です。新設工事の完成前に一部を使用する制度ではありません。 「許可を受けたから使用できる」「申請したから使用できる」「タンク検査に合格したから使用できる」という判断はいずれも誤りです。完成検査による基準適合の確認後に使用を開始するという原則を中心に覚えてください。
