出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|清掃第152問
問題
硬性床材の特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 大理石は、耐アルカリ性に乏しい。
(2) テラゾは、耐酸性に乏しい。
(3) セラミックタイルは、耐摩耗性に乏しい。
(4) 花崗(こう)岩は、耐熱性に乏しい。
(5) 目地のモルタルは、耐酸性に乏しい。
ビル管過去問|硬質床材 大理石の性質と清掃管理を解説
この問題は、硬質床材ごとの材質的な性質と、それに応じた清掃管理上の注意点を問う問題です。床材の問題では、酸に弱いのか、アルカリに弱いのか、摩耗に強いのか、熱に強いのかという基本特性を正確に押さえておくことが重要です。今回の正解は、セラミックタイルは耐摩耗性に乏しいとした記述です。セラミックタイルは一般に硬く、耐摩耗性に優れているため、この記述が最も不適当です。
(1) 大理石は、耐アルカリ性に乏しい。
適切です。大理石は主成分が炭酸カルシウムであるため、化学的な影響を受けやすい石材です。実務では酸に弱い石材としてよく知られていますが、アルカリにも必ずしも強いわけではなく、強いアルカリ性洗剤や不適切な剥離剤などにより表面の光沢低下や変質を起こすことがあります。大理石は見た目が高級で硬そうに感じますが、薬品への耐性には注意が必要です。そのため、日常清掃や定期清掃では、中性洗剤を基本とし、薬品の選定を誤らないことが大切です。
(2) テラゾは、耐酸性に乏しい。
適切です。テラゾは、人造石研ぎ出し仕上げの床材で、一般にセメント系結合材の中に大理石などの骨材を混ぜて仕上げたものです。セメント系材料も、大理石系骨材も、いずれも酸の影響を受けやすいため、耐酸性には乏しいと考えるのが基本です。酸性洗剤を使用すると、表面が荒れたり、つやが失われたり、変色したりするおそれがあります。したがって、テラゾの清掃では、酸で汚れを落とそうと安易に考えず、材質保護を優先して中性付近の洗剤や適切な方法を選ぶ必要があります。
(3) セラミックタイルは、耐摩耗性に乏しい。
不適切です。セラミックタイルは、焼成によって作られる非常に硬い材料であり、一般に耐摩耗性に優れています。人の歩行が多い場所でも比較的摩耗しにくく、耐久性が高いことが長所です。そのため、玄関、通路、エントランスなど、土砂の持ち込みや歩行頻度の高い場所にも広く用いられます。もちろん、表面仕上げによっては汚れの付着しやすさや滑りやすさに違いはありますが、耐摩耗性に乏しいという理解は誤りです。この選択肢が正解になります。
(4) 花崗(こう)岩は、耐熱性に乏しい。
適切です。花崗岩は硬く、耐摩耗性や耐久性に優れた石材として知られていますが、熱に対して全く無関係ではありません。急激な温度変化や過度の加熱によって、ひび割れ、変色、表面劣化を生じることがあります。試験では、花崗岩は硬くて丈夫という印象だけで全てに強いと考えてしまうと誤りやすいです。建材の性質は一方向ではなく、摩耗には強いが別の要因には注意が必要という見方が大切です。清掃管理でも、高温の機器や熱源に近い場所では材質特性を考慮する必要があります。
(5) 目地のモルタルは、耐酸性に乏しい。
適切です。目地モルタルはセメント系材料であるため、酸に触れると侵されやすい性質があります。床材そのものが比較的強くても、目地部分が先に傷むことは実務でもよくあります。特に酸性洗剤を使うと、目地が溶けるように劣化し、欠けやもろさ、変色の原因になります。その結果、見た目の悪化だけでなく、目地から汚れや水分が入り込みやすくなり、床全体の維持管理に悪影響を及ぼします。床材を見るときは、表面材だけでなく、目地材まで含めて性質を判断することが重要です。
この問題で覚えるポイント
硬質床材の正誤問題では、材質ごとの弱点を対比で覚えることが大切です。大理石やテラゾ、モルタル目地のように、炭酸カルシウムやセメント系材料を含むものは、酸に弱いというのが基本です。大理石は高級感があり硬そうに見えますが、薬品に対して繊細で、酸だけでなく強いアルカリにも注意が必要です。テラゾも見た目は丈夫ですが、酸性薬品には弱い材質です。目地モルタルもセメント系なので、酸性洗剤で傷みやすいです。
一方で、セラミックタイルは焼き物であり、硬く、耐摩耗性に優れます。耐摩耗性に乏しいという表現は、典型的な誤りとして押さえておくべきです。花崗岩は硬く丈夫で、耐摩耗性にも優れますが、だからといって全ての作用に万能ではありません。熱や急激な温度変化には注意が必要です。このように、硬い材質であることと、薬品や熱への耐性が高いことは同じではありません。
試験対策としては、石材系とセメント系は酸に弱い、セラミックタイルは摩耗に強い、という軸で整理すると判断しやすくなります。さらに、床材本体だけでなく、目地材や表面仕上げも含めて考える癖をつけると、類題にも対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、硬い材料は何に対しても強いと思い込ませる点にあります。受験者は、セラミックタイルや花崗岩のような硬い材料を見ると、摩耗にも熱にも薬品にも全部強いと考えがちです。しかし、実際には、耐摩耗性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性はそれぞれ別の性質です。ある性質に優れていても、別の性質では弱点があることがあります。
また、大理石は酸に弱いという知識が有名なため、アルカリ性に乏しいという表現を見ると違和感を持って外したくなる人がいます。ここが思考の罠です。試験では、よく知られた弱点だけでなく、清掃管理上問題となる別の弱点も問われます。さらに、床材本体だけを見て、目地モルタルの性質を軽視してしまうのも典型的な誤答パターンです。現場では、床材そのものより先に目地が傷むことも多いため、材料は部分ごとに性質を分けて考える必要があります。
今後も同じパターンとして、見た目の印象で判断しないこと、材質ごとの弱点を作用別に整理すること、床材本体と目地材を分けて考えることが、正答率を上げるポイントになります。
