出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|給水および排水の管理第115問
問題
建築物の給水方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 直結直圧方式は、配水管の圧力の関係から送水できる高さに制限がある。
(2) 直結増圧方式は、引込み管径に制限がある。
(3) 高置水槽方式は、安定した水圧水量が得られる。
(4) 直結増圧方式には、増圧ポンプを直列に複数接続する直列多段型がある。
(5) ポンプ直送方式は、受水槽を必要としない方式である。
ビル管過去問|建築物の給水方式(直結給水高置水槽方式)を解説
この問題は、建築物で用いられる代表的な給水方式の仕組みと特徴を正しく整理できているかを問う問題です。給水方式は、直結直圧方式、直結増圧方式、高置水槽方式、ポンプ直送方式などに分かれ、それぞれで水圧の安定性、受水槽の要否、適用できる建物規模や高さが異なります。正しい選択肢は、最も不適当なものとして(5)です。ポンプ直送方式は、受水槽に貯めた水をポンプで各所に送る方式なので、受水槽を必要としないという記述は誤りです。
(1) 直結直圧方式は、配水管の圧力の関係から送水できる高さに制限がある。
適切です。直結直圧方式は、水道本管の圧力をそのまま利用して建物内へ給水する方式です。そのため、建物側で新たに加圧する設備を持たず、配水管の圧力がそのまま給水能力を左右します。水道本管の圧力には限界があるため、高い階まで十分な水圧で送ることは難しく、送水できる高さに制限があります。構造が比較的単純で、受水槽も不要になりやすい一方、高層建築物には不向きです。この特徴は直結直圧方式の基本なので、しっかり押さえておきたいところです。
(2) 直結増圧方式は、引込み管径に制限がある。
適切です。直結増圧方式は、水道本管から直接給水しつつ、必要に応じて増圧ポンプで圧力を補って上層階などへ送水する方式です。受水槽を設けずに済む場合があるため、衛生面や省スペースの面で利点がありますが、無制限に適用できるわけではありません。建物に引き込む給水管の口径や、水道本管側への影響、地域の水道事業者が定める基準などによって導入条件が決まります。つまり、引込み管径に制限があるという記述は、制度面と設備面の両方から見て妥当です。
(3) 高置水槽方式は、安定した水圧水量が得られる。
適切です。高置水槽方式は、まず受水槽などに水をため、その後ポンプで高置水槽まで揚水し、そこから重力によって各給水栓へ給水する方式です。高置水槽からの落差を利用するため、一定の水圧を比較的安定して確保しやすい点が特徴です。また、一時的に使用量が増えた場合でも、適切な容量の水槽があれば一定の水量を供給しやすくなります。もちろん、水槽の維持管理が不十分だと衛生上の問題が生じるおそれはありますが、方式の特徴としては、安定した水圧と水量を得やすいという理解で正しいです。
(4) 直結増圧方式には、増圧ポンプを直列に複数接続する直列多段型がある。
適切です。直結増圧方式では、必要な圧力を確保するために増圧ポンプを用いますが、その構成にはいくつかの型があります。直列多段型は、ポンプを直列に複数段組み合わせることで、より高い揚程を得られるようにしたものです。上層階への給水や必要圧力が大きい場合に有効で、限られた条件の中で効率よく増圧できる利点があります。給水方式の問題では、方式の名称だけでなく、ポンプ構成の特徴まで問われることがあるため、直結増圧方式と増圧ポンプの関係は整理して覚えておくことが大切です。
(5) ポンプ直送方式は、受水槽を必要としない方式である。
不適切です。ポンプ直送方式は、受水槽に一度水を受け、その水を給水ポンプで建物内へ直接送る方式です。したがって、受水槽を必要としないという記述は誤りです。ここがこの問題の核心です。受水槽を必要としない代表例は、直結直圧方式や直結増圧方式であり、ポンプ直送方式とは区別して考えなければなりません。ポンプ直送方式は、高置水槽を設けずにポンプで直接送水する点が特徴ですが、受水槽を省略する方式ではありません。高置水槽が不要であることと、受水槽が不要であることを混同すると誤答しやすいので注意が必要です。
この問題で覚えるポイント
給水方式は、まず「水道本管からそのまま使う方式」と、「いったん受水槽にためてから使う方式」に大きく分けて整理すると理解しやすいです。直結直圧方式と直結増圧方式は前者であり、ポンプ直送方式と高置水槽方式は後者です。 直結直圧方式は、水道本管の圧力だけで給水する方式です。設備は比較的簡単ですが、配水管圧力に依存するため、高さに制限があります。高層建築物には不向きです。 直結増圧方式は、水道本管から直接受けた水を増圧ポンプで加圧して送る方式です。受水槽を設けない点が特徴ですが、引込み管径や水道事業者の基準に適合する必要があります。直結直圧方式より高い位置まで給水しやすい一方、適用条件には制限があります。 高置水槽方式は、受水槽からポンプで高置水槽へ揚水し、その後は重力で配水する方式です。安定した水圧と水量を得やすいのが特徴です。停電時でも一定条件下では即座に断水しにくいという面がありますが、水槽の衛生管理が極めて重要です。 ポンプ直送方式は、受水槽の水をポンプで各所へ直接送る方式です。高置水槽は不要ですが、受水槽は必要です。この違いは非常によく問われます。つまり、「高置水槽がない」ことと、「受水槽がない」ことは別問題です。 試験では、どの方式が受水槽を必要とするか、どの方式が高さ制限を受けやすいか、どの方式が安定圧を得やすいかをセットで覚えると、正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
もっとも典型的なひっかけは、「受水槽が不要」と「高置水槽が不要」をわざと混同させることです。受験者は、ポンプ直送方式では高置水槽を使わないという知識を持っていると、そのまま受水槽も不要だと早合点しやすいです。しかし実際には、ポンプ直送方式は受水槽から送水する方式です。このずれが頻出の罠です。 また、直結直圧方式と直結増圧方式を一括りにしてしまうのも危険です。どちらも受水槽を使わないことが多いですが、直結直圧方式は本管圧力のみ、直結増圧方式はポンプで補うという違いがあります。この違いを曖昧にすると、高さ制限や設備条件の問題で引っかかります。 さらに、「安定した水圧水量」という表現に対して、直感だけで判断してしまうのも落とし穴です。ポンプが付いていれば安定しそう、高置水槽は古い方式だから不利そう、といった日常感覚で考えると誤りやすいです。試験では設備の正式な仕組みと給水経路で判断する必要があります。 この種の問題は、一部だけ正しい知識を持っている人ほど間違えやすいです。給水方式は名称が似ているため、用語の表面だけでなく、「どこでためるか」「何で圧を確保するか」「何が不要で何が必要か」の三点で整理する癖をつけると、今後の類題にも対応しやすくなります。
