出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物の構造概論第97問
問題
仕上げ材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 合成高分子材料は、合成樹脂、合成ゴム、合成繊維に大別される。
(2) 断熱材料として用いるグラスウールは、熱伝導率の高い空気の特性を利用している。
(3) しっくいは、消石灰にのり、すさ、水を加えて練った左官材料である。
(4) アスファルトルーフィングは、合成繊維などの原板にアスファルトを含浸、被覆した材料である。
(5) せっこうボードは、耐火性に優れるが、水分や湿気に弱い。
ビル管過去問|建築仕上げ材料 グラスウール・しっくい・せっこうボード・防水材料を解説
この問題は、建築仕上げ材料の基本的な性質と用途を正しく理解しているかを問う問題です。正答は(2)です。グラスウールの断熱性は、熱伝導率の低い空気を内部に閉じ込めることによって得られるため、「熱伝導率の高い空気」とした記述が誤りです。ほかの選択肢は、合成高分子材料の分類、しっくいの材料構成、アスファルトルーフィングの性質、せっこうボードの特徴として適切です。仕上げ材料の問題では、材料の名前だけでなく、どのような性質を利用しているのか、どのような弱点があるのかまで整理して覚えることが大切です。
(1) 合成高分子材料は、合成樹脂、合成ゴム、合成繊維に大別される。
適切です。合成高分子材料とは、人工的に合成された高分子化合物を主成分とする材料の総称です。建築分野では、プラスチック製品や防水材、床材、断熱材、接着剤など幅広い用途で使われています。代表的な分類として、硬さや成形性に優れる合成樹脂、弾性や防水性に優れる合成ゴム、繊維状に加工して補強材やシート類に用いる合成繊維があり、この三つに大別する整理は基本事項です。試験では、材料名を細かく暗記するだけでなく、それぞれがどのような性能を担っているかを関連づけて理解しておくと判断しやすくなります。
(2) 断熱材料として用いるグラスウールは、熱伝導率の高い空気の特性を利用している。
不適切です。グラスウールは、ガラスを繊維状にした材料で、内部に多くの細かな空気層を含んでいます。断熱性能が高い理由は、この内部に閉じ込められた空気が熱を伝えにくいからです。つまり利用しているのは、空気の「熱伝導率の低さ」です。空気が動いてしまうと対流によって熱が移動しやすくなりますが、グラスウールは繊維の間に空気を細かく保持することで、その動きを抑えています。そのため、軽くて熱を通しにくい断熱材として広く用いられています。「空気を含むから断熱する」という理解は正しいのですが、その理由を「熱伝導率が高い」と逆にしてしまうと誤答になりますので注意が必要です。
(3) しっくいは、消石灰にのり、すさ、水を加えて練った左官材料である。
適切です。しっくいは、日本の伝統的な左官材料の一つで、主成分は消石灰です。これにのりを加えて付着性を高め、すさを加えてひび割れを抑え、水で練って施工します。仕上がりは白く美しく、調湿性や防火性にも一定の特徴があります。建築材料の問題では、材料の見た目や用途だけでなく、何を混ぜて作るのかという基本構成が問われることがあります。しっくいは、土やセメント系材料とは異なり、消石灰を主成分とする点が重要です。伝統材料としての知識ですが、試験では現代建築材料と並べて出題されることがあるため、基本事項として押さえておきたいところです。
(4) アスファルトルーフィングは、合成繊維などの原板にアスファルトを含浸、被覆した材料である。
適切です。アスファルトルーフィングは、防水工事で広く用いられるシート状材料です。原板となる基材にアスファルトをしみ込ませ、さらに表面を被覆して防水性を持たせています。基材には有機繊維や合成繊維などが用いられ、これによって引張強さや施工性が確保されます。屋上や地下外壁などの防水層に使われることが多く、防水材料としての代表例の一つです。試験では、防水材料の名称と構成が問われることがあり、単に「アスファルトでできている」と覚えるだけでは不十分です。どのような基材にアスファルトを含浸・被覆しているのかまで理解しておくと、類似材料との区別がしやすくなります。
(5) せっこうボードは、耐火性に優れるが、水分や湿気に弱い。
適切です。せっこうボードは、芯材にせっこうを用い、その両面を紙で包んだ板状材料です。せっこうには結晶水が含まれており、火災時にはこの水分が熱を吸収しながら放出されるため、耐火性に優れています。そのため、壁や天井の下地材として非常に広く使用されています。一方で、通常のせっこうボードは水分や湿気に弱く、吸水すると強度低下や変形の原因になります。このため、水まわりなどでは防水性や耐水性を高めた製品を使い分けます。建築材料では、「長所がある一方で弱点もある」という形で問われやすいため、耐火性と耐水性を混同しないことが大切です。
この問題で覚えるポイント
建築仕上げ材料では、材料の名称と用途だけでなく、どの性質を利用しているかをセットで覚えることが重要です。断熱材は、熱を通しにくい空気を内部に保持することで断熱性を発揮します。特にグラスウールやロックウールのような繊維系断熱材は、空気層を細かく保つことが性能の中心です。ここでは「空気があるから断熱する」という理解に加えて、「空気は熱伝導率が低い」という言い方まで正確に押さえる必要があります。
左官材料では、しっくいが消石灰を主成分とし、のり、すさ、水を加えて練る材料であることが基本です。これに対して、モルタルはセメント、砂、水を主成分とするため、材料構成を混同しないことが大切です。防水材料では、アスファルトルーフィングのように、基材にアスファルトを含浸・被覆して防水性を持たせた材料が代表的です。材料名だけでなく、どういう構造で防水性を得ているかまで理解すると応用が利きます。
せっこうボードは、耐火性に優れる代表的な内装下地材ですが、水分や湿気に弱いという弱点があります。試験では、耐火性に優れるから何にでも強い、と連想してしまうと危険です。このように、建築材料は長所と短所を対比して覚えると、正誤判断がしやすくなります。建築仕上げ材料の分野では、材料の分類、主成分、利用している物性、防水性や耐火性、湿気への弱さといった観点で整理すると、同テーマの問題に対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、日常感覚では見落としやすい専門用語の向きが逆になっている点です。グラスウールは空気を含むから断熱する、という知識だけを曖昧に覚えていると、「熱伝導率の高い空気」という誤った表現でも読み流してしまいやすいです。試験作成者は、このように一見もっともらしく見える文章の中に、性質を逆転させた表現を入れて誤答を誘います。
また、ほかの選択肢がいずれも基本事項として素直な内容なので、受験者は難しく考えすぎて別の選択肢を疑ってしまうことがあります。しかし、この種の問題では、一部だけが誤っている文章を見抜く力が重要です。特に材料問題では、「耐火性に優れる」「防水に使う」「左官材料である」といった大枠だけで判断せず、その理由や成分、利用している性質まで確認する習慣をつけると、同じパターンのひっかけに強くなります。
