【ビル管過去問】令和4年度 問題172|害虫防除 チャタテムシ・カメムシ・ハエ類の対策を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|ねずみ、昆虫等の防除第172問

問題

害虫に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) コナチャタテ類の防除では、餌となるカビの発生を抑えることが必要である。

(2) ヒメマルカツオブシムシは、フェロモンによって誘引される。

(3) マルカメムシの防除では、食草となるクズなどの除去が有効である。

(4) チョウバエ類の幼虫に対する殺虫剤の効力は、一般に蚊と比較して高い。

(5) イエバエは、薬剤抵抗性を獲得している集団が報告されている。

ビル管過去問|害虫防除 チャタテムシ・カメムシ・ハエ類の対策を解説

この問題は、建築物内外で問題となる害虫について、それぞれの生態と防除方法を正しく理解しているかを問う問題です。正解は(4)で、不適切です。チョウバエ類の幼虫は、ぬめりや有機物の多い場所に生息し、薬剤が届きにくい環境にいるため、一般に蚊の幼虫より殺虫剤が効きにくい傾向があります。他の選択肢は、害虫の生態や防除の基本を押さえた適切な内容です。試験では、単に害虫名を覚えるだけでなく、どこで発生し、何を餌にし、どのような方法が有効かまで結び付けて理解しておくことが大切です。

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(1) コナチャタテ類の防除では、餌となるカビの発生を抑えることが必要である。

適切です。コナチャタテ類は非常に小さな昆虫で、高湿度環境を好み、カビや微生物を餌として増殖します。そのため、殺虫剤だけで対処しようとしても、発生源であるカビが残っていれば再発しやすいです。防除では、換気の改善、除湿、結露対策、清掃による有機物の除去などによって、まずカビが生えにくい環境をつくることが重要です。害虫防除では、虫そのものよりも、虫を支える環境条件を断つことが本質であると理解しておくと判断しやすくなります。

(2) ヒメマルカツオブシムシは、フェロモンによって誘引される。

適切です。ヒメマルカツオブシムシは、衣類害虫や食品害虫として知られるカツオブシムシ類の一種で、成虫や雄成虫の行動把握にフェロモンを利用した誘引が行われます。フェロモントラップは、発生の有無や密度を調べるための監視手段として有効であり、防除計画を立てるうえでも役立ちます。ただし、フェロモンは主として調査や発生確認に用いられるもので、これだけで完全防除ができるわけではありません。幼虫による加害が本体なので、保管物の点検や清掃、侵入防止もあわせて重要です。

(3) マルカメムシの防除では、食草となるクズなどの除去が有効である。

適切です。マルカメムシは、建物の周辺から秋季に飛来してくることが多く、周辺環境の影響を強く受ける害虫です。特にクズは代表的な寄主植物であり、その繁茂が近くにあると発生源になりやすいです。そのため、建物周辺のクズなどの除去は、飛来数の抑制に有効です。カメムシ類は、建物内で増えるというより、屋外から侵入してくるタイプが多いため、発生源対策と侵入防止対策を組み合わせて考えることが大切です。網戸や隙間の補修といった物理的対策も実務では重要になります。

(4) チョウバエ類の幼虫に対する殺虫剤の効力は、一般に蚊と比較して高い。

不適切です。チョウバエ類の幼虫は、排水溝、汚水槽、グリーストラップ、浄化槽周辺などのぬめりや汚泥、有機物が豊富な場所に生息します。このような場所では、幼虫が粘質物の内部や付着物の間に入り込んでいるため、殺虫剤が直接届きにくく、効力が十分に発揮されにくいです。一方、蚊の幼虫は比較的開放的な水面や水中にいるため、薬剤が接触しやすい場合があります。したがって、チョウバエ類の幼虫に対する薬剤効果は、一般に蚊より高いとはいえません。防除では、薬剤散布だけでなく、排水系の清掃やぬめりの除去など、発生源そのものを物理的に改善することが重要です。

(5) イエバエは、薬剤抵抗性を獲得している集団が報告されている。

適切です。イエバエは発生回転が比較的速く、同じ系統の薬剤が繰り返し使われると、抵抗性をもつ個体が生き残って集団全体に広がることがあります。実際に、各種殺虫剤に対して抵抗性を獲得したイエバエの集団は報告されています。そのため、防除では単に薬剤を使い続けるのではなく、作用機序の異なる薬剤をローテーションすることや、発生源となるごみ、汚物、腐敗有機物の除去を徹底することが大切です。害虫防除は、薬剤依存ではなく、環境管理と組み合わせることが基本です。

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この問題で覚えるポイント

害虫防除では、害虫ごとの生態を理解して、発生源対策、侵入防止、薬剤使用を適切に組み合わせることが重要です。チャタテムシ類は高湿度とカビが発生条件になるため、除湿や換気、結露防止が基本になります。カツオブシムシ類はフェロモンによる誘引が利用され、監視や発生確認に役立ちますが、幼虫対策としては被害物の点検と清掃も欠かせません。カメムシ類は屋外発生源の影響が大きいため、寄主植物の除去や建物への侵入防止が重要です。チョウバエ類は排水系のぬめりや汚泥が発生源であり、薬剤だけでは不十分で、清掃による幼虫の生息環境の除去が必要です。イエバエでは薬剤抵抗性が問題になるため、同一薬剤の連用を避け、環境衛生管理を徹底することが得点の鍵になります。試験では、どの害虫にどの発生環境が対応するか、そして有効な防除手段が何かをセットで覚えることが大切です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、殺虫剤が効きそうかどうかを日常感覚で判断してしまう点にあります。幼虫に薬剤を使うと聞くと、どの虫にも同じように効くと思いがちですが、実際には幼虫がどのような場所に生息しているかで効き方は大きく変わります。特にチョウバエ類のように、ぬめりや汚泥の中に潜む害虫は、薬剤が届きにくいため、見た目の印象より防除が難しいです。また、フェロモンという語が出ると特殊な例外のように感じて誤りと考えやすいですが、害虫調査では一般的に利用される手法です。さらに、植物の除去のような環境対策は地味に見えるため軽視しやすいものの、実際には非常に有効です。今後も、薬剤の強さだけで判断せず、害虫の生息場所、餌、侵入経路まで含めて考えることが、ひっかけを避けるための重要な視点になります。

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