【ビル管過去問】令和6年度 問題28|酸素濃度低下による人体影響(酸欠症状安全基準)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|建築物の環境衛生第28問

問題

健常者が呼吸及び脈拍の増加やめまいを起こす酸素濃度として、最も適当なものは次のうちどれか。

(1) 20〜18%

(2) 17〜16%

(3) 11〜10%

(4) 7〜6%

(5) 4%以下

ビル管過去問|酸素濃度低下による人体影響(酸欠症状安全基準)を解説

この問題は、空気中の酸素濃度が低下したときに、人体にどのような影響が現れるかを問う問題です。酸欠に関する問題では、「どの濃度で、どの程度の症状が出るか」を段階的に整理して覚えることが大切です。結論からいうと、健常者に呼吸数や脈拍の増加、めまいといった初期の明らかな異常が現れやすいのは17〜16%程度であり、正しい選択肢は(2)です。20〜18%は通常大きな症状が出にくく、11〜10%以下になると、より重い症状や生命危険の段階に入ります。

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(1) 20〜18%

不適切です。20〜18%程度は、通常の大気中酸素濃度である約21%からやや低下した範囲ですが、健常者に明確な呼吸脈拍の増加やめまいが現れる段階とはいいにくいです。この程度の低下では、作業環境によっては違和感を覚える人がいても、問題文にあるような代表的な酸欠症状がはっきり出るレベルとは考えにくいです。試験では、酸素濃度が少し下がった段階と、身体が代償反応としてはっきり変化を示す段階を区別しておく必要があります。

(2) 17〜16%

適切です。酸素濃度が17〜16%程度になると、人体は酸素不足を補おうとして呼吸数や脈拍数を増やす反応を示しやすくなります。また、めまいなどの自覚症状も現れやすくなり、健常者でも異常を感じる水準です。酸欠災害の防止では、このような初期症状が出る前に危険を察知することが重要ですが、試験問題では「どの濃度でどの症状が出るか」を知識として問われます。この選択肢は、比較的初期の酸欠症状が出る濃度として妥当です。

(3) 11〜10%

不適切です。11〜10%は、呼吸や脈拍の増加、めまいといった軽度から中等度の症状にとどまる段階ではありません。この水準になると、顔面蒼白、意識低下、判断力の低下、失神など、かなり重い症状が現れるおそれがあります。つまり、問題文で示された症状よりも、もっと深刻な身体異常を想定すべき濃度です。酸素濃度が10%前後まで低下している空間は極めて危険であり、短時間でも重大事故につながりやすいです。

(4) 7〜6%

不適切です。7〜6%は、すでに生命維持が非常に困難なレベルの酸素濃度です。この段階では、呼吸脈拍の増加やめまいという初期症状の問題ではなく、意識喪失やけいれん、呼吸停止に近い極めて危険な状態を考えなければなりません。作業者がこのような環境に入れば、短時間で致命的な事故に至る可能性があります。したがって、問題文にある比較的初期の症状を示す濃度としては不適切です。

(5) 4%以下

不適切です。4%以下は、ほぼ即時に近い形で生命に重大な危険が及ぶ極限的な低酸素状態です。このレベルでは、健常者が呼吸や脈拍の増加、めまいを感じるというより、ほとんど抵抗できずに急速に意識を失う危険があります。問題文が問うているのは、酸欠の初期から中等度の症状が出る濃度であり、4%以下はあまりに重篤すぎるため該当しません。

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この問題で覚えるポイント

空気中の酸素濃度は通常約21%です。 酸素濃度が少し下がった程度では、ただちに明確な症状が出るとは限りません。 17〜16%程度になると、呼吸数増加、脈拍増加、めまいなどの初期症状が現れやすくなります。 11〜10%程度では、判断力低下、顔面蒼白、意識障害など、より重い症状を考えるべきです。 7〜6%以下では、意識喪失や呼吸停止に至るおそれが強く、極めて危険です。 4%以下は短時間で致命的となる可能性が高い濃度です。 試験では、酸素濃度の数値だけを丸暗記するのではなく、「初期症状の段階か、重篤症状の段階か、致命的段階か」で整理すると正誤判断しやすくなります。 酸欠危険作業では、臭いや見た目では危険を判断できないことが多いため、測定機器による確認が原則です。日常感覚では「少し息苦しい」程度に思ってしまいやすいですが、専門的には数%の違いが重大事故につながります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、酸素濃度が低いほど症状も強いのだから、より低い数値を選びたくなる受験者心理を利用している点です。しかし、問われているのは「どの濃度で最初にその症状が出るか」に近い発想であり、最重症の濃度を選べばよいわけではありません。特に、11〜10%や7〜6%は確かに人体へ大きな影響を与えますが、問題文の「呼吸及び脈拍の増加やめまい」という比較的初期の症状とは重さが合いません。また、20〜18%は正常値に近いため安全そうに見えますが、逆に安全寄りすぎて症状の説明として弱いです。今後も、数値問題では「症状の重さ」と「濃度の段階」が対応しているかを必ず照合することが大切です。

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