出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物衛生行政概論第2問
問題
次に掲げる法律と、法律を所管する行政組織との組合せとして、誤っているものはどれか。
(1) 地域保健法 ―― 厚生労働省
(2) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 ―― 環境省
(3) 学校保健安全法 ―― 文部科学省
(4) 土壌汚染対策法 ―― 国土交通省
(5) 健康増進法 ―― 厚生労働省
ビル管過去問|公衆衛生関連法と所管省庁(厚生労働省・環境省・文部科学省など)の対応関係を解説
この問題は、公衆衛生や環境衛生に関わる主要な法律が、どの行政組織によって所管されているかを問うものです。ビル管試験では、法律の細かな条文そのものだけでなく、どの分野をどの省庁が担当しているかという行政の整理もよく問われます。今回の正解は、土壌汚染対策法を国土交通省としているものです。土壌汚染対策法は環境省が中心となって扱う法律であり、国土交通省ではありません。地域保健法と健康増進法は厚生労働省、学校保健安全法は文部科学省、土壌汚染対策法は環境省という対応関係を、分野ごとに整理して覚えることが大切です。
(1) 地域保健法 ―― 厚生労働省
適切です。その理由は、地域保健法は、地域住民の健康の保持と増進を目的として、保健所や市町村保健センターなど地域保健の体制に関する基本事項を定める法律だからです。地域保健は、住民の健康づくり、母子保健、感染症対策、健康相談など、まさに厚生労働行政の中心的な分野です。そのため、所管は厚生労働省となります。法律名に「保健」と入っているため連想しやすいですが、単に名前で覚えるだけでなく、「地域住民の健康を支える仕組みを定める法律は厚生労働省」と理解しておくと、他の問題にも対応しやすくなります。
(2) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 ―― 環境省
適切です。その理由は、この法律が一般廃棄物や産業廃棄物の処理、生活環境の保全、公衆衛生の向上を目的とする法律であり、環境行政と強く結び付いているからです。ごみ処理や廃棄物対策は、単なる清掃の問題ではなく、環境汚染の防止や循環型社会の実現とも関係するため、環境省が所管します。受験勉強では、「廃棄物」「土壌」「水質」「大気」など、環境への影響を直接扱う法律は環境省の所管であることが多いと整理しておくと、判断がしやすくなります。
(3) 学校保健安全法 ―― 文部科学省
適切です。その理由は、学校保健安全法が、学校における児童生徒等や職員の健康の保持増進、そして学校安全に関する事項を定める法律だからです。学校は教育の場であり、その運営全体を所管するのは文部科学省です。そのため、学校における保健管理や安全管理を扱うこの法律も文部科学省の所管になります。ここでは「保健」という言葉に引っ張られて厚生労働省と考えてしまいやすいのですが、学校という制度の中での保健と安全を扱う以上、教育行政として文部科学省が担当する、という視点で押さえることが重要です。
(4) 土壌汚染対策法 ―― 国土交通省
不適切です。その理由は、土壌汚染対策法は国土交通省ではなく、環境省が所管する法律だからです。土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況の把握や、人の健康被害を防止するための措置などを定めた法律であり、環境保全と公衆衛生の観点が中心です。そのため、環境行政を担う環境省が所管しています。国土交通省は、建築、道路、河川、都市計画、住宅、交通など、国土利用やインフラ整備に関わる行政を主に担当します。土壌という言葉から土地や国土を連想して国土交通省を選んでしまう受験者は多いですが、この法律で問われているのは土地利用そのものではなく、汚染による健康被害の防止です。そこに着目すると、環境省が正しいと判断できます。
(5) 健康増進法 ―― 厚生労働省
適切です。その理由は、健康増進法が国民の健康の増進を総合的に推進するための基本的な法律であり、栄養改善、生活習慣病予防、受動喫煙防止などを含む健康政策を扱うからです。これらは典型的な厚生労働行政の分野であるため、所管は厚生労働省です。特に近年は、受動喫煙防止の制度改正で健康増進法が話題になったため、法律名を見たことがある方も多いと思います。試験では、健康づくりや保健指導に関係する法律は厚生労働省、と軸を持って覚えると混乱しにくくなります。
この問題で覚えるポイント
このテーマで大切なのは、法律名を丸暗記するのではなく、法律が扱う対象分野から所管省庁を逆算できるようにすることです。地域住民の健康、保健所、健康づくり、栄養、受動喫煙対策のように、人の健康の保持増進を直接扱うものは厚生労働省の所管と整理できます。学校における保健や安全は、教育制度の中で実施されるため文部科学省です。廃棄物、土壌汚染のように環境汚染や生活環境の保全を主題とするものは環境省です。国土交通省は、住宅、建築、道路、河川、都市計画、交通といった国土や社会基盤の整備を中心に担う省庁であり、環境汚染そのものを主題とする法律とは区別して覚える必要があります。試験では、名称の一部だけで判断すると迷いやすいため、「誰の健康を守る法律か」「どの場面を管理する法律か」「環境保全が中心か、教育が中心か、保健行政が中心か」という見方で整理すると、正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、法律名に含まれる言葉の印象だけで省庁を選ばせようとしている点にあります。たとえば、土壌汚染対策法は「土壌」という言葉から土地や建設を連想しやすく、その結果、国土交通省と結び付けてしまいやすいです。しかし、実際に問題となっているのは土地利用ではなく、汚染による健康被害の防止なので、環境省が正解になります。また、学校保健安全法は「保健」という語が入っているため厚生労働省と誤認しやすいですが、学校という教育制度の中での保健と安全を扱うため文部科学省です。つまり、この種の問題では、言葉の一部だけで短絡的に判断すると誤りやすく、法律の中心目的と行政分野の対応関係まで踏み込んで考えることが必要です。この見抜き方を身に付けておくと、似た形式の省庁対応問題にも強くなれます。
