【ビル管過去問】令和3年度 問題137|浄化槽の高度処理|リン・窒素・有機物・アンモニア除去法を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|清掃第137問

問題

浄化槽における高度処理で除去対象とする物質とその除去法との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

(1) 浮遊性の有機物質 ――― 急速ろ過法

(2) リン化合物 ―――――― 活性炭吸着法

(3) 溶解性の有機物質 ――― 接触ばっ気法

(4) 窒素化合物 ―――――― 生物学的硝化脱窒法

(5) アンモニア ―――――― イオン交換法

ビル管過去問|浄化槽の高度処理|リン・窒素・有機物・アンモニア除去法を解説

この問題は、浄化槽の高度処理において、どの物質に対してどの処理法が適しているかを問う問題です。高度処理では、通常の生物処理だけでは十分に除去しにくいリンや窒素、微細な浮遊物質などを対象に、目的に応じた追加処理を行います。正答は(2)で、リン化合物の除去法として活性炭吸着法を組み合わせている点が不適当です。活性炭は主に有機物や臭気成分の吸着に用いられ、リンの除去には一般に凝集沈殿法や生物学的脱リン法などが用いられます。処理対象ごとに適した除去法を整理して覚えることが大切です。

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(1) 浮遊性の有機物質 ――― 急速ろ過法

適切です。急速ろ過法は、水中に浮遊している微細な懸濁物質を物理的に除去する方法です。浮遊性の有機物質は、水に溶けずに粒子として存在しているため、ろ材を通過させることで捕捉しやすい性質があります。浄化槽の高度処理では、二次処理水に残る細かなSSやそれに付着した有機物をさらに低減する目的で急速ろ過法が用いられます。したがって、浮遊性の有機物質と急速ろ過法の組合せは適切です。

(2) リン化合物 ―――――― 活性炭吸着法

不適切です。リン化合物の除去には、一般に凝集剤を加えてリンを不溶化し、沈殿やろ過によって除去する方法や、生物学的脱リン法が用いられます。一方、活性炭吸着法は、主として溶解性の有機物、臭気成分、色度成分などを吸着除去するための方法です。活性炭は表面積が大きく吸着能力に優れますが、リン除去を主目的とする代表的な方法ではありません。そのため、この組合せは誤りです。

(3) 溶解性の有機物質 ――― 接触ばっ気法

適切です。接触ばっ気法は、生物膜を付着させた接触材に空気を送り込み、微生物の働きによって有機物を分解する生物処理法です。溶解性の有機物質は水中に溶け込んでいるため、単純な沈殿やろ過では十分に除去しにくいですが、微生物がこれを取り込んで分解することで低減できます。したがって、溶解性の有機物質に対して接触ばっ気法を適用する考え方は適切です。

(4) 窒素化合物 ―――――― 生物学的硝化脱窒法

適切です。窒素化合物の除去では、生物学的硝化脱窒法が代表的です。まず好気条件でアンモニア性窒素を硝化菌が亜硝酸や硝酸へ酸化し、その後、無酸素条件で脱窒菌が硝酸性窒素を窒素ガスに還元して大気中へ放散させます。この一連の反応によって、水中の窒素を効果的に除去できます。高度処理における窒素除去の基本となる方法なので、この組合せは適切です。

(5) アンモニア ―――――― イオン交換法

適切です。イオン交換法は、水中に含まれる特定のイオンを交換樹脂などにより除去する方法で、アンモニウムイオンの除去にも利用できます。浄化槽の高度処理では、生物学的処理が基本ですが、処理水質をさらに高めたい場合や特定成分を選択的に除去したい場合に、物理化学的な方法が補助的に用いられることがあります。アンモニアは水中ではアンモニウムイオンとして存在するため、イオン交換法による除去対象となり得ます。したがって、この組合せは適切です。

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この問題で覚えるポイント

浄化槽の高度処理では、除去したい物質の性質に応じて処理法を使い分けることが重要です。浮遊性物質は沈殿やろ過のような物理的処理が基本であり、溶解性有機物は微生物の分解作用を利用する生物処理が中心になります。リンは代表的には凝集沈殿法や生物学的脱リン法で除去し、窒素は硝化脱窒によって除去します。活性炭吸着法は有機物や臭気成分の除去には有効ですが、リン除去の代表的手法ではない点を区別して覚えることが大切です。また、アンモニアは生物学的には硝化の対象であり、物理化学的にはイオン交換法の対象にもなります。このように、同じ物質でも処理目的や水質条件によって方法が異なることがあります。試験では、浮遊性か溶解性か、生物処理が向くか物理化学的処理が向くかを整理しておくと、正誤判断がしやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、それぞれの処理法が何となく高度で効果が高そうに見えるため、どの物質にも使えそうだと感じてしまう点にあります。特に活性炭吸着法は浄水や排水処理でよく登場するため、リンのような栄養塩類にも効きそうだと思い込みやすいです。しかし、活性炭が得意なのは主に有機物や臭気成分の吸着であり、リン除去の中心的手法ではありません。また、有機物にも浮遊性と溶解性があり、前者はろ過などの物理処理、後者は生物処理が基本になるという区別も狙われやすいポイントです。処理法の名前だけで判断せず、除去対象の性質と処理の原理を結びつけて考えることが、今後の類題対策でも重要です。

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