【ビル管過去問】令和6年度 問題144|清掃作業手順書 作成目的と記載事項を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|清掃第144問

問題

清掃の作業手順書に関する次の文章の(   )内に入る語句として、最も適当なものはどれか。 作業手順書とは、一つ一つの作業のマニュアルである。作業名、行うべき作業項目、作業手順、(   )、注意事項、作業終了後の品質状態等を記載したもので、従事者に対する教育指導のために使用する。

(1) 作業計画の作成方法

(2) 作業実施記録の書き方

(3) 作業スケジュールの管理方法

(4) 組織管理体制

(5) 使用資機材と数量

ビル管過去問|清掃作業手順書 作成目的と記載事項を解説

この問題は、清掃の作業手順書に何を記載するのかを問う問題です。作業手順書は、現場で実際に作業する従事者が、どの順番で、何を使い、どのような品質で作業を終えるべきかを理解するための実務文書です。そのため、計画や管理のための事項ではなく、個々の作業を実施するために直接必要な事項が記載されます。したがって、空欄に入るのは、作業に用いる使用資機材と数量です。正しい選択肢は(5)です。

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(1) 作業計画の作成方法

不適切です。作業計画の作成方法は、作業手順書に記載する中心事項ではありません。作業手順書は、すでに定められた作業を、現場でどのように実施するかを示す実行用のマニュアルです。一方で、作業計画は、いつ、どこを、誰が、どの頻度で行うかを整理する上位の管理文書に当たります。つまり、計画を立てるための考え方と、実際に作業を行うための手順は役割が異なります。この選択肢は、管理段階の内容を、実施段階の文書に持ち込んでいる点が不適切です。

(2) 作業実施記録の書き方

不適切です。作業実施記録の書き方は、作業後の報告や履歴管理に関する内容であり、作業手順書の主目的とは異なります。作業手順書は、従事者が迷わず一定水準の作業を行えるようにするための教育標準化文書です。これに対して、実施記録は、作業が行われた事実や結果を残すための記録文書です。両者は関連しますが、目的が違います。手順書に記録様式の説明が補足されることはあっても、空欄に入る主要項目としては適当ではありません。

(3) 作業スケジュールの管理方法

不適切です。作業スケジュールの管理方法は、作業の時間配分や日程調整に関する管理事項であり、個別の作業マニュアルに記載する本質的事項ではありません。作業手順書で重視されるのは、その作業をどのような順番で進めるか、何に注意するか、どのような仕上がり状態を目標とするかという点です。スケジュール管理は、現場責任者や管理者が行う業務管理の領域であり、個々の清掃作業そのものを説明する記載事項とは性質が異なります。

(4) 組織管理体制

不適切です。組織管理体制は、指揮命令系統や責任分担を示す管理上の事項であり、一つ一つの作業のマニュアルである作業手順書に入る内容としては適当ではありません。もちろん、清掃業務全体を運営するうえでは、責任者や報告系統を明確にすることは重要です。しかし、それは業務仕様書や管理体制表、業務マニュアルなどで整理される内容です。作業手順書は、あくまで現場の作業者がその作業を正しく実施するための具体的な行動基準を示す文書ですから、組織全体の管理体制は中心項目にはなりません。

(5) 使用資機材と数量

適切です。作業手順書には、どの資機材を使って作業するのかを明確に記載する必要があります。なぜなら、同じ清掃作業でも、用いるモップ、クロス、洗剤、パッド、バケツ、掃除機などが異なれば、作業方法も仕上がりも変わるからです。また、数量まで示しておくことで、準備不足や過剰使用を防ぎ、作業の標準化と品質の安定につながります。作業名、作業項目、作業手順、使用資機材と数量、注意事項、作業終了後の品質状態という並びは、実際の現場教育にもなじみやすく、手順書の基本的な構成として適切です。

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この問題で覚えるポイント

作業手順書は、一つ一つの作業を標準化するための実施マニュアルです。目的は、従事者に対する教育指導と、作業品質の均一化にあります。したがって、記載内容は、現場でそのまま使える具体的事項で構成されます。代表的には、作業名、作業項目、作業手順、使用資機材と数量、注意事項、作業終了後の品質状態などです。 ここで重要なのは、作業手順書と他の文書の役割を区別することです。作業計画は、作業の日時、頻度、人員配置などを定める文書です。作業実施記録は、実施結果や異常の有無を残す文書です。組織管理体制は、責任者や指揮命令系統を整理する管理文書です。つまり、手順書は「どう作業するか」、計画書は「いつ誰が行うか」、記録は「何を行ったか」、管理体制は「誰が責任を持つか」を示すものです。この区別を押さえることが、同テーマの問題を解くうえで非常に重要です。 また、清掃管理では、仕様書、作業計画書、作業手順書、点検表、報告書など、似た名称の文書が多く出てきます。試験では、それぞれの文書の目的と記載事項の違いがよく問われます。名称だけで判断せず、その文書が現場実施用なのか、管理用なのか、記録用なのかを考えることが正答への近道です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、清掃業務に関する文書がどれももっともらしく見える点にあります。特に、作業計画、実施記録、スケジュール管理、組織管理体制は、いずれも現場運営に必要な事項なので、受験者は「手順書にも書いてありそうだ」と感じやすいです。しかし、問題は「清掃業務に必要な事項」を問うているのではなく、「作業手順書に記載する事項」を問うています。ここで文書の役割を区別できないと、管理文書の内容を選んでしまいます。 また、「従事者に対する教育指導のために使用する」という本文の表現が大きなヒントです。教育指導に使うなら、現場の作業者がすぐ使える具体的情報が必要です。そこで重要になるのは、何を使うか、どう進めるか、どんな仕上がりにするかという実務直結の内容です。逆に、計画の作り方や組織体制のような管理情報は、教育用の作業マニュアルとしては焦点がずれます。 今後も同じパターンで、文書名称は違っても、「目的」と「記載事項」の対応関係を問う問題が出ます。名称の印象だけで選ばず、その文書が誰のためのもので、何のために使われるかを考える習慣をつけることが大切です。

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