【ビル管過去問】令和6年度 問題171|衛生害虫の種類と生態(ハエ類など)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|ねずみ、昆虫等の防除第171問

問題

害虫やその防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) ニクバエ類の雌成虫は、糞(ふん)や腐敗した動物質などに卵を産み付ける。

(2) チョウバエ類の発生源は、建築物内では浄化槽や排水溝などである。

(3) ユスリカ類が建築物内の排水溝やプールから発生することがある。

(4) チャタテムシ類の防除では、カビの発生を抑えることも必要である。

(5) ネッタイトコジラミが国内の宿泊施設で発見された事例がある。

 

 

 

 

ビル管過去問|衛生害虫の種類と生態(ハエ類など)を解説

この問題は、建築物内で問題となる衛生害虫について、それぞれの発生源、生態、防除の基本を正しく理解しているかを問う問題です。単に名前を覚えるだけではなく、「どこで発生するのか」「何を除去すれば防除につながるのか」まで結び付けて理解しておくことが大切です。正答は(1)で、ニクバエ類は一般に卵ではなく幼虫を産む点が重要な見分けポイントです。他の選択肢は、建築物衛生管理の実務でもそのまま役立つ基本知識として正しい内容です。

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(1) ニクバエ類の雌成虫は、糞(ふん)や腐敗した動物質などに卵を産み付ける。

不適切です。ニクバエ類の大きな特徴は、卵を産み付けるのではなく、孵化直前または孵化した幼虫を直接産むことです。これを卵胎生または幼虫産生として理解しておくとよいです。ニクバエ類は腐敗した肉類、動物の死体、排せつ物などに集まりやすく、衛生上問題となりますが、産み付けるものが「卵」ではない点が誤りです。試験では、イエバエ、クロバエ、ニクバエなどのハエ類の発生源を問うだけでなく、このような生殖様式の違いがひっかけとして使われます。発生源が正しいため文章全体も正しそうに見えますが、細部の「卵」という表現が不正確です。

(2) チョウバエ類の発生源は、建築物内では浄化槽や排水溝などである。

適切です。チョウバエ類は湿潤で有機物のたまりやすい場所を好み、建築物内では浄化槽、排水溝、排水ます、汚水槽周辺などが主な発生源になります。特に排水系統の内壁に付着したぬめりや汚泥は幼虫の発育に適した環境になるため、薬剤散布だけでなく、発生源そのものの清掃が重要です。成虫だけを駆除しても、排水系統内部の汚れが残っていれば再発しやすいです。実務でも「小さなハエが洗面所やトイレで飛ぶ」という相談の背景にチョウバエの発生があることは多く、発生源対策が基本となります。

(3) ユスリカ類が建築物内の排水溝やプールから発生することがある。

適切です。ユスリカ類は蚊に似た見た目をしていますが、吸血はしません。ただし、大量発生すると不快害虫として問題になります。幼虫は水域で発育するため、建築物周辺や建築物内でも、排水溝、貯留水、プール、調整池などから発生することがあります。特に水の滞留や有機物の蓄積があると発生しやすくなるため、水管理が不十分な施設では注意が必要です。受験上は「ユスリカは蚊ではない」「吸血しない」「それでも水域由来の不快害虫として重要」という整理で覚えると混乱しにくいです。

(4) チャタテムシ類の防除では、カビの発生を抑えることも必要である。

適切です。チャタテムシ類は高温多湿の環境を好み、カビ、でんぷん質、書籍の糊、ほこりなどを餌にします。そのため、単に虫を見つけて殺虫するだけでは不十分で、湿気対策や換気、清掃、カビの抑制が防除上とても重要です。特に書庫、倉庫、食品保管庫、結露しやすい場所では発生しやすくなります。チャタテムシは小さく目立ちにくいですが、室内環境の悪化を示すサインでもあります。したがって、防除の本質は「虫そのもの」だけでなく、「虫が増えられる環境」を断つことにあります。

(5) ネッタイトコジラミが国内の宿泊施設で発見された事例がある。

適切です。ネッタイトコジラミは熱帯・亜熱帯に多い種類ですが、近年は人や荷物の移動に伴って国内でも宿泊施設などで確認される事例があります。トコジラミ類は吸血性で、ホテル、旅館、簡易宿所などで問題になりやすく、利用者の荷物や家具・寝具の隙間を介して拡散することがあります。建築物衛生管理の現場では、単に「普通のトコジラミ」だけを意識するのではなく、ネッタイトコジラミのような近縁種の侵入可能性も理解しておくことが大切です。宿泊施設では、早期発見、潜伏場所の確認、適切な防除計画の実施が重要になります。

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この問題で覚えるポイント

衛生害虫の問題では、虫の名前と発生源、防除の基本をセットで覚えることが重要です。ハエ類では、イエバエは食品や汚物周辺、クロバエやニクバエは腐敗動物質や排せつ物との関係が強く、チョウバエは浄化槽や排水溝などのぬめりや汚泥に発生しやすいです。ユスリカは水域由来で大量発生による不快害虫として扱い、蚊のように吸血するわけではない点を区別して覚える必要があります。 また、防除では薬剤だけでなく発生源対策が原則です。排水系統なら清掃とぬめり除去、チャタテムシなら湿気とカビ対策、トコジラミなら潜伏場所の把握と再発防止まで含めた対応が必要です。試験では「どこに発生するか」「何を断てば防除できるか」を問う形が多いので、虫の生態と環境管理を一体で理解することが得点につながります。 さらに、ハエ類などでは産卵か幼虫産生かのような生殖様式の違いも問われます。見た目や発生源が似ていても、細かな生態が異なるため、代表種ごとの特徴を整理しておくことが大切です。トコジラミ類については、近年の宿泊施設問題とも関係し、海外由来の種が国内で見つかることもあるため、古い知識だけでなく実務的な感覚でも押さえておくと強いです。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「大部分が正しい文章の中に、細かい誤りを一つだけ入れる」典型的なパターンです。特にニクバエ類の選択肢は、発生源そのものは自然で正しく見えるため、多くの受験者が違和感なく読み流してしまいます。しかし、問われている本質は発生源ではなく、「卵を産むのか、幼虫を産むのか」という細部の生態です。つまり、全体の雰囲気で判断すると誤ります。 また、ユスリカと蚊、チョウバエと小型のハエ類、トコジラミとネッタイトコジラミのように、名前や見た目が似ているもの同士を混同させるのも頻出の罠です。日常感覚では「小さい羽虫は全部同じ」に見えがちですが、試験では発生源も防除法も異なります。そのため、見た目ではなく、発生場所、吸血の有無、幼虫の育つ環境で区別する習慣を持つことが大切です。 さらに、「防除」と聞くと殺虫剤を連想しやすいですが、チャタテムシのように環境改善が中心となる害虫も多いです。試験作成者は、受験者が薬剤中心に考えてしまう思考の癖を利用してきます。今後も、害虫問題では「発生源の除去」「湿度管理」「清掃」「侵入防止」といった非薬剤的対策をまず確認するようにすると、同じパターンの問題に強くなります。

 

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