出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|清掃第147問
問題
ほこりや汚れの除去に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 綿布やモップに含ませる水分は、ほこりに対する付着を高める程度で十分で、過剰の水分はむしろ弊害を与える。
(2) おがくずを用いる方法は、ほこりを付着させる効果が大きい。
(3) ダストコントロール法は、粘度の低い、乾性の鉱油などを布に含ませ、ほこりを除去する方法である。
(4) ダストクロス法は、油分による床面への弊害が少ない。
(5) バキュームクリーニングは、カーペットの織り目に入り込んだほこり・土砂等の除去に用いられる。
ビル管過去問|ほこり除去|ダストコントロール法・ダストクロス法・真空清掃の基礎を解説
この問題は、ほこり除去の基本的な清掃方法の違いを正確に理解しているかを問う問題です。見分けるポイントは、どの方法が水分を使うのか、どの方法が油分を利用するのか、どの方法がカーペットに適するのか、という作業原理の違いです。正解は(3)で、ダストコントロール法の説明として不適当です。粘度の低い乾性の鉱油などを布に含ませてほこりを除去する説明は、ダストコントロール法ではなく、ダストクロス法の説明として理解するのが適切です。そのほかの選択肢は、いずれも清掃実務の基本として妥当な内容です。
(1) 綿布やモップに含ませる水分は、ほこりに対する付着を高める程度で十分で、過剰の水分はむしろ弊害を与える。
適切です。理由は、ほこりを拭き取る際の水分は、あくまで粉じんの舞い上がりを抑え、布やモップに付着させやすくする程度で十分だからです。水分が多すぎると、ほこりを泥状にしてかえって広げたり、床面に水跡を残したり、床材の劣化や滑りの原因になったりします。特に日常清掃では、必要以上の湿り気は作業効率と仕上がりの両方を悪くするため、適度な水分管理が重要です。
(2) おがくずを用いる方法は、ほこりを付着させる効果が大きい。
適切です。理由は、おがくずには微細なほこりを絡め取り、舞い上がりを抑えながら集めやすくする性質があるからです。とくに昔から、広い床面や粗いごみを含む床の清掃で利用されてきました。おがくずそのものが細かな粒状であるため、床面のほこりや微細な汚れを巻き込みながら回収しやすいという利点があります。現在では使用場面は限られますが、ほこりの付着効果が大きいという説明は妥当です。
(3) ダストコントロール法は、粘度の低い、乾性の鉱油などを布に含ませ、ほこりを除去する方法である。
不適切です。理由は、この説明はダストコントロール法ではなく、ダストクロス法の説明として理解すべき内容だからです。ダストクロス法は、布やモップに油剤などをしみ込ませて、ほこりを付着させながら除去する方法です。一方、ダストコントロール法は、床面のほこりの発生や飛散を抑え、除じんしやすい状態を保つ考え方や処理方法を指し、単純に油を含ませた布で拭くことだけを意味するものではありません。つまり、この選択肢は用語の対応関係を取り違えているため、最も不適当です。
(4) ダストクロス法は、油分による床面への弊害が少ない。
適切です。理由は、ダストクロス法では少量の油剤を適切に用いて、布にほこりを付着させて除去するため、従来の油性処理に比べて床面への悪影響を抑えやすいからです。油分が多すぎれば床面のべたつきや再汚染の原因になりますが、ダストクロス法はその点を考慮した方法であり、適正に実施すれば弊害は比較的少ないとされています。したがって、この記述は正しい方向の説明です。
(5) バキュームクリーニングは、カーペットの織り目に入り込んだほこり・土砂等の除去に用いられる。
適切です。理由は、真空清掃は吸引力によって繊維の奥に入り込んだ粉じんや土砂を除去する方法であり、カーペット清掃の基本だからです。カーペットは表面だけでなく、織り目やパイルの内部に汚れがたまりやすいため、ほうきやモップでは十分に取り切れません。バキュームクリーニングは、こうした内部の汚れを効率よく回収できるため、日常清掃でも定期清掃でも重要な方法です。
この問題で覚えるポイント
ほこり除去の問題では、各清掃法の原理と対象面の違いを整理して覚えることが大切です。まず、少量の水分を使ってほこりの舞い上がりを防ぎながら除去する方法では、水分は多ければよいわけではなく、付着を高める程度が原則です。過剰な水分は、汚れの拡散、水跡、床材への悪影響、滑りの原因になります。
ダストクロス法は、油剤などを含ませた布やモップでほこりを付着させて除去する方法です。名称と方法を結び付けて覚えることが重要です。これに対してダストコントロール法は、床面の粉じん発生を抑え、清掃しやすい状態を保つための考え方や処理方法であり、単なる油拭きと同一ではありません。試験では、この二つの用語の違いが頻繁に問われます。
また、真空清掃はカーペットや繊維質床材に有効で、表面ではなく内部に入り込んだほこりや土砂の除去に向いています。床材によって適切な清掃法が異なることも重要です。平滑な床では拭き取りやモップによる除じんが中心になり、カーペットでは吸引が中心になります。このように、方法の名称、原理、対象、注意点をセットで覚えると正誤判断に強くなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、ダストコントロール法とダストクロス法の用語の混同です。どちらもほこり除去に関係し、しかも名称が似ているため、意味をあいまいに覚えていると入れ替えてしまいやすいです。試験作成者は、方法の細かな定義を曖昧に覚えている受験者を狙って、もっともらしい文章で誤答を誘っています。
また、油分を使うという表現だけを見ると、どちらの方法にも当てはまりそうに感じてしまうのも罠です。しかし、試験では「何となく近い」ではなく、「その説明がどの用語に正確に対応するか」が問われます。一部だけ正しい説明でも、用語との対応がずれていれば誤りになります。今後も、似た名称の清掃法、保守管理法、消毒法などが出たら、言葉の雰囲気ではなく、原理と対象を結び付けて判断することが大切です。
