出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|清掃第149問
問題
ビルクリーニング用機械・器具に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1) 超高速バフ機の回転数は、毎分150〜300回転である。
(2) 自動床洗浄機は、洗剤供給式床磨き機と吸水式真空掃除機とを結合した構造を有する。
(3) 三つ手ちり取りは、移動する際にごみがこぼれない構造となっている。
(4) 凹凸のある床面は、研磨粒子が付着したパッドを床磨き機に装着して洗浄する。
(5) 床磨き機に用いるブラシは、直径60cm以上のものが多く使われる。
ビル管過去問|ビルクリーニング機械器具|自動床洗浄機・超高速バフ機・床磨き機・ちり取りを解説
この問題は、ビルクリーニングで使用する代表的な機械器具の構造や用途、数値の目安を正しく理解しているかを問う問題です。機械器具の問題では、名称のイメージだけで判断すると誤りやすく、回転数、構造、適した床材や床面形状、器具の大きさなどを具体的に押さえておくことが大切です。正しい選択肢は、自動床洗浄機の構造を述べたものです。自動床洗浄機は、床を洗う機能と、汚水を回収する機能を一体化した機械であり、効率よく洗浄と吸水を行える点が特徴です。
(1) 超高速バフ機の回転数は、毎分150〜300回転である。
不適切です。その理由は、毎分150〜300回転程度というのは、一般的な床磨き機の回転数の目安であり、超高速バフ機の回転数としては低すぎるためです。超高速バフ機は、主に樹脂ワックスを塗布した床の光沢を高めるために用いられ、通常の床磨き機よりもはるかに高い回転数でパッドを回転させます。名称に「超高速」とあるとおり、高速回転による摩擦熱や研磨作用を利用して床表面のつやを出す機械です。そのため、通常機の回転数と混同しないことが重要です。
(2) 自動床洗浄機は、洗剤供給式床磨き機と吸水式真空掃除機とを結合した構造を有する。
適切です。その理由は、自動床洗浄機は、床面に洗浄液を供給しながらブラシやパッドで洗浄し、その直後に汚水を吸い取る構造を持つ機械だからです。つまり、床をこする機能と、汚水を回収する機能が一体になっています。これにより、広い床面を効率よく清掃でき、作業後に床面へ汚水が残りにくいという利点があります。商業施設や病院、オフィスビルなど、広い硬質床の清掃で多く用いられる代表的な機械です。
(3) 三つ手ちり取りは、移動する際にごみがこぼれない構造となっている。
不適切です。その理由は、三つ手ちり取りは、主として集めたごみを一時的に受けるための器具であり、移動中にごみがこぼれにくい密閉的な構造を持つものではないためです。三つ手ちり取りは、口が開いた形状で、ほうきなどで掃き寄せたごみを受け入れやすいように作られています。しかし、その構造上、持ち運び時の振動や傾きによってごみがこぼれることがあります。ごみを安全に運搬する器具としては、ふた付きの回収容器などとは性質が異なります。現場での使いやすさと、ごみの保持性能は別であることを理解しておくと判断しやすくなります。
(4) 凹凸のある床面は、研磨粒子が付着したパッドを床磨き機に装着して洗浄する。
不適切です。その理由は、凹凸のある床面では、パッドよりもブラシのほうが床の凹部まで追従しやすく、汚れを除去しやすいためです。研磨粒子付きパッドは、比較的平滑な床面で表面を均一にこすりたい場合に適していますが、凹凸のある床では接触が不十分になりやすく、細かい溝や凹みに入り込んだ汚れを十分に除去できないことがあります。一方、ブラシは毛先が凹部に入り込みやすいため、凹凸面や目地のある床に向いています。床の形状に応じて、ブラシとパッドを使い分けることが大切です。
(5) 床磨き機に用いるブラシは、直径60cm以上のものが多く使われる。
不適切です。その理由は、床磨き機に用いるブラシの直径として60cm以上は一般的とはいえず、通常はもっと小さい径のものが多く使われるためです。床磨き機は、作業性、取り回し、機械の重量、清掃場所の広さなどを考慮して選ばれます。あまりに大きなブラシは狭い場所や障害物の多い場所で扱いにくく、標準的な建物清掃では実用性が低くなります。そのため、一般的な現場では、機械本体のサイズに応じた標準的なブラシ径のものが多く使用されます。極端に大きな数値が出てきたときは、現場で本当に扱いやすいかを想像すると誤りに気づきやすくなります。
この問題で覚えるポイント
ビルクリーニング機械器具は、それぞれの構造と用途を対応させて覚えることが重要です。自動床洗浄機は、洗浄液を供給して床を洗う機能と、汚水を吸い取る機能を一体化した機械です。広い硬質床を効率よく清掃するための代表的な機械であり、床磨き機と真空吸水機の機能を組み合わせたものと理解すると整理しやすいです。 超高速バフ機は、床のつや出しや光沢回復に用いる機械で、通常の床磨き機より高い回転数で使われます。これに対して、一般的な床磨き機は洗浄や剥離などに使われ、回転数はそれほど高くありません。したがって、機械の名称に含まれる「超高速」という言葉と、回転数の大小を結びつけて覚えることが大切です。 床磨き機に装着するものには、ブラシとパッドがあります。ブラシは凹凸面や目地のある床に向いており、パッドは比較的平滑な床面に向いています。研磨粒子付きパッドは洗浄力や研磨力を高めるために使われますが、床面形状との相性まで含めて判断する必要があります。 ちり取りのような手工具は、名称や見た目の印象だけで性能を判断しないことが大切です。掃き集めたごみを受けるための器具と、ごみを安全に運搬するための器具は役割が異なります。構造上、ごみがこぼれにくいかどうかまで確認して理解しておくと、ひっかけに強くなります。 機械器具の問題では、数値も重要です。回転数、寸法、使用範囲などは、現実の作業性と結びつけて覚えると記憶に残りやすくなります。極端に大きい数値や、通常機と高性能機の数値が入れ替わっている表現は、よく狙われるポイントです。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、機械の名前から受ける印象と、実際の性能や構造の知識がずれているところにあります。特に回転数の問題では、床磨き機と超高速バフ機の数値を入れ替えて出題されると、なんとなく正しそうに見えてしまいます。機械名だけで判断せず、用途と数値をセットで覚えることが大切です。 また、床面の性状と器具の適合性もよく狙われます。洗浄力が高そうなパッドならどんな床にも向くように感じますが、実際には凹凸面ではブラシのほうが有効です。このように、性能が高いものが常に正解とは限らず、対象に合っているかどうかで判断する必要があります。 さらに、器具の説明文の一部だけが正しく、結論全体としては誤っている選択肢にも注意が必要です。たとえば、ちり取りはごみを受ける器具としては正しいですが、移動時にこぼれない構造とまで言い切ると誤りになります。このような「前半はもっともらしいが、後半で言い過ぎている」文章は典型的な罠です。 数値に関する選択肢では、現場感覚から見て不自然な大きさや範囲になっていないかを考えることも有効です。ブラシの直径が極端に大きい場合などは、実際の取り回しや使用場面を想像すると違和感に気づけます。試験では、専門知識だけでなく、現場での実用性を踏まえた判断も得点につながります。
