出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の構造概論第91問
問題
CASBEE(建築環境総合性能評価システム)の評価対象の分野に、含まれていないものは次のうちどれか。
(1) エネルギー消費
(2) 火災安全
(3) 資源循環
(4) 地域環境
(5) 室内環境
ビル管過去問|CASBEE|建築環境総合性能評価の対象分野を解説
この問題は、CASBEEがどのような分野を対象に建築物の環境性能を評価しているかを問う問題です。CASBEEでは、建築物の品質や環境配慮の観点から、室内環境、エネルギー、資源・マテリアル、敷地外環境などを評価します。一方で、火災安全は一般的な建築計画や防災設計では重要な項目ですが、CASBEEの評価対象分野そのものには含まれていません。そのため、正解は火災安全です。CASBEEは「建物の環境品質・性能」と「外部環境への負荷」を整理して考えることが重要です。
(1) エネルギー消費
適切です。CASBEEでは、建築物の環境性能を評価する際に、エネルギーに関する項目が重要な対象分野として扱われます。具体的には、建物が運用される中でどれだけ効率よくエネルギーを使っているか、省エネルギー設備が導入されているか、熱負荷を低減する工夫があるかなどが評価の対象になります。近年の建築物では、環境配慮の観点からエネルギー消費の抑制が特に重視されているため、CASBEEの代表的な評価分野の一つです。
(2) 火災安全
不適切です。火災安全は建築物にとって極めて重要な性能ですが、CASBEEの評価対象分野そのものには含まれていません。CASBEEは、建築物の環境品質や環境負荷低減を評価する仕組みであり、防火性能や避難安全のような防災面の評価を中心に構成された制度ではありません。ここで混同しやすいのは、「建築物の性能評価」と「環境性能評価」の違いです。火災安全は建築基準法や防火・避難計画の文脈で扱われることが多く、CASBEEの評価分類とは別の考え方です。そのため、この選択肢が正解になります。
(3) 資源循環
適切です。CASBEEでは、資源の有効利用や廃棄物の抑制といった観点も評価対象に含まれます。建築物は建設時にも運用時にも多くの資源を使用するため、長寿命化、再利用可能な材料の採用、廃棄物の発生抑制、水資源の有効利用などが重要になります。こうした考え方は、持続可能な建築を実現するうえで欠かせないため、CASBEEでも明確に位置付けられています。
(4) 地域環境
適切です。CASBEEでは、建物単体の内部性能だけでなく、その建物が周辺地域にどのような影響を与えるかという視点も評価します。たとえば、ヒートアイランド対策、景観への配慮、周辺への騒音や風環境への影響、生態系への配慮などが地域環境に関わる内容です。建築物は単独で存在するのではなく、地域社会や周辺環境の中に存在するため、このような視点も重要な評価分野となっています。
(5) 室内環境
適切です。CASBEEでは、利用者が快適かつ健康的に過ごせる室内環境も評価対象です。具体的には、温熱環境、空気質、採光、音環境、使いやすさなどが関係します。これは単に建物が省エネであればよいという考えではなく、建物利用者にとって質の高い空間であることも重視しているためです。環境性能評価というと外部への負荷低減だけを思い浮かべがちですが、CASBEEでは室内の質も重要な柱になっています。
この問題で覚えるポイント
CASBEEは、建築物の環境性能を総合的に評価する仕組みであり、「建物の環境品質・性能」と「建物が外部に与える環境負荷」の両面から考えるのが基本です。評価対象として覚えておきたいのは、室内環境、サービス性能、室外環境、エネルギー、資源・マテリアル、敷地外環境です。試験対策では、これらを細かく丸暗記するよりも、「建物の中の快適性や品質を見る項目」と「建物が外に与える負荷を見る項目」に分けて整理すると理解しやすくなります。エネルギー消費、資源循環、地域環境、室内環境はCASBEEの考え方と結び付きやすい一方で、防火や避難のような安全性評価は別系統の制度や法令で扱われることが多いです。この区別を押さえることが、同テーマの問題で正誤判断をするうえでとても重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「建築物にとって重要な性能」と「CASBEEが評価する環境性能」をわざと混同させている点にあります。火災安全は建築物に欠かせない要素なので、受験者はつい「重要だからCASBEEでも評価されるはずだ」と考えてしまいがちです。しかし、試験では「重要かどうか」ではなく、「その制度の評価対象かどうか」を正確に見分ける必要があります。つまり、日常感覚では正しそうに見える内容でも、制度の目的と範囲に照らして判断しないと誤答します。今後も、制度名や評価手法が出てきたら、「何を評価する仕組みなのか」を先に確認する癖をつけると、同じタイプのひっかけに強くなります。
