出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物の環境衛生第38問
問題
電場、磁場、電磁波に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 電磁波には電波、光、X線、γ線が含まれる。
(2) 可視光線のみが目で確認できる電磁波である。
(3) 地球磁場のような静磁場の曝(ばく)露による健康影響は知られていない。
(4) 静電気は、放電によりガソリンや有機溶剤に発火や爆発を起こす。
(5) 電磁波の周波数が高くなると波長は長くなる。
ビル管過去問|電場・磁場・電磁波 種類と健康影響を解説
この問題は、電磁波の基本性質と、静磁場・静電気の健康影響や危険性を整理して理解しているかを問う問題です。正解は(5)です。電磁波は周波数が高くなるほど波長は短くなるので、「高くなると波長は長くなる」という記述は逆です。ほかの選択肢は、ビル管試験で押さえておきたい基本事項として妥当です。
(1) 電磁波には電波、光、X線、γ線が含まれる。
適切です。電磁波とは、電場と磁場の変化が空間を伝わる波のことで、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線などが含まれます。つまり、電波も光もX線もγ線も、すべて同じ電磁波の仲間として理解しておくことが重要です。
(2) 可視光線のみが目で確認できる電磁波である。
適切です。人の目で見えるのは電磁波のうち可視光線の範囲だけです。電波や赤外線、紫外線、X線なども電磁波ですが、人間の眼はそれらを直接見ることができません。試験では「可視光線は電磁波の一部である」という位置づけを正確に押さえることが大切です。
(3) 地球磁場のような静磁場の曝(ばく)露による健康影響は知られていない。
適切です。地球磁場のような弱い静磁場について、通常の生活環境で明確な健康影響があるとは一般に考えられていません。なお、非常に強い静磁場では、めまい、吐き気、金属味などの一時的な感覚が報告されていますが、これはMRIのような強磁場環境での話であり、地球磁場レベルとは別に考える必要があります。
(4) 静電気は、放電によりガソリンや有機溶剤に発火や爆発を起こす。
適切です。静電気は、液体の移送や攪拌、流動などで電荷がたまり、放電火花を生じることがあります。この火花がガソリンや有機溶剤の可燃性蒸気に着火して、火災や爆発の原因になることがあります。危険物の取扱いで接地や導電性の確保が重視されるのは、このためです。
(5) 電磁波の周波数が高くなると波長は長くなる。
不適切です。電磁波は、波の速さが一定であるため、周波数が高くなるほど波長は短くなります。式でいえば、波長は光速を周波数で割った値です。したがって、「周波数が高くなると波長は長くなる」は逆の関係を述べており誤りです。電波は周波数が低く波長が長い、X線やγ線は周波数が高く波長が短い、という対応で覚えると整理しやすいです。
この問題で覚えるポイント
電磁波は、電波からγ線までを含む広い概念です。その中で人の目に見えるのは可視光線だけです。周波数と波長は逆の関係にあり、周波数が高いほど波長は短くなります。さらに、周波数が高いほどエネルギーも大きくなるため、X線やγ線は短波長で高エネルギーの電磁波として整理できます。静磁場については、地球磁場のような通常レベルで明確な健康影響は一般に問題とされませんが、MRIのような強い静磁場では一時的な感覚影響が起こり得ます。静電気については、人体への軽いショックだけでなく、可燃性蒸気への着火源となる点が実務上重要です。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、周波数と波長の関係を逆に言い換えている点です。受験者は「周波数が高いほど強そうだ」と感覚的に捉えやすいため、波長まで同じ向きに増えると錯覚しやすいです。しかし実際は逆で、ここを機械的に判断できるかが勝負です。また、静磁場についても「電磁波=危険」という日常的なイメージに引っ張られると誤りやすいです。さらに、静電気を単なる軽い痛み程度に捉えていると、危険物への発火・爆発という実務的な危険を見落とします。試験では、日常感覚ではなく、物理の基本関係と衛生管理上の実際の危険性を分けて考えることが重要です。
