【ビル管過去問】令和6年度 問題104|建築基準法の建築行為(増築改築模様替移転)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年)|建築物の構造概論 第104問

問題

建築基準法における建築行為の用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 模様替とは、既存の建築の部分について行う改修工事で、おおむね同じような形、寸法、材料で行うことである。

(2) 既存の建築物の床面積を増加させることは、増築に該当する。

(3) 既存の建築物の全部あるいは一部を除却し、今まで建っていた建築物と構造、規模、用途が著しく異ならないものを建てることは、改築に該当する。

(4) 大規模修繕とは、建築物の主要構造部の1種以上について行う過半の修繕のことである。

(5) 同一敷地内での建築物の位置の変更は、移転に該当する。

ビル管過去問|建築基準法の建築行為(増築改築模様替移転)を解説

この問題は、建築基準法で用いられる建築行為の基本用語を正確に区別できるかを問う問題です。似た言葉が多く、日常語の感覚で判断すると迷いやすいですが、法令上はそれぞれ明確な意味があります。正しい選択肢は、増築の説明、改築の説明、大規模修繕の説明、移転の説明であり、不適当なのは模様替の説明です。模様替は「おおむね同じような形、寸法、材料で行うこと」ではなく、建築物の部分について、位置形状寸法仕上げなどを変更する工事を指します。一方、「おおむね同じような形、寸法、材料」で行うのは修繕の考え方に近いので、ここを取り違えないことが重要です。

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(1) 模様替とは、既存の建築の部分について行う改修工事で、おおむね同じような形、寸法、材料で行うことである。

不適切です。その理由は、記述の内容が模様替ではなく、修繕に近い説明になっているためです。建築基準法上の模様替とは、建築物の部分について、位置や形状、寸法、仕上げなどを変更する工事をいいます。これに対して、従前とおおむね同じ形、寸法、材料で元に戻すような工事は、模様替ではなく修繕の考え方です。つまり、模様替は「変える」行為であり、修繕は「直す」行為です。この問題文はその両者を入れ替えているため、最も不適当です。試験では、この「同じように直すのが修繕、変えるのが模様替」という基本整理が非常に重要です。

(2) 既存の建築物の床面積を増加させることは、増築に該当する。

適切です。その理由は、増築とは既存建築物の床面積を増加させる行為をいうからです。たとえば、建物に部屋を付け足す、廊下や倉庫を新たに増やす、別棟を接続して延べ床面積を増やすといった場合は、一般に増築に該当します。建築基準法では、床面積が増えるかどうかが重要な判断基準の一つです。日常感覚では少しの付け足しを軽微な改修と考えがちですが、法的には床面積の増加があれば増築として扱われるため、確認申請などの要否判断にも関わってきます。

(3) 既存の建築物の全部あるいは一部を除却し、今まで建っていた建築物と構造、規模、用途が著しく異ならないものを建てることは、改築に該当する。

適切です。その理由は、改築とは、建築物の全部または一部を除却し、引き続きこれと用途、規模、構造の著しく異ならない建築物を建てる行為をいうからです。ポイントは、単に壊して新しく建てることではなく、従前の建築物と大きく性質が変わらないことです。もし用途や規模、構造が大きく変わるなら、改築ではなく新築や別の建築行為として扱うべき場面が出てきます。したがって、この記述は改築の要点を正しく押さえています。

(4) 大規模修繕とは、建築物の主要構造部の1種以上について行う過半の修繕のことである。

適切です。その理由は、大規模修繕とは、建築基準法でいう主要構造部の一種以上について、その過半にわたって行う修繕を指すからです。ここでいう主要構造部には、壁、柱、床、はり、屋根、階段などが含まれます。さらに重要なのは、「一種以上」かつ「過半」という条件です。主要構造部に少し手を入れただけでは大規模修繕にはなりません。逆に、主要構造部の半分を超える範囲を直す場合は、大規模修繕として法的な扱いが重くなります。試験では、この「主要構造部」と「過半」の組み合わせが頻出です。

(5) 同一敷地内での建築物の位置の変更は、移転に該当する。

適切です。その理由は、移転とは、同一敷地内で建築物を物理的に移動させて、その位置を変更する行為をいうからです。建築物を解体して別の場所に新しく建てることではなく、建物自体を移して位置を変えることが移転です。日常語では「引っ越し」や「建て替え」と混同されやすいですが、法令上は建物そのものを動かす行為に意味があります。そのため、同一敷地内での位置変更という説明は、移転の理解として適切です。

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この問題で覚えるポイント

増築は、既存建築物の床面積を増加させる行為です。小規模でも床面積が増えれば増築と判断するのが基本です。
改築は、既存建築物の全部または一部を除却し、従前の建築物と用途、規模、構造が著しく異ならないものを建てる行為です。壊して建て直しても、性質が大きく変わらなければ改築になります。
修繕は、従前とおおむね同じ形、寸法、材料で直す行為です。元の状態に近づける工事というイメージで整理すると覚えやすいです。
模様替は、建築物の部分の位置、形状、寸法、仕上げなどを変更する行為です。修繕と違い、「元どおりに直す」のではなく「内容を変える」点が本質です。
大規模修繕は、主要構造部の1種以上について過半の修繕を行う場合です。主要構造部と過半という要件をセットで覚えることが大切です。
大規模模様替は、主要構造部の1種以上について過半の模様替を行う場合です。大規模修繕との違いは、「直す」のか「変える」のかにあります。
移転は、同一敷地内で建築物の位置を変更する行為です。解体して別に建てることではなく、建物そのものを移す点がポイントです。
試験では、増築、改築、修繕、模様替、移転の定義を相互比較できるようにしておくと、正誤判断が安定します。

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ひっかけポイント

最も典型的なひっかけは、修繕と模様替の入れ替えです。「おおむね同じような形、寸法、材料」という文言は修繕の側に出てくる発想であり、模様替ではありません。用語の響きが似ているため、曖昧に覚えていると逆に判断してしまいます。
改築は「壊して建てる」という点だけを見ると新築と混同しやすいですが、法的には従前建築物と著しく異ならないことが条件です。途中だけ読んで正しいと思い込むと誤答しやすくなります。
大規模修繕や大規模模様替では、「主要構造部」「1種以上」「過半」という条件のどれか一つを落として覚えていると危険です。一部だけ正しい文章に惑わされないことが重要です。
移転は、建物の位置変更という日常語の感覚で判断しやすい反面、「解体して別位置に再建すること」まで含むと誤解しやすい用語です。法令上は建物自体を移す行為だと押さえる必要があります。
このテーマ全体では、日常語で意味を推測すると危険です。試験では、似た概念をわざと近い表現で並べてくるため、「元どおりに直すのか」「内容を変えるのか」「床面積が増えるのか」「建物を壊しても性質が同じか」といった判断軸で整理して覚えることが、再現性の高い対策になります。

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