出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|空気環境の調整第60問
問題
定風量単一ダクト方式を図−Aに、冷房最大負荷時の状態変化を図-Bに示す。図−Aの各点に対する図−Bの状態点との組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。


(1) 図−A:a 図−B:ア
(2) 図−A:b 図−B:ウ
(3) 図−A:c 図−B:エ
(4) 図−A:d 図−B:イ
(5) 図−A:e 図−B:オ
ビル管過去問|空調方式|定風量単一ダクト方式と冷房時の空気線図を解説
この問題は、定風量単一ダクト方式の空気の流れと、空気線図上での状態変化を対応づけられるかを問う問題です。
冷房最大負荷時には、外気、還気、混合空気、冷却コイル通過後の空気、室内空気という順で状態が変わっていきます。
したがって、図面上の機器や空気の流れを見て「どの地点の空気か」を把握し、それを空気線図上の「高温多湿側」「室内条件」「混合点」「冷却除湿後の低温側」などと結びつけることが重要です。
正解は、冷却コイルを通過した後の最も低温・低湿な空気に対応する組合せを示しているものです。
(1) 図−A:a 図−B:ア
不適切です。定風量単一ダクト方式では、図−Aの各点は空調機内や室内・外気の各位置を表し、図−Bの各点はその空気状態を表しています。
空気線図で高温多湿側に位置する点は通常、外気を表すことが多いです。
一方で、aが必ずしもその外気位置に対応するとは限らず、機器系統図の位置関係から判断する必要があります。
この問題では、aをアに対応させると、空気の流れの順序や混合・冷却除湿の関係が合わなくなります。
空気線図の点は見た目だけで決めるのではなく、その空気が外気なのか、還気なのか、混合空気なのか、コイル通過後なのかを、空調系統図の流れに沿って判断することが大切です。
(2) 図−A:b 図−B:ウ
不適切です。ウは一般に、外気と還気が混ざった混合空気のように、二つの状態の中間に位置する点として示されることが多いです。
混合空気は、外気と還気が混ざった直後の空気であり、空気線図上では両者を結ぶ線上の途中に現れます。
したがって、bが混合前の空気や別の地点を表している場合、ウに対応させることはできません。
この種の問題では、混合空気は単独で発生する状態ではなく、必ず「二つの空気が混ざった結果の中間点」であるという原則を押さえておくと判断しやすくなります。
(3) 図−A:c 図−B:エ
不適切です。エは、冷却コイル通過後の空気がファンやダクトでわずかに温度上昇した後の給気、あるいは室内条件に向かう途中の状態として描かれることがあります。
しかし、cがそのような位置の空気を表していない場合、この対応は成立しません。
定風量単一ダクト方式では、外気と還気が混合し、その後に冷却コイルで冷却除湿され、必要に応じて送風されて室内に供給されます。
つまり、系統図上の位置と空気線図上の変化順序が一致していなければなりません。
cをエとすると、その前後の空気状態とのつながりが不自然になり、冷房時の標準的な状態変化と合わなくなります。
(4) 図−A:d 図−B:イ
適切です。イは、冷房最大負荷時における冷却コイル通過後の空気、すなわち最も低温で、しかも除湿によって湿り空気の絶対湿度も下がった状態を表す点です。
冷房時の空気線図では、混合空気が冷却コイルを通過すると、温度が下がるだけでなく、露点以下まで冷やされることで水蒸気が凝縮し、冷却除湿が行われます。
そのため、空気線図上では左下方向へ移動した点になります。
定風量単一ダクト方式では、送風量は一定であり、冷房負荷に対しては主として送風温度やコイル通過後の空気状態で対応します。
したがって、図−Aのdが冷却コイル通過後の空気を示しているなら、それに対応する図−Bの点は最も低温側にあるイとなります。
この組合せが正しいと判断できます。
(5) 図−A:e 図−B:オ
不適切です。オは室内空気、還気、あるいは室内設定条件を示す点として用いられることが多いですが、eがそれと一致する地点であるとは限りません。
定風量単一ダクト方式では、室内空気は給気を受けて室内負荷を処理した結果として決まる状態であり、空調機内の各地点とは明確に区別して考える必要があります。
もしeが外気や混合空気、またはコイル通過後空気など別の地点であれば、オに対応づけるのは誤りです。
この問題では、空気線図上の室内条件点と、系統図上の実際の位置関係を丁寧に照合すると、この組合せは適当ではないとわかります。
この問題で覚えるポイント
定風量単一ダクト方式とは、各室へ送る風量を一定に保ち、主に送風温度で負荷に対応する空調方式です。
冷房時の基本的な空気の流れは、外気と還気の混合、冷却コイルでの冷却除湿、送風、室内での熱負荷処理、還気という順番になります。
空気線図では、外気は夏期なら高温多湿側、室内空気は設計室内条件付近、混合空気は外気点と還気点を結ぶ直線上の途中、冷却コイル通過後の空気は左下側の低温低湿点として表れます。
混合空気は「中間点」、冷却コイル通過後の空気は「最も低温で除湿された点」という見分け方が重要です。
冷房では単なる温度低下ではなく、露点以下まで冷やされると除湿も同時に起こるため、空気線図上では水平移動ではなく左下方向の変化になります。
また、室内では給気が室内負荷を受けて、室内状態へ近づく変化をします。
この流れを一連で理解しておくと、単一ダクト方式だけでなく、空調機の空気線図問題全般に対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、空気線図上の点の見た目だけで判断させようとするところにあります。
受験者は、高温多湿なら外気、低温低湿なら冷却後空気と大まかにはわかっていても、系統図のどの記号がどの空気を表すのかを曖昧にしたまま選んでしまいがちです。
また、混合空気を見落として、外気か還気のどちらかと取り違えることもよくあります。
さらに、冷房時のコイル通過後空気と室内空気を混同しやすい点も典型的な罠です。
室内空気は人や機器から熱を受けた後の状態であり、コイル通過後空気より高温側になります。
つまり、「空気線図の点の意味」と「系統図上の位置」を別々に覚えるのではなく、空気の流れの順番で一続きに理解することが、今後も同じパターンで引っかからないためのコツです。
