【ビル管過去問】令和4年度 問題108|給排水設備の基礎用語 メカニカル継手・逆サイホン作用・ウォータハンマを解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|給水および排水の管理第108問

問題

給水及び排水の管理に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

(1) メカニカル形接合 ――― ねじ込み、溶接、接着等によらない機械的な配管接合方法

(2) スライム障害 ――――― 貯水槽や配管内で細菌類が繁殖し、バイオフィルムが形成されることによる水質劣化の現象

(3) 逆サイホン作用 ―――― 排水管内の正圧により、器具側に封水が吹き出す現象

(4) ウォータハンマ ―――― 弁などを急激に閉止すると著しい圧力上昇が生じ、これが圧力波となって管路内を伝わる現象

(5) クリープ劣化 ――――― 合成樹脂に応力が長時間継続してかかる場合、材料変形が時間とともに進んでいく状態

ビル管過去問|給排水設備の基礎用語 メカニカル継手・逆サイホン作用・ウォータハンマを解説

この問題は、給排水設備でよく使われる基本用語について、定義を正しく理解しているかを問う問題です。正解は(3)で、逆サイホン作用の説明が誤っています。逆サイホン作用は、排水管内が負圧になったときに器具の封水が吸い出される現象です。一方、排水管内の正圧によって封水が器具側へ吹き出す現象は自己サイホン作用ではなく、圧力による破封や吹き出しに関する現象として理解すべきです。ほかの選択肢は、いずれも給排水管理の基本用語として適切な説明です。用語の名前だけで判断せず、どのような圧力状態で、何が起こるのかまで結び付けて覚えることが大切です。

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(1) メカニカル形接合 ――― ねじ込み、溶接、接着等によらない機械的な配管接合方法

適切です。メカニカル形接合とは、配管同士を機械的な構造で接合する方法です。たとえば継手や締付部材、ゴムリングなどを用いて接合する方法がこれに当たります。ねじ込みや溶接、接着のように材料そのものを一体化させる方式とは異なり、施工性や保守性に優れる場合があります。給排水設備では、施工のしやすさや更新時の扱いやすさの観点から重要な接合方法です。名称に惑わされず、機械的な部材でつなぐ方式であることを押さえておくと理解しやすいです。

(2) スライム障害 ――――― 貯水槽や配管内で細菌類が繁殖し、バイオフィルムが形成されることによる水質劣化の現象

適切です。スライム障害は、水中の微生物が配管や槽の内面に付着し、ぬめり状のバイオフィルムを形成することで起こります。これにより水質が悪化したり、配管の閉塞や腐食の促進、衛生面での問題が生じたりします。特に停滞しやすい部分や清掃が不十分な貯水槽では発生しやすくなります。ビル管理では、単に水をためるだけでなく、水が衛生的に保たれているかを管理する必要がありますので、スライムは重要な維持管理上のキーワードです。

(3) 逆サイホン作用 ―――― 排水管内の正圧により、器具側に封水が吹き出す現象

不適切です。逆サイホン作用とは、排水管内に負圧が生じたとき、その影響で器具トラップ内の封水が吸い出される現象です。つまり、本質は正圧ではなく負圧による封水の吸引です。封水が失われると、下水臭や有害ガス、害虫などが室内側へ侵入しやすくなるため、衛生上大きな問題になります。選択肢の説明は、正圧によって封水が吹き出す現象を述べており、逆サイホン作用の定義とは一致しません。この問題では、正圧か負圧かという圧力の向きの違いが正誤判定の決め手です。

(4) ウォータハンマ ―――― 弁などを急激に閉止すると著しい圧力上昇が生じ、これが圧力波となって管路内を伝わる現象

適切です。ウォータハンマは、水が流れている管路で弁を急に閉めたときなどに、水の運動エネルギーが急激に圧力へ変わることで発生します。その結果、ドンという衝撃音が生じたり、管や継手、機器に大きな負担がかかったりします。場合によっては設備の損傷や漏水事故につながることもあります。実務では、急閉止を避けることや、衝撃を和らげる装置を設けることが対策になります。現象の名前だけでなく、急激な流速変化が原因であることを理解しておくことが大切です。

(5) クリープ劣化 ――――― 合成樹脂に応力が長時間継続してかかる場合、材料変形が時間とともに進んでいく状態

適切です。クリープとは、材料に大きすぎない力であっても、それが長時間かかり続けることで少しずつ変形が進む現象です。特に合成樹脂は金属に比べてこの影響を受けやすく、配管や支持部材などで長期使用中に変形が進むことがあります。そのため、樹脂配管では温度条件や支持間隔、荷重のかかり方に注意が必要です。給排水設備では、施工時に問題がなくても、長期間の使用後に変形や接合部への負担が現れることがあるため、材料特性として覚えておくべき重要事項です。

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この問題で覚えるポイント

給排水設備の用語問題では、名称と現象を一対一で正確に結び付けて覚えることが重要です。特に排水トラップの封水に関する問題では、負圧で封水が吸い出されるのが逆サイホン作用であり、正圧で封水が押し上げられたり吹き出したりする現象とは区別して理解する必要があります。試験では、この正圧と負圧の違いが頻繁に問われます。 メカニカル形接合は、ねじ込みや溶接、接着のように材料を一体化する方法ではなく、継手などの機械的構造で接合する方法です。接合方法の分類問題では、何を使って接合するかではなく、どういう原理で接合しているかを見ると整理しやすいです。 スライム障害は、細菌類の繁殖によるバイオフィルム形成が原因で、水質悪化や衛生障害、場合によっては腐食や閉塞にもつながります。単なる汚れではなく、微生物が関与する現象として捉えることが重要です。水槽や配管の衛生管理では、清掃や滞留防止と結び付けて覚えると実務にもつながります。 ウォータハンマは、弁の急閉止などによって流れていた水の運動が急に止められ、圧力波が発生する現象です。発生原因は急激な流速変化であり、結果として衝撃音、振動、配管損傷などを招きます。試験では、急開ではなく急閉止が典型原因として問われやすいです。 クリープ劣化は、合成樹脂などに長時間応力がかかることで、時間の経過とともに変形が進む現象です。材料の強度不足というより、時間依存性のある変形である点がポイントです。樹脂材料の特徴として、腐食しにくい反面、熱や荷重の影響で長期変形しやすいことを押さえておくと、他の材料問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、逆サイホン作用に関する圧力条件の取り違えです。受験者は、封水に異常が起こる現象をまとめて曖昧に覚えてしまいがちで、吸い出されるのか、吹き出すのか、またその原因が負圧なのか正圧なのかを区別できないまま選んでしまいます。問題作成者はそこを狙って、もっともらしい表現で誤った説明を混ぜています。 また、メカニカル形接合のように、名称だけでは具体像が浮かびにくい用語も狙われやすいです。受験者は、ねじ込みも機械で締めるからメカニカルではないかと日常感覚で考えてしまうことがありますが、試験では接合原理による分類が基準です。言葉の印象ではなく、定義そのもので判断する姿勢が必要です。 さらに、スライム障害やクリープ劣化のように、現象名と説明文がどちらももっともらしい選択肢では、普段見聞きするイメージだけで判断すると迷いやすくなります。試験では、一部だけ正しい文章に誤答を紛れ込ませることが多いため、何が原因で、どのような結果が起こるのかまで丁寧に確認することが重要です。今回でいえば、逆サイホン作用は封水異常という点だけを見ると正しく見えますが、圧力条件が誤っているため不正解になります。こうした細部のズレを見抜けるようになると、同テーマの問題に強くなります。

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