【ビル管過去問】令和5年度 問題55|必要換気量計算|喫煙室の一酸化炭素濃度と換気量を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|空気環境の調整第55問

問題

喫煙室において、1時間当たり15本のたばこが喫煙されているとき、喫煙室内の一酸化炭素濃度を建築物環境衛生管理基準値の6ppm以下に維持するために最低限必要な換気量として、最も近いものは次のうちどれか。 ただし、室内は定常状態・完全混合(瞬時一様拡散)とし、外気一酸化炭素濃度は0ppm、たばこ1本当たりの一酸化炭素発生量は0.0004m3/hとする。

(1) 40m3/h

(2) 66m3/h

(3) 600m3/h

(4) 1,000m3/h

(5) 4,000m3/h

ビル管過去問|必要換気量計算|喫煙室の一酸化炭素濃度と換気量を解説

この問題は、喫煙によって発生する一酸化炭素を、換気によってどれだけ薄めれば建築物環境衛生管理基準の6ppm以下にできるかを計算する問題です。建築物環境衛生管理基準では一酸化炭素は6ppm以下とされており、ppmは容積比で100万分の1を表します。したがって、定常状態・完全混合の条件では、必要換気量は「汚染物質の発生量 ÷ 許容濃度差」で求めます。今回の正しい選択肢は(4)1,000m3/hです。計算の流れは、まず一酸化炭素発生量を 15本×0.0004m3/h=0.006m3/h と求め、次に6ppm=6×10^-6 として、換気量 Q=0.006÷0.000006=1,000m3/h と計算します。建築物環境衛生管理基準の一酸化炭素基準値6ppm以下と、ppmが100万分の1の容積比であることを正確に押さえるのが得点の鍵です。

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(1) 40m3/h

不適切です。その理由は、必要換気量が著しく小さすぎるからです。 この問題では、喫煙による一酸化炭素の発生量が1時間当たり0.006m3あります。これを室内濃度6ppm以下に抑えるには、かなり大きな換気量が必要です。仮に40m3/hしか換気しないとすると、室内濃度は 0.006÷40=0.00015 となります。これをppmに直すと 0.00015×10^6=150ppm です。150ppmは基準値6ppmを大きく超えてしまいます。 この選択肢を選んでしまう人は、ppmを百分率や千分率のような感覚でとらえてしまい、100万分の1という非常に小さい単位であることを見落としていることが多いです。ppmの単位感覚が曖昧だと、必要換気量を極端に小さく見積もってしまいます。

(2) 66m3/h

不適切です。その理由は、これでも必要換気量としては足りないからです。 66m3/hで換気した場合、室内濃度は 0.006÷66≒0.0000909 です。これをppmに直すと約90.9ppmになります。したがって、基準値6ppm以下にはまったく届きません。 この数値は、一見するとそれなりに換気しているように見えるため、迷いやすい選択肢です。しかし、喫煙による一酸化炭素発生量に対して、許容される濃度が6ppmと非常に低いので、必要換気量はもっと大きくなります。感覚で判断せず、必ず式に代入して確かめることが大切です。

(3) 600m3/h

不適切です。その理由は、かなり近そうに見えても、まだ不足しているからです。 600m3/hで換気した場合、室内濃度は 0.006÷600=0.00001 です。これをppmに直すと10ppmです。10ppmは基準値6ppmを上回るため、不適切です。 この選択肢は特にひっかけとしてよくできています。600という数字は大きく、さらに10ppmという値も一見それほど高くないように感じるかもしれません。しかし、この問題ではあくまで6ppm以下に維持することが条件です。近い値であっても、基準を超えていれば誤りです。試験では「だいたい合っていそう」で止まらず、最後まで数値を確認する姿勢が重要です。建築物環境衛生管理基準では一酸化炭素は6ppm以下です。

(4) 1,000m3/h

適切です。その理由は、与えられた条件から計算すると必要換気量がちょうど1,000m3/hになるからです。 まず、たばこ1本当たりの一酸化炭素発生量は0.0004m3/hで、1時間に15本喫煙されます。したがって発生量は、 15×0.0004=0.006m3/h です。 次に、許容される室内一酸化炭素濃度は6ppmです。ppmは100万分の1の容積比なので、 6ppm=6×10^-6 です。外気濃度は0ppmですから、濃度差はそのまま6×10^-6です。 定常状態・完全混合のときの必要換気量Qは、 Q=M/(C-C0) で求められます。 ここに代入すると、 Q=0.006/0.000006=1,000m3/h となります。 したがって、最も近いものは1,000m3/hです。この問題は公式自体は難しくありませんが、ppmをそのまま6として扱わず、必ず 6×10^-6 に直すことが最大のポイントです。ppmが容積比で100万分の1を表すことが分かっていれば、落ち着いて解けます。

(5) 4,000m3/h

不適切です。その理由は、基準を満たすには十分すぎるものの、最低限必要な換気量としては大きすぎるからです。 4,000m3/hで換気した場合、室内濃度は 0.006÷4000=0.0000015 です。これをppmに直すと1.5ppmです。たしかに6ppm以下なので基準は満たしますが、問題は「最低限必要な換気量として、最も近いもの」を問うています。そのため、基準を満たす中でも必要量に最も近い1,000m3/hを選ばなければなりません。 試験では「基準を下回るから正しい」と考えてしまうことがありますが、この問題は最小限の必要量を問うています。設計計算では、過大な換気量はエネルギー面や設備容量の面で不利になるため、必要以上に大きければ正答にはなりません。

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この問題で覚えるポイント

必要換気量の計算では、定常状態・完全混合の条件なら、換気量は「汚染物質発生量÷室内外濃度差」で求めます。外気濃度が0なら、換気量は「発生量÷室内許容濃度」でそのまま計算できます。ppmは100万分の1の容積比であり、6ppmなら 6×10^-6、1000ppmなら 1000×10^-6=0.001 と直して扱います。ここを間違えると計算結果が何百倍、何千倍もずれてしまいます。建築物環境衛生管理基準では、一酸化炭素は6ppm以下、二酸化炭素は1000ppm以下が重要です。どちらも換気量計算で頻出ですが、単位の意味と換算を正確に押さえることが大切です。さらに、問題文に「最低限必要な換気量」とあるときは、基準を満たす中で最小に近い値を選ぶ必要があります。単に基準以下になる大きな値を選べばよいわけではありません。

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ひっかけポイント

この問題の典型的な罠は、ppmをそのまま6という数字で扱ってしまうことです。ppmは100万分の1なので、6ppmは6ではなく 0.000006 です。この換算を忘れると、換気量を極端に小さく見積もってしまいます。次の罠は、大きい換気量なら安全だから正解だと思い込むことです。しかし問われているのは「最低限必要な換気量」であり、必要以上に大きい値は正答になりません。さらに、基準値に近いが少し超えている数値を見逃すのもよくあるミスです。10ppmは6ppmに比べてそれほど極端には見えませんが、基準超過なので不正解です。換気量問題では、単位換算、条件の読み取り、そして「以下」「最低限」といった言葉の意味を最後まで丁寧に確認することが、安定して得点するコツです。

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