出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|空気環境の調整第74問
問題
下の図は、送風抵抗と運転点の関係を示している。 この図に関連する、次の文章の( )内に入る語句の組合せとして、最も適当なものはどれか。
送風機の特性曲線は、グラフの横軸に( ア )をとり、縦軸に( イ )をとって表すと曲線Pのようになる。一方、送風系の抵抗曲線は、同じグラフ上に、原点を通る二次曲線Rとして示される。ここで、2曲線の交点Aは、運転点を示している。この時、送風系の( ウ )を操作することで、抵抗曲線はR’に変化し、運転点はBとなる。

(1) ア:圧力 イ:回転数 ウ:インバータ
(2) ア:風量 イ:圧力 ウ:インバータ
(3) ア:圧力 イ:風量 ウ:インバータ
(4) ア:風量 イ:圧力 ウ:ダンパ
(5) ア:圧力 イ:風量 ウ:ダンパ
ビル管過去問|送風機の特性曲線と運転点 ダンパ制御・風量調整を解説
この問題は、送風機の特性曲線と送風系の抵抗曲線の基本的な見方を問うものです。送風機の特性曲線は、一般に横軸に風量、縦軸に圧力をとって表します。また、送風系の抵抗曲線は風量の増加に伴って大きくなり、原点を通る二次曲線として表されます。さらに、ダンパ操作は送風系の抵抗そのものを変化させるため、抵抗曲線が移動し、運転点も変わります。正しい選択肢は、アが風量、イが圧力、ウがダンパである(4)です。図の読み方と、インバータ制御とダンパ制御の違いを整理しておくことが大切です。
(1) ア:圧力 イ:回転数 ウ:インバータ
不適切です。送風機の特性曲線は、通常、横軸に風量、縦軸に圧力をとって表します。圧力を横軸、回転数を縦軸にした表し方は、送風機の標準的な特性曲線の見方ではありません。また、インバータを操作した場合は送風機自体の回転数が変化するため、送風機側の特性曲線が変わるのが基本です。問題文では、抵抗曲線RがR’に変化するとされているので、送風系の抵抗を変える操作であるダンパが該当します。この選択肢は、軸の取り方も制御方法も誤っています。
(2) ア:風量 イ:圧力 ウ:インバータ
不適切です。アとイについては正しく、送風機の特性曲線は横軸に風量、縦軸に圧力をとって表します。しかし、ウが誤りです。インバータは電動機の回転数を変える制御であり、送風機の回転数が変わることで、送風機の特性曲線そのものが別の曲線へ移ります。一方、問題文では送風系の抵抗曲線がRからR’へ変化しています。これは送風機ではなく、ダクト系統側の抵抗が変わったことを意味します。その代表例がダンパ操作です。したがって、この選択肢は制御対象の理解が不十分です。
(3) ア:圧力 イ:風量 ウ:インバータ
不適切です。まず、送風機の特性曲線の横軸と縦軸が逆です。一般には横軸が風量、縦軸が圧力ですので、アとイの組合せが成り立ちません。また、ウにインバータを入れている点も誤りです。インバータ制御では送風機の回転数が変わり、その結果として送風機の発生できる圧力と風量の関係が変化します。つまり、変わるのは送風機特性曲線であって、送風系の抵抗曲線ではありません。この選択肢は、グラフの基本知識と制御方法の区別の両方で誤っています。
(4) ア:風量 イ:圧力 ウ:ダンパ
適切です。送風機の特性曲線は、横軸に風量、縦軸に圧力をとって表すのが基本です。風量が増えると送風機が発生できる圧力は一般に低下するため、右下がりの曲線として表されます。一方、送風系の抵抗曲線は、風量が増えるほど圧力損失が大きくなるため、原点を通る右上がりの二次曲線になります。そして両者の交点が実際の運転点です。ここでダンパを絞ると、ダクト系統の抵抗が増えるため、抵抗曲線は上方へ移動し、運転点は別の位置へ変わります。問題文の説明と一致するため、この選択肢が正解です。
(5) ア:圧力 イ:風量 ウ:ダンパ
不適切です。ダンパを操作すると送風系の抵抗が変化し、抵抗曲線が移動するという考え方自体は正しいです。しかし、アとイが逆になっています。送風機の特性曲線は、一般に横軸が風量、縦軸が圧力です。ここを逆に覚えてしまうと、図を見たときに送風機特性曲線と抵抗曲線の意味が分かりにくくなり、運転点の変化も読み違えやすくなります。ビル管試験では、このような基本的なグラフの軸の取り方を正確に覚えているかがよく問われます。
この問題で覚えるポイント
送風機の特性曲線は、横軸に風量、縦軸に圧力をとって表すのが基本です。送風機では、風量が増えると発生圧力が低下するため、右下がりの曲線になります。これに対して、送風系の抵抗曲線は、風量が増えるほど圧力損失が大きくなるので、原点を通る右上がりの二次曲線になります。両者の交点が運転点であり、その点で実際の風量と圧力が決まります。 ダンパ制御とインバータ制御の違いは頻出です。ダンパ制御は、ダクト系統の抵抗を変える方法なので、抵抗曲線が変化します。一方、インバータ制御は送風機の回転数を変える方法であり、送風機特性曲線そのものが変化します。この違いを整理して覚えることが、正誤判断に直結します。 また、送風系の圧力損失はおおむね風量の二乗に比例します。そのため、抵抗曲線は直線ではなく二次曲線になります。図の問題では、どの曲線が送風機側で、どの曲線が送風系側かを区別できることが重要です。グラフの軸、曲線の形、どの操作でどちらの曲線が動くか、この3点を一緒に覚えると応用問題にも対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、インバータとダンパの役割を混同させる点にあります。どちらも風量調整に使うため、表面的には同じように見えますが、実際には変化させる対象が異なります。ダンパは送風系の抵抗を変え、インバータは送風機の回転数を変えます。この違いを曖昧に覚えていると、抵抗曲線が変わるのか、送風機特性曲線が変わるのかを取り違えてしまいます。 また、横軸と縦軸の取り方を逆にした選択肢も典型的なひっかけです。受験勉強では曲線の形だけを何となく覚えてしまい、横軸が何で縦軸が何かを厳密に覚えていないことがあります。その結果、見覚えのある言葉に引っ張られて誤答しやすくなります。 さらに、一部だけ正しい選択肢にも注意が必要です。たとえば、風量と圧力の組合せは正しくても、制御方法が誤っていれば全体として不正解です。試験では、前半が正しいのでそのまま選んでしまう思考の罠がよくあります。用語を個別に覚えるだけでなく、グラフの意味と制御の仕組みを関連づけて理解することが大切です。
