出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第79問
問題
環境要素の測定に関する用語の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 酸素 ――― ポーラログラフ方式
(2) 窒素酸化物 ――― 溶液導電率法
(3) 一酸化炭素 ――― ガスクロマトグラフ法
(4) イオウ酸化物 ――― 紫外線蛍光法
(5) 臭気 ――― 3点比較式臭袋法
ビル管過去問|環境測定用語(測定指標と基本用語)を解説
この問題は、空気環境測定で用いられる代表的な測定対象と測定方法の正しい組合せを問う問題です。ビル管では、測定対象ごとにどの原理や分析法が使われるかを整理して覚えているかが重要です。正しい選択肢は、酸素とポーラログラフ方式、一酸化炭素とガスクロマトグラフ法、イオウ酸化物と紫外線蛍光法、臭気と3点比較式臭袋法です。一方で、窒素酸化物に溶液導電率法を組み合わせたものは不適切です。溶液導電率法は、窒素酸化物ではなく、主としてイオウ酸化物の測定で用いられる方法として押さえる必要があります。
(1) 酸素 ――― ポーラログラフ方式
適切です。ポーラログラフ方式は、電極反応を利用して酸素濃度を測定する方法です。酸素が電極で還元されるときに流れる電流の大きさが酸素濃度に対応するため、酸素測定に用いられます。室内環境や各種設備管理でも基本的な測定原理の一つです。酸素は気体成分の中でも電気化学的手法との相性がよく、この組合せは代表的なものとして覚えておくとよいです。
(2) 窒素酸化物 ――― 溶液導電率法
不適切です。窒素酸化物の測定に対して、溶液導電率法を組み合わせている点が誤りです。溶液導電率法は、試料ガスを吸収液に取り込んだときに生じる導電率の変化を利用する方法で、主にイオウ酸化物の測定法として知られています。窒素酸化物は、一般にザルツマン法や化学発光法など、窒素酸化物に適した原理で測定されます。ここでは、汚染物質の名前だけでなく、どの測定原理が代表的かまで結びつけて覚えているかが問われています。
(3) 一酸化炭素 ――― ガスクロマトグラフ法
適切です。ガスクロマトグラフ法は、気体成分を分離して分析する方法であり、一酸化炭素の測定にも用いられます。一酸化炭素は無色無臭で人体への影響が大きいため、正確な定量が重要です。そのため、成分を分離して濃度を把握できるガスクロマトグラフ法は有効な分析法の一つです。ビル管では、一酸化炭素が燃焼機器の不完全燃焼などと関係する重要な環境項目であることもあわせて押さえておきたいところです。
(4) イオウ酸化物 ――― 紫外線蛍光法
適切です。紫外線蛍光法は、イオウ酸化物、特に二酸化硫黄の測定に用いられる代表的な方法です。二酸化硫黄に紫外線を当てたときに生じる蛍光を検出し、その強さから濃度を求めます。測定精度が高く、環境測定で広く用いられる方法です。イオウ酸化物については、溶液導電率法と紫外線蛍光法の両方が関連するため、この問題ではそこを整理できているかが重要です。
(5) 臭気 ――― 3点比較式臭袋法
適切です。3点比較式臭袋法は、臭気の官能試験法として広く知られています。無臭空気を入れた袋と臭気を含む袋を比較し、どれが臭いを持つかを判定することで臭気の強さを評価します。臭気は機器分析だけでは人が実際に感じる不快さを十分に表せない場合があるため、人の嗅覚を用いた官能試験が重要になります。臭気測定は、他の化学物質の濃度測定とは異なる発想で行われる点が特徴です。
この問題で覚えるポイント
環境測定では、測定対象ごとに代表的な測定法が決まっています。物質名と測定法をセットで覚えることが大切です。 酸素はポーラログラフ方式のような電気化学的方法と結びつけて覚えます。 一酸化炭素はガスクロマトグラフ法などで測定されます。燃焼管理や空気環境管理で重要な項目です。 イオウ酸化物は紫外線蛍光法が代表的で、さらに溶液導電率法も関連する重要な測定法です。 窒素酸化物は、溶液導電率法ではなく、ザルツマン法や化学発光法などで測定するものとして整理します。 臭気は数値機器だけでなく、人の感覚を利用する3点比較式臭袋法で評価する点が特徴です。 試験では、測定対象と測定法の対応だけでなく、機器分析と官能試験の違いも問われやすいです。 似た大気汚染物質であっても、窒素酸化物とイオウ酸化物では代表的な測定法が異なるため、混同しないことが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、窒素酸化物とイオウ酸化物の測定法の混同です。どちらも大気汚染物質として並べて学ぶため、受験者は「吸収液を使う方法だったはず」と曖昧に覚えていると誤答しやすくなります。特に、溶液導電率法は名前だけ見ると幅広いガスに使えそうに感じますが、実際にはイオウ酸化物との結び付きが強い測定法です。また、この問題は全てがもっともらしい組合せに見えるため、完全に知らないと消去法が効きにくいのも特徴です。今後も、似た汚染物質同士で測定法を入れ替えるパターンは頻出ですので、「物質名」と「代表的測定原理」を一対で覚えることが、安定した正誤判断につながります。
