出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|建築物の環境衛生第24問
問題
生体は、体内における産熱と放熱が平衡を保ち、一定の体温を維持している。産熱機能は、( ア )などによって制御されている。放熱機能は、発汗、( イ )等によって調節されている。
(1) ア:筋弛緩 イ:血液循環
(2) ア:基礎代謝の増進 イ:尿產生
(3) ア:筋弛緩 イ:交感神経の興奮
(4) ア:基礎代謝の増進 イ:血液循環
(5) ア:ふるえ イ:尿產生
ビル管過去問|人体の体温調節機能を解説
この問題は、人体がどのように体温を一定に保っているかを問う基本問題です。ポイントは、体温維持には「産熱」と「放熱」の両方の仕組みがあることを正確に押さえることです。産熱は基礎代謝の増進やふるえなどによって高まり、放熱は発汗や皮膚血流の増加、つまり血液循環によって進みます。したがって、アには「基礎代謝の増進」、イには「血液循環」が入る選択肢が正しく、正しい選択肢は(4)です。
(1) ア:筋弛緩 イ:血液循環
不適切です。筋弛緩は筋肉の緊張がゆるむ状態であり、熱を作り出す方向には働きません。むしろ寒い環境では、体は筋弛緩ではなく、ふるえや筋活動の増加によって熱産生を高めます。イの血液循環は放熱機能として正しい内容ですが、アが誤っているため、この組合せ全体としては不適切です。
(2) ア:基礎代謝の増進 イ:尿產生
不適切です。基礎代謝の増進は、安静時でも体内で熱が生み出される量を増やすため、産熱機能として適切です。しかし、尿産生は体温調節における主要な放熱機構ではありません。体温を下げる仕組みとして重要なのは、発汗と皮膚表面の血流増加です。尿が作られること自体は腎機能に関係する現象であり、放熱機能の代表として扱うのは誤りです。
(3) ア:筋弛緩 イ:交感神経の興奮
不適切です。まず、アの筋弛緩が産熱機能として不適切です。寒冷時にみられるのは筋弛緩ではなく、ふるえによる筋収縮であり、これが熱産生につながります。また、イの交感神経の興奮という表現も、この問題の放熱機能としては適切ではありません。交感神経は発汗に関与しますが、単に交感神経の興奮と書かれているだけでは、放熱そのものの具体的機構を表しているとは言いにくく、問題文の空欄には血液循環のような直接的な放熱手段が入るのが自然です。
(4) ア:基礎代謝の増進 イ:血液循環
適切です。基礎代謝は、生命維持に必要な最小限のエネルギー消費であり、その過程で熱が発生します。寒冷時には代謝が高まることで熱産生が増え、体温維持に役立ちます。また、放熱は発汗だけでなく、皮膚の血管拡張により体表面へ多くの血液を流し、外気へ熱を逃がすことで行われます。つまり血液循環は放熱の重要な調節機構です。このため、この組合せが正答になります。
(5) ア:ふるえ イ:尿產生
不適切です。ふるえは骨格筋が細かく収縮を繰り返す現象で、代表的な産熱機能です。そのためアは正しい内容です。しかし、イの尿産生は放熱機能としては不適切です。体温調節で中心となるのは、汗の蒸発や皮膚血流の変化による熱放散であり、尿産生はここで問われる放熱機構には当たりません。アだけ正しくても、組合せ問題では全体が一致しなければ正答になりません。
この問題で覚えるポイント
体温は、産熱と放熱のバランスによって一定に保たれます。 産熱機能として重要なのは、基礎代謝、筋活動、ふるえです。特に寒冷時には、ふるえによる筋収縮が熱産生を増やします。 放熱機能として重要なのは、発汗と皮膚血流の増加です。皮膚の血管が拡張すると、体内の熱が体表へ運ばれ、外気へ逃げやすくなります。 発汗は汗が蒸発するときに熱を奪う仕組みです。気温が高いときや運動時の放熱で特に重要です。 基礎代謝の増進は産熱側の知識、血液循環や発汗は放熱側の知識として整理して覚えることが大切です。 尿産生は体液調節や排泄に関係する働きであり、体温調節の代表的な放熱機構ではありません。 筋弛緩とふるえは逆のイメージで覚えると整理しやすいです。筋弛緩は熱を作る方向ではなく、ふるえは熱を作る方向です。
ひっかけポイント
「体のはたらきに関係していそう」という日常感覚で選ぶと、尿産生や交感神経の興奮のような、もっともらしい語に引っかかりやすいです。試験では、体温調節に直接関与する機構なのかを見極めることが大切です。 一部だけ正しい組合せに注意が必要です。基礎代謝の増進やふるえだけ見れば正しそうでも、もう一方が誤りなら不正解です。 「交感神経」という言葉は専門的で正しそうに見えますが、問題文は神経の名前そのものではなく、実際の放熱手段を問うています。機序と結果を混同しないことが重要です。 筋弛緩とふるえは、どちらも筋肉に関する語なので混同しやすいですが、体温調節では意味がまったく異なります。このような似た語の対比は頻出の罠です。
