【ビル管過去問】令和5年度 問題36|視覚と照明|眼の構造(網膜)・光の知覚・照度基準を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の環境衛生第36問

問題

眼の構造と光の知覚・明るさに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 眼の網膜にある視細胞が光を感知する。

(2) 網膜は眼の前面、水晶体の前方に位置する。

(3) 黒色の円環の切れ目を見ることで視力を測る方法がある。

(4) 室内における適正な照明の量は、使用用途によって異なる。

(5) 物体の色は、光が物体に入射し、反射した光の分光分布により見られる。

ビル管過去問|視覚と照明|眼の構造(網膜)・光の知覚・照度基準を解説

この問題は、眼の基本構造、視力の測定方法、照明の考え方、そして物体の色の見え方について問う問題です。正解は(2)で、網膜の位置に関する説明が誤っています。網膜は眼球の奥にある組織であり、水晶体の前方ではありません。視覚と照明の問題では、眼の構造を正しく整理したうえで、視力、照度、色の見え方を結び付けて理解しておくことが大切です。

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(1) 眼の網膜にある視細胞が光を感知する。

適切です。眼で光を感じる中心となるのは、眼球の内側の奥にある網膜です。網膜には視細胞があり、代表的なものとして杆体細胞と錐体細胞があります。杆体細胞は暗い場所での見え方に関わり、錐体細胞は明るい場所での色の識別や細かい形の認識に関わります。つまり、光を受け取って神経の信号に変える出発点は網膜にある視細胞です。視覚に関する基礎問題では、角膜や水晶体が「光を通したり屈折させたりする部分」であり、網膜が「受け取る部分」であることを区別して覚えることが重要です。

(2) 網膜は眼の前面、水晶体の前方に位置する。

不適切です。その理由は、網膜は眼の前面ではなく、眼球の最も奥の内壁に広がる膜だからです。光は、まず角膜を通り、次に瞳孔、水晶体を経て、眼球の奥にある網膜に到達します。したがって、網膜が水晶体の前方にあるという記述は、眼の構造を前後逆にしてしまっています。眼の構造では、前方から順に角膜、前房、虹彩、瞳孔、水晶体、硝子体、網膜という流れをイメージすると整理しやすいです。このような問題では、器官の名称を知っているだけでなく、位置関係まで正確に覚えているかが問われます。

(3) 黒色の円環の切れ目を見ることで視力を測る方法がある。

適切です。これは一般にランドルト環による視力検査を指しています。黒い輪の一部が切れている記号を見て、その切れ目の方向を答えることで視力を測定します。日本で広く用いられている方法であり、健康診断などでもよく見かけます。日常的に目にする検査なので感覚的にも分かりやすい選択肢ですが、試験では「黒色の円環の切れ目」という表現に惑わされず、ランドルト環の説明だと読み取れることが大切です。視覚の問題では、構造だけでなく、視力や明るさの評価方法も基本事項として押さえておくと得点につながります。

(4) 室内における適正な照明の量は、使用用途によって異なる。

適切です。照明の適切さは、どのような作業を行う場所かによって変わります。例えば、廊下や階段のように移動が主な場所ではそれほど高い照度は必要ありませんが、事務作業や読書、精密な手作業を行う場所では、より高い照度が求められます。つまり、明るければ明るいほどよいというわけではなく、用途に応じて必要な明るさを確保することが大切です。照明計画では、作業内容、視対象の大きさ、必要な見やすさ、疲労の軽減などを考慮して照度が決められます。ビル管では、建築物の衛生環境として快適で安全な照明環境を理解しているかが問われます。

(5) 物体の色は、光が物体に入射し、反射した光の分光分布により見られる。

適切です。私たちが物体の色を見分けられるのは、光が物体に当たり、その一部が反射して目に入り、その反射光の波長の違いを視覚が捉えるためです。例えば、赤い物体は赤い波長成分を多く反射し、他の波長成分を吸収しやすいため、赤く見えます。したがって、色は物体そのものが単独で持っているのではなく、光の性質、物体の反射特性、そして人の視覚の働きが組み合わさって決まります。照明の種類が変わると同じ物体でも色の見え方が変わることがあるのは、この仕組みによるものです。照明分野では、色温度や演色性とも関係する重要な考え方です。

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この問題で覚えるポイント

視覚では、光を感じる場所は網膜であり、網膜は眼球の奥に位置します。角膜や水晶体は光を通して屈折させる役割を持ち、網膜はその光を受け取って神経信号に変える役割を持ちます。この役割の違いと位置関係は頻出です。 視細胞には杆体細胞と錐体細胞があり、杆体細胞は暗所視、錐体細胞は明所視と色覚に関係します。暗い場所で見えやすい仕組みと、明るい場所で色や細部を見分ける仕組みは異なるという点を押さえることが重要です。 視力検査ではランドルト環が代表的であり、切れ目の方向を識別できるかで視力を測定します。視覚に関する問題では、眼の構造だけでなく、このような基本的な検査法も問われます。 照明の適正さは用途ごとに異なります。通行を主目的とする場所、読書や事務作業を行う場所、精密作業を行う場所では必要な照度が異なります。したがって、照度は一律ではなく、使用目的に応じて考えるのが原則です。 物体の色は、入射した光のうちどの波長成分が反射されるかによって見えます。そのため、照明の種類が変わると色の見え方も変わることがあります。色の見え方は、光源、物体、視覚の三者の関係で決まると理解しておくと、関連問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、眼の部位の名前自体は正しそうに見せながら、位置関係だけを逆にしている点です。受験者は「網膜が眼にある組織」という知識だけで読んでしまうと、前方か後方かのズレを見落としやすいです。試験では、このように用語そのものは正しくても、場所や順序が誤っている選択肢がよく出ます。 また、日常的に見慣れている視力検査や色の見え方の説明は、なんとなく分かった気になりやすい部分です。そのため、曖昧な理解のまま読むと、誤りのある選択肢よりも、むしろ正しい選択肢を不安に感じてしまうことがあります。普段見慣れた内容ほど、正式な仕組みとして説明できるレベルで理解しておくことが大切です。 さらに、照明に関する問題では、「明るいほどよい」という日常感覚が思考の罠になります。実際には、適正な照明は用途ごとに異なります。試験では、このように日常感覚では自然に思える考え方と、衛生管理や照明計画の原則との差を突いてくることが多いです。

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