出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|給水および排水の管理第114問
問題
受水槽の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 流入管は、受水槽内部で水没させず吐水口空間を確保する。
(2) オーバフロー管に設置する防虫網の有効開口面積は、オーバフロー管の断面積以上とする。
(3) 水抜き管は、オーバフロー管に接続させずに単独の配管とする。
(4) オーバフロー水を受ける排水管の管径は、オーバフロー管より大きくする。
(5) 水抜き管の管末には、防虫網を設置する。
ビル管過去問|受水槽の構造 吐水口空間・オーバーフロー管・水抜き管の基準を解説
この問題は、受水槽の衛生的な構造基準について問う問題です。受水槽では、外部からの汚染を防ぎつつ、あふれた水や清掃時の排水を安全に処理できる構造であることが重要です。正しい選択肢は、吐水口空間の確保、防虫網の有効開口面積、水抜き管の独立、オーバフロー水を受ける排水管の管径に関する記述であり、誤っているのは水抜き管の管末に防虫網を設置するとしたものです。水抜き管は槽内の水を完全に排出するための管であり、管末に防虫網を付けるとごみや異物が詰まりやすくなり、排水機能を妨げるおそれがあるため不適当です。
(1) 流入管は、受水槽内部で水没させず吐水口空間を確保する。
適切です。これは逆流や逆サイホン作用による汚染を防ぐための基本です。流入管の先端が受水槽内の水に浸かっていると、何らかの圧力変化が起きた際に槽内の水が給水系統側へ逆流する危険があります。そこで、流入管の吐水口と受水槽の最高水位との間に十分な空間、すなわち吐水口空間を設けます。これは受水槽の衛生管理で非常に重要な考え方で、配管と貯留水を直接つなげないという原則に基づいています。
(2) オーバフロー管に設置する防虫網の有効開口面積は、オーバフロー管の断面積以上とする。
適切です。オーバフロー管は、ボールタップの故障や異常給水などで受水槽内の水位が上がりすぎたときに、余分な水を安全に排出するための管です。この管の先端には、虫や小動物の侵入を防ぐため防虫網を設置しますが、網が細かすぎたり開口面積が不足したりすると、水の流れが妨げられて十分に排水できなくなります。そのため、有効開口面積はオーバフロー管の断面積以上とする必要があります。防虫対策と排水性能の両立がポイントです。
(3) 水抜き管は、オーバフロー管に接続させずに単独の配管とする。
適切です。水抜き管は、受水槽の清掃、点検、修理の際に槽内の水を抜くための管です。一方、オーバフロー管は異常時に余剰水を排出するための管であり、役割が異なります。これらを途中で接続すると、排水の流れが複雑になり、衛生面や維持管理面で不都合が生じるおそれがあります。また、異常時の排水機能や清掃時の排水機能が互いに影響を受けることも避けなければなりません。そのため、水抜き管は独立した配管とするのが原則です。
(4) オーバフロー水を受ける排水管の管径は、オーバフロー管より大きくする。
適切です。オーバフロー管から排出された水を受ける排水管の流下能力が不足していると、排水が滞ったり逆流したりして、周囲を水浸しにする原因になります。特にオーバフロー時には短時間にまとまった水量が流れる可能性があるため、受け側の排水管には余裕が必要です。そのため、オーバフロー水を受ける排水管の管径は、オーバフロー管より大きくするのが適切です。受け側を細くしないというのが実務上も大切な考え方です。
(5) 水抜き管の管末には、防虫網を設置する。
不適切です。水抜き管は、受水槽の底部にたまった水や清掃時の汚れを確実に排出するための管です。ここに防虫網を設置すると、汚れやごみが引っかかって詰まりやすくなり、完全排水の妨げになります。受水槽の清掃では、槽内の水を残さず抜けることが重要であり、排水の妨害となる構造は避けなければなりません。防虫対策は必要ですが、オーバフロー管や通気部など、それぞれの用途に応じた箇所で適切に行うべきであり、水抜き管末に防虫網を設けるのは不適当です。
この問題で覚えるポイント
受水槽の構造では、衛生性の確保と排水機能の確保を分けて考えることが重要です。まず、流入管は槽内水に水没させず、吐水口空間を設けるのが原則です。これは逆流防止のためで、受水槽の問題では頻出です。次に、オーバフロー管は異常時に余剰水を逃がすための管であり、先端には防虫網を設けますが、有効開口面積は管の断面積以上とし、流下能力を落とさないことが必要です。また、オーバフロー水を受ける側の排水管は、受け切れないと意味がないため、オーバフロー管より大きい管径が求められます。 一方、水抜き管は清掃や点検のために槽内の水を抜く管で、受水槽の最も低い部分から単独で取り出すのが原則です。完全排水できることが重要なので、管末に防虫網のような詰まりやすいものを設けてはいけません。試験では、オーバフロー管と水抜き管の役割の違い、吐水口空間の意味、防虫網を設ける場所と設けてはいけない場所の区別を押さえておくと、同テーマの問題に対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、防虫対策が必要だという知識を、すべての開口部にそのまま当てはめてしまう思考の罠にあります。たしかに外気と通じる部分では虫の侵入防止が大切ですが、それぞれの管には役割があり、排水を優先すべき場所にまで防虫網を付けると、かえって機能を損ないます。つまり、防虫という目的だけ見て判断すると誤りやすい問題です。 また、オーバフロー管と水抜き管はどちらも水を外へ出す管なので、同じような構造でよいと考えてしまう人も多いです。しかし、オーバフロー管は非常時の余剰水排出、水抜き管は清掃時の完全排水というように目的が異なります。試験では、このように見た目が似た設備でも用途が違えば必要な構造も変わる、という点がよく狙われます。名称だけで判断せず、何のための管なのかを意識して読むことが正答への近道です。
