出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|清掃第143問
問題
建築物清掃の作業計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 廊下壁面のスポット洗浄は、一般に定期清掃で実施する。
(2) 廊下壁面のスイッチ回りの洗剤拭きは、一般に定期清掃として実施する。
(3) ELVカゴ内部の除じんは、一般に定期清掃として実施する。
(4) 階段の手すり拭きは、一般に日常清掃として実施する。
(5) トイレ・洗面所の換気口の除じんは、一般に定期清掃で実施する。
ビル管過去問|建築物清掃の作業計画|日常清掃・定期清掃・部位別清掃区分を解説
この問題は、建築物清掃における作業計画の基本として、どの作業を日常清掃で行い、どの作業を定期清掃で行うかを判定する問題です。清掃計画では、汚れやすさ、利用頻度、衛生上の重要性、作業のしやすさなどを踏まえて、日常的に行うべき作業と、一定の周期でまとめて行う作業を区別します。正しい選択肢は、廊下壁面のスポット洗浄、廊下壁面のスイッチ回りの洗剤拭き、階段の手すり拭き、トイレ・洗面所の換気口の除じんであり、ELVカゴ内部の除じんを定期清掃とする記述が不適当です。ELVカゴ内部は利用頻度が高く、ほこりやごみが発生しやすいため、一般には日常清掃として扱うのが基本です。
(1) 廊下壁面のスポット洗浄は、一般に定期清掃で実施する。
適切です。廊下壁面全体は床面ほど頻繁に汚れる場所ではありませんが、手あかや部分的な擦れ汚れ、荷物接触による汚れなどが徐々に目立ってきます。このような部分的な汚れに対して行うスポット洗浄は、毎日実施する性質のものではなく、一定期間ごとに状態を確認しながら実施するのが一般的です。つまり、日々の巡回で著しい汚れを見つけた場合に随時対応することはあっても、作業計画上は定期清掃に位置づけられることが多いです。壁面は面積が広く、作業に手間もかかるため、汚れの進行状況を見ながら周期的に実施するという考え方が基本になります。
(2) 廊下壁面のスイッチ回りの洗剤拭きは、一般に定期清掃として実施する。
適切です。スイッチ回りは手が触れるため汚れやすい部位ですが、床や便器のように毎日洗浄が必要な対象とは異なります。そのため、通常の作業計画では、一定周期で洗剤拭きを行う定期清掃の対象とされることが一般的です。特にスイッチ周辺は皮脂汚れや黒ずみが付きやすく、放置すると見栄えが悪くなるため、定期的な洗剤拭きが有効です。ただし、医療施設や高頻度接触部位の衛生管理を重視する施設では、運用上より短い周期で実施することもあります。試験では一般的な建築物清掃の標準的区分を問うているため、定期清掃と考えるのが妥当です。
(3) ELVカゴ内部の除じんは、一般に定期清掃として実施する。
不適切です。ELVカゴ内部、つまりエレベーターかごの内部は、多くの利用者が頻繁に出入りする場所であり、床面にはほこり、ごみ、砂、紙片などが日常的に持ち込まれます。そのため、除じんは定期清掃ではなく、一般には日常清掃として行うべき作業です。エレベーター内部は建物の印象にも直結し、清潔感の有無が利用者にすぐ伝わる場所でもあります。特に床面や隅部にはごみがたまりやすいため、日々の除じんや簡易清掃が必要です。定期清掃として行うのは、床材の本格洗浄や金属部分の磨きなど、日常清掃では対応しにくい作業です。したがって、除じんを定期清掃とするこの記述は不適当です。
(4) 階段の手すり拭きは、一般に日常清掃として実施する。
適切です。階段の手すりは、多くの人が直接手で触れる部位であり、手あかや汚れが付きやすいだけでなく、衛生面でも重要な対象です。特に共用部では利用頻度が高く、見た目の清潔感にも影響するため、日常清掃として扱うのが一般的です。床面の掃き拭きとあわせて、手すりの拭き上げを日常作業に組み込むことで、利用者が触れる部分の清潔を保ちやすくなります。感染対策や接触部位の衛生管理が重視される施設では、さらに重点的に管理されることもあります。こうした点からも、日常清掃に分類するのが自然です。
(5) トイレ・洗面所の換気口の除じんは、一般に定期清掃で実施する。
適切です。トイレや洗面所の換気口には、ほこりや繊維くずが徐々に蓄積しますが、床や衛生器具のように毎日洗浄しなければならない部位ではありません。そのため、通常は一定周期で除じんを行う定期清掃として計画されます。換気口にほこりがたまると換気効率の低下や見栄えの悪化につながるため、放置は望ましくありませんが、作業頻度としては日常清掃よりも低く設定されるのが一般的です。清掃計画では、利用者の目に付きやすさと機能維持の両方を踏まえ、周期的に除じんすることが重要です。
この問題で覚えるポイント
建築物清掃の作業計画では、日常清掃と定期清掃の違いを、汚れの発生頻度、利用頻度、衛生上の重要性、見た目への影響で判断することが重要です。日常清掃は、床の掃き拭き、ごみ処理、手すりやエレベーター内部など利用頻度が高く汚れが蓄積しやすい部位に対して行う清掃です。これに対して定期清掃は、壁面のスポット洗浄、換気口の除じん、床の洗浄ワックス塗布など、毎日実施する必要はないが、一定周期で行わないと美観や機能が損なわれる作業が中心です。試験では、床や手で触れる部位は日常清掃、壁面や高所、設備周辺の細かな部位は定期清掃という基本軸を持っておくと判断しやすくなります。ただし、単純に部位だけで決めるのではなく、その場所がどれだけ使われるか、汚れがどれだけ早く発生するかまで考えることが大切です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、日常清掃と定期清掃の区分を、部位の名称だけで機械的に判断してしまうことにあります。たとえば、エレベーター内部という言葉だけを見ると、特殊な場所なので定期清掃と思い込みやすいですが、実際には利用頻度が高く、ごみやほこりが毎日発生するため、除じんは日常清掃です。反対に、スイッチ回りや換気口は汚れが気になる場所ではあるものの、一般的な作業計画では毎日ではなく周期的に対応することが多いため、定期清掃に分類されます。つまり、見た目の印象や日常感覚ではなく、清掃管理上の頻度と必要性で判断することが大切です。今後も、共用部で人が頻繁に使う場所は日常清掃、汚れの進行が緩やかで周期管理する場所は定期清掃、という視点で整理すると、同じパターンの問題に対応しやすくなります。
