出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の環境衛生第31問
問題
空気汚染物質とその健康障害との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) オゾン-気道粘膜の刺激
(2) ラドン-肺がん
(3) ハウスダスト-ぜん息
(4) たばこ煙-慢性閉塞性肺疾患(COPD)
(5) 二酸化窒素-過敏性肺炎
ビル管過去問|空気汚染物質と人体影響を解説
この問題は、空気汚染物質と代表的な健康障害の組合せを問う問題です。正しい選択肢は(5)です。二酸化窒素は主に気道刺激や呼吸器症状、ぜん息の悪化などに関係する物質であり、過敏性肺炎の主な原因とはいえません。過敏性肺炎は、カビ、細菌、鳥のふんや羽毛などに由来する有機粉じんを繰り返し吸入することで起こるアレルギー性の肺疾患として整理します。

(1) オゾン-気道粘膜の刺激
適切です。オゾンは酸化力が強い気体であり、吸入すると鼻、のど、気管支などの気道粘膜を刺激します。高濃度になると、咳、のどの痛み、胸部不快感、呼吸機能の低下などを起こすことがあります。オゾンは光化学オキシダントの代表的な成分でもあり、空気汚染による呼吸器への影響としてよく問われます。
(2) ラドン-肺がん
適切です。ラドンは自然界に存在する放射性ガスで、岩石や土壌などから発生することがあります。ラドンやその壊変生成物を吸入すると、肺に放射線の影響を与える可能性があり、肺がんのリスク因子として知られています。特に換気が不十分な地下空間や閉鎖的な室内では、蓄積に注意が必要です。
(3) ハウスダスト-ぜん息
適切です。ハウスダストには、ダニ、ダニのふんや死骸、カビ、花粉、繊維くずなど、さまざまな微粒子が含まれます。これらはアレルゲンとなり、気道に炎症を起こして、ぜん息の発症や悪化に関係することがあります。建築物衛生では、換気、清掃、湿度管理などによってハウスダストやダニの増加を防ぐことが重要です。
(4) たばこ煙-慢性閉塞性肺疾患(COPD)
適切です。たばこ煙は、慢性閉塞性肺疾患、いわゆるCOPDの最も重要な原因の一つです。COPDでは、気管支や肺胞に慢性的な炎症が起こり、息切れ、咳、たんなどの症状が続きます。喫煙者本人だけでなく、受動喫煙によって周囲の人にも健康影響が及ぶため、建築物内の空気環境管理でも重要なテーマです。
(5) 二酸化窒素-過敏性肺炎
不適切です。二酸化窒素は燃焼に伴って発生する代表的な大気汚染物質で、気道を刺激し、咳、のどの痛み、呼吸器症状、ぜん息の悪化などに関係します。しかし、過敏性肺炎の主な原因として整理される物質ではありません。過敏性肺炎は、カビ、細菌、鳥関連の有機物などを繰り返し吸い込むことで起こるアレルギー性の肺疾患です。そのため、「二酸化窒素」と「過敏性肺炎」の組合せは不適当です。
この問題で覚えるポイント
空気汚染物質と健康障害の問題では、物質名と代表的な人体影響をセットで覚えることが大切です。オゾンは酸化力が強く、気道粘膜の刺激に関係します。ラドンは放射性ガスで、肺がんのリスク因子として整理します。ハウスダストはダニやカビなどを含み、ぜん息やアレルギー症状に関係します。たばこ煙はCOPDや肺がん、受動喫煙による健康影響と結びつけて覚えます。二酸化窒素は燃焼由来の汚染物質で、気道刺激や呼吸器症状、ぜん息の悪化と関連します。一方、過敏性肺炎は化学的刺激というより、カビ、細菌、鳥のふんや羽毛などの有機粉じんを繰り返し吸い込むことで起こるアレルギー性の肺疾患です。試験では、「呼吸器に悪い」という大まかな理解だけでなく、どの物質がどの疾患と強く結びつくかを区別することが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、二酸化窒素も呼吸器に悪影響を与えるため、「肺の病気である過敏性肺炎」と結びつけても正しそうに見える点です。しかし、二酸化窒素の代表的な影響は、気道刺激、咳、呼吸器症状、ぜん息の悪化などです。過敏性肺炎は、原因物質の種類が異なり、主に有機粉じんや微生物由来の抗原によるアレルギー性の肺疾患です。つまり、「呼吸器に影響する物質」と「特定の肺疾患の原因」を大ざっぱに結びつけると誤答しやすくなります。このパターンでは、似たような呼吸器疾患名に惑わされず、代表的な原因物質と健康障害の組合せを正確に確認することが重要です。
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