出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|空気環境の調整第78問
問題
汚染物質とその濃度又は強さを表す単位との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 二酸化窒素 ――――― ppb
(2) ダニアレルゲン ――― ng/m3
(3) 浮遊真菌 ―――――― CFU/m3
(4) 臭気 ―――――――― cpm
(5) エチルベンゼン ――― μg/m3
ビル管過去問|空気汚染物質の濃度単位 ppb・μg/m3・CFU/m3・ng/m3を解説
この問題は、空気環境で扱う代表的な汚染物質について、何をどの単位で評価するのかを問う問題です。化学物質は体積比や質量濃度で表し、真菌のような微生物は菌数で表す、という基本整理ができているかがポイントです。正解は(4)で、臭気をcpmで表す組合せが不適当です。cpmは放射線計測などで使われる単位であり、臭気の強さや濃度を表す単位ではありません。
(1) 二酸化窒素 ――――― ppb
適切です。二酸化窒素のような気体状汚染物質は、空気中にごく微量存在することが多いため、ppbのような体積比の単位で表されることがあります。ppbは10億分の1を表す単位で、微量なガス濃度の把握に適しています。空気環境分野では、二酸化炭素や一酸化炭素のようにppmで表すものもありますが、二酸化窒素のようなさらに低濃度の物質ではppbが用いられることがあります。気体の濃度は質量濃度のμg/m3で表される場合もあるため、体積比と質量濃度の両方に慣れておくことが大切です。
(2) ダニアレルゲン ――― ng/m3
適切です。ダニアレルゲンは化学物質のような単純な気体ではなく、ダニ由来のアレルゲンタンパク質を対象として評価します。そのため、空気1立方メートル中にどれだけの質量が含まれているかという考え方で、ng/m3のような質量濃度の単位が使われます。ngは10億分の1グラムであり、非常に微量な生体由来物質を扱うのに適した単位です。アレルゲンは目に見えないため感覚的に捉えにくいですが、実際には極めて微量でも健康影響につながることがあるため、このような細かい単位で評価されます。
(3) 浮遊真菌 ―――――― CFU/m3
適切です。浮遊真菌は空気中に浮遊するカビなどの微生物であり、化学物質とは異なり、一般に培養して増殖したコロニー数で評価します。このとき用いられるのがCFU/m3で、Colony Forming Unit per cubic meterの略です。これは空気1立方メートル中に、培養してコロニーを形成できる真菌がどの程度存在するかを示す単位です。微生物は単純に重さだけでは評価しにくいため、菌として増殖可能な数を表すCFU/m3が用いられるのが特徴です。化学物質と微生物で単位が異なることは、試験でよく問われる重要事項です。
(4) 臭気 ―――――――― cpm
不適切です。臭気をcpmで表すのは誤りです。cpmはcounts per minuteの略で、一般に放射線の計数率などを表す際に使われる単位です。臭気は人の嗅覚によって感じるものであり、評価には臭気濃度、臭気指数、あるいは官能試験による強さの区分などが用いられます。つまり、臭気は放射線のように計数するものではありません。この選択肢は、見慣れない単位を無理に結び付けている典型的なひっかけです。単位だけを暗記するのではなく、その対象が何を測っているのかまで理解しておくと、確実に誤りを見抜けます。
(5) エチルベンゼン ――― μg/m3
適切です。エチルベンゼンは揮発性有機化合物の一つで、室内空気汚染物質として扱われます。このような化学物質は、空気中にどれだけの質量が含まれているかを示すμg/m3で表されるのが一般的です。μgは100万分の1グラムであり、室内空気中の化学物質濃度を示すのに適した単位です。ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなども同様にμg/m3で示されることが多いため、VOCや室内汚染物質は質量濃度で整理するという理解を持っておくと、応用が利きます。
この問題で覚えるポイント
空気汚染物質の単位は、何を対象にしているかで整理すると覚えやすくなります。気体状の汚染物質はppmやppbのような体積比で表されることがあり、また室内空気汚染物質ではμg/m3のような質量濃度でも表されます。微生物は重さではなく、培養してコロニーを形成できる数で評価するため、CFU/m3を用います。アレルゲンのような生体由来物質は極微量の質量として扱うため、ng/m3のような単位が使われます。臭気は化学物質の濃度そのものではなく、人の嗅覚による評価が関わるため、臭気濃度や臭気指数などで表される点が重要です。試験では、気体はppbやppm、化学物質はμg/m3、微生物はCFU/m3、微量生体成分はng/m3というように、対象ごとに単位を結び付けて覚えると正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、単位だけを見て何となくそれらしく感じてしまう受験者心理を突いている点にあります。特にcpmのような略号は、見たことがある気がして正しい単位に思えてしまいやすいですが、何を測る単位なのかまで考えると誤りだと分かります。また、化学物質と微生物とアレルゲンをすべて同じ感覚で覚えていると混同しやすくなります。試験では、対象が気体なのか、粒子なのか、微生物なのか、感覚評価なのかをまず見極め、そのうえで対応する単位を選ぶことが大切です。単位の丸暗記ではなく、測定対象と測定方法の組合せで理解しておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
