出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年)|空気環境の調整 第58問
問題
揮発性有機化合物とその用途との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) ホルムアルデヒド ――― ユリア系接着剤
(2) トルエン ――― 塗料の溶剤
(3) パラジクロロベンゼン ――― プラスチックの可塑剤
(4) スチレン ――― 発泡スチロール
(5) クロルピリホス ――― 防蟻(ぎ)剤
ビル管過去問|揮発性有機化合物(VOC)の種類と用途(ホルムアルデヒド等)を解説
この問題は、代表的な揮発性有機化合物(VOC)の名称と、実際の用途との対応関係を問う問題です。ビル管試験では、化学物質の名前だけでなく、どの建材や製品、薬剤に使われてきたかを結び付けて覚えているかが問われます。正しい選択肢の判定としては、ホルムアルデヒドとユリア系接着剤、トルエンと塗料の溶剤、スチレンと発泡スチロール、クロルピリホスと防蟻剤の組合せは適切です。一方、パラジクロロベンゼンをプラスチックの可塑剤とする組合せは誤りであり、これが最も不適当なため、正しい解答は(3)です。
(1) ホルムアルデヒド ――― ユリア系接着剤
適切です。その理由は、ホルムアルデヒドは、ユリア樹脂接着剤などに関連する代表的な化学物質だからです。合板、パーティクルボード、繊維板などの木質材料では、接着剤由来でホルムアルデヒドが放散されることがあり、室内空気汚染の原因物質として重要です。ビル管試験でも、ホルムアルデヒドは建材や接着剤との関係で頻出です。特に、内装材や家具から放散される化学物質として覚えておく必要があります。
(2) トルエン ――― 塗料の溶剤
適切です。その理由は、トルエンは有機溶剤として塗料、接着剤、インキなどに広く用いられてきた物質だからです。VOCの代表例として知られており、塗装作業や改装直後の室内で問題になることがあります。においが強く、揮発しやすいため、室内濃度が上がると健康影響の原因になります。したがって、トルエンと塗料の溶剤の組合せは正しい理解です。
(3) パラジクロロベンゼン ――― プラスチックの可塑剤
不適切です。その理由は、パラジクロロベンゼンは主に防虫剤や消臭剤の成分として知られる物質であり、プラスチックの可塑剤として用いられる代表物質ではないからです。可塑剤とは、プラスチックを柔らかくしたり加工しやすくしたりするために加える物質で、代表例としてはフタル酸エステル類などが挙げられます。パラジクロロベンゼンは、衣類用防虫剤やトイレ用芳香防臭製品などのイメージで覚えると整理しやすいです。このため、この組合せが最も不適当です。
(4) スチレン ――― 発泡スチロール
適切です。その理由は、スチレンはポリスチレン樹脂の原料となるモノマーであり、発泡スチロールはその代表的な製品だからです。つまり、スチレンは発泡スチロールの材料と深く結び付いています。室内空気環境の分野では、建材や樹脂製品との関係で名前が出ることがあります。したがって、スチレンと発泡スチロールの組合せは正しいです。
(5) クロルピリホス ――― 防蟻(ぎ)剤
適切です。その理由は、クロルピリホスは有機リン系殺虫剤であり、かつて防蟻剤として使用されていた代表的な物質だからです。シックハウス対策や室内空気汚染対策の文脈では、クロルピリホスは重要な化学物質として扱われます。現在は使用規制の流れを踏まえて理解する必要がありますが、試験では「防蟻剤として使われてきた物質」という基本知識が問われます。そのため、この組合せは適切です。
この問題で覚えるポイント
VOCは、室内で揮発しやすい有機化合物の総称であり、建材、接着剤、塗料、防虫剤、殺虫剤などに由来するものが多いです。 ホルムアルデヒドは、合板やパーティクルボードなどの木質材料に使われる接着剤と結び付けて覚えることが重要です。特にユリア樹脂接着剤との関係は頻出です。 トルエンやキシレンは、有機溶剤として塗料や接着剤に用いられる代表例です。溶剤系の物質としてまとめて整理すると覚えやすいです。 スチレンは、ポリスチレン樹脂の原料であり、発泡スチロールとの対応で押さえると正誤判断しやすくなります。 クロルピリホスは、防蟻剤や殺虫剤の文脈で問われやすい物質です。室内空気汚染やシックハウス関連で出題されやすいので、用途と健康影響の両面から覚えることが大切です。 パラジクロロベンゼンは、防虫剤や消臭剤の成分として整理しておくべき物質です。可塑剤ではありません。 可塑剤としては、プラスチックを柔らかくする目的で添加される物質を指し、代表例はフタル酸エステル類です。防虫剤や芳香剤成分と混同しないことが重要です。 試験では、物質名そのものよりも「どの用途で使われるか」を問う形が多いため、化学物質と用途をセットで暗記するのが有効です。
ひっかけポイント
この問題の典型的な罠は、「聞いたことがある化学物質なら、それっぽい用途に見えてしまう」という点です。特にパラジクロロベンゼンのように日常生活用品に使われる物質は、プラスチック製品とも何となく結び付きそうに感じてしまいます。 可塑剤、防虫剤、防蟻剤、溶剤、接着剤関連物質は、いずれも建材や生活用品に関係するため、用途の分類があいまいだと誤答しやすいです。物質名だけでなく、「何をするための薬剤材料か」を機能で整理することが大切です。 一部だけ正しい知識に引っ張られるのも危険です。たとえば、パラジクロロベンゼンが化学製品に使われることを知っていても、それが可塑剤であるとは限りません。このように「化学製品に使われる」という広い理解だけでは正答できません。 日常感覚では、防虫剤や消臭剤、樹脂製品、塗料などが全部「化学物質を使った製品」として一括りになりやすいですが、試験ではその用途の違いを厳密に見分ける必要があります。 今後も同じパターンで、代表物質と代表用途の組合せを少しだけずらしてくる問題が出ます。物質名を単独で暗記するのではなく、用途、使用場面、関連製品まで一緒に覚えることが再発防止につながります。
