出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|建築物の環境衛生第22問
問題
環境基本法で定める環境基準に関する次の条文の( )内に入る語句の組合せとして、最も適当なものはどれか。
政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び( ア )に係る環境上の条件について、それぞれ、( イ )を保護し、及び( ウ )を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
(1) ア:騒音 イ:生態系 ウ:自然環境
(2) ア:騒音 イ:人の健康 ウ:生活環境
(3) ア:温暖化 イ:人の健康 ウ:国土
(4) ア:海洋の汚染 イ:文化的な生活 ウ:生活環境
(5) ア:海洋の汚染 イ:生態系 ウ:国土
ビル管過去問|環境基本法の環境基準とは(定義目的役割)を解説
この問題は、環境基本法における「環境基準」の条文そのものを正確に理解しているかを問う問題です。環境基準は、行政が環境保全を進めるうえで目標とする基準であり、対象となる公害の種類と、何を守るための基準なのかを押さえることが大切です。正しい組合せは、アが「騒音」、イが「人の健康」、ウが「生活環境」です。したがって、正しい選択肢は(2)です。
(1) ア:騒音 イ:生態系 ウ:自然環境
不適切です。環境基本法の環境基準に関する条文では、「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音」に係る環境上の条件について定めるとされています。このため、アが「騒音」である点は正しいです。
しかし、イとウが誤っています。条文では、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」とされています。つまり、守る対象は「人の健康」と「生活環境」です。「生態系」や「自然環境」は環境行政全体では重要な概念ですが、この条文の環境基準の定義そのものに使われている語句ではありません。条文の趣旨を広く理解しているだけでは正答できず、法文の表現を正確に覚えているかが問われています。
(2) ア:騒音 イ:人の健康 ウ:生活環境
適切です。環境基本法の環境基準に関する条文では、対象となる環境上の条件として「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音」が挙げられています。したがって、アは「騒音」が入ります。
また、その基準の目的は、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」を定めることです。したがって、イは「人の健康」、ウは「生活環境」が正しい組合せです。
この条文は、環境基準が単なる数値の羅列ではなく、健康の保護と生活環境の保全を目的とした行政上の目標であることを示しています。試験では、この基本文言をほぼそのまま問われることがあるため、条文のキーワードをセットで押さえておくことが大切です。
(3) ア:温暖化 イ:人の健康 ウ:国土
不適切です。イの「人の健康」は条文に合っていますが、アとウが誤っています。
まず、環境基準の条文で列挙されているのは、「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音」です。「温暖化」は重要な環境問題ですが、この条文で直接並べられている項目ではありません。温暖化対策は別の法制度や政策枠組みでも扱われるテーマであり、ここでいう環境基準の列挙事項と混同しないことが重要です。
また、条文では「生活環境を保全する上で」とされており、「国土を保全する上で」ではありません。「国土」は環境政策全体の文脈では出てきそうな言葉ですが、この定義条文の文言としては不正確です。試験では、意味が広くてもっともらしい言葉に置き換えて誤答を誘うことがよくあります。
(4) ア:海洋の汚染 イ:文化的な生活 ウ:生活環境
不適切です。ウの「生活環境」は正しいですが、アとイが誤っています。
まず、アについて、環境基本法のこの条文で挙げられているのは「騒音」であり、「海洋の汚染」ではありません。海洋汚染も環境問題の一つですが、この環境基準の定義条文における列挙項目とは一致しません。
次に、イの「文化的な生活」も誤りです。条文では「人の健康を保護し」と明記されています。「文化的な生活」は憲法や福祉の文脈では重要な言葉ですが、環境基準の目的として法文に置かれているのはあくまで「人の健康」です。別分野の法令用語を混ぜるひっかけに注意が必要です。
(5) ア:海洋の汚染 イ:生態系 ウ:国土
不適切です。ア、イ、ウのいずれも条文の文言とは一致していません。
環境基準の対象として条文に挙がるのは、「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音」です。このため、アは「海洋の汚染」ではなく「騒音」です。
さらに、基準の目的は「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で」とされています。したがって、イの「生態系」も、ウの「国土」も、この条文に入る語句ではありません。環境問題を学んでいると、「生態系」「国土」「自然環境」などの言葉はどれも重要に見えますが、ビル管試験では、重要語句を広く知っているだけでなく、どの法令のどの条文にどの言葉が使われているかを区別する力が求められます。
この問題で覚えるポイント
環境基本法の環境基準は、「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音」に係る環境上の条件について定められるものです。
環境基準の目的は、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」を示すことです。
ここでいう環境基準は、行政が環境保全施策を進めるうえでの目標となる基準であり、直ちにすべての事業者や個人に同じ形で罰則つき義務を課すものとは性格が異なります。
試験では、「騒音」を「海洋の汚染」や「温暖化」に替える、「人の健康」を「生態系」や「文化的な生活」に替える、「生活環境」を「自然環境」や「国土」に替えるといった形で、似た雰囲気の語句を混ぜてきます。
正誤判断に直結するのは、対象項目が何か、守る対象が何か、条文の定型表現がどうなっているかの3点です。
特に「人の健康」と「生活環境」はセットで覚えることが大切です。この組合せは、公害関係法令でも繰り返し出てくるため、ビル管試験では頻出の軸になります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、環境に関係しそうなもっともらしい言葉を並べて、受験者に「意味が通りそうだから正しい」と思わせる点にあります。法令問題では、内容が近い言葉でも、条文どおりでなければ誤りです。
特に引っかかりやすいのは、「生活環境」と「自然環境」、「人の健康」と「生態系」の混同です。どちらも環境保全と関係があるため、曖昧に覚えていると迷いやすくなります。
また、「温暖化」や「海洋の汚染」のように、現代の環境問題として重要な語を入れてくるのも典型的な罠です。重要なテーマであることと、その条文に書かれていることは別問題です。
法令の穴埋め問題では、広い知識よりも、条文の骨格をそのまま再現できるかが重要です。「対象は何か」「何を守るのか」を短い定型句として覚えておくと、似た問題にも安定して対応できます。
