【ビル管過去問】令和3年度 問題66|空調熱源方式の比較|地域冷暖房・蓄熱・コージェネレーションを解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|空気環境の調整第66問

問題

空気調和設備の熱源方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 地域冷暖房システムでは、個別熱源システムに比べて、一般に環境負荷は増加する。

(2) 蓄熱システムは、電力負荷平準化、熱源装置容量削減に効果がある。

(3) 電動冷凍機とボイラを組み合わせる方式は、夏期に電力消費量がピークとなる。

(4) 直焚吸収冷温水機は、1台の機器で冷水のみ又は湯水のみだけでなく、これらを同時に製造することができる。

(5) 電力需要を主として運転するコージェネレーション方式では、空気調和やその他の熱需要に追従できない場合がある。

ビル管過去問|空調熱源方式の比較|地域冷暖房・蓄熱・コージェネレーションを解説

この問題は、空気調和設備で用いられる代表的な熱源方式の特徴を比較し、それぞれの長所と制約を理解しているかを問う問題です。熱源方式は、省エネルギー性、環境負荷、運転コスト、電力需要への影響などを総合的に見て判断する必要があります。正答は(1)です。地域冷暖房システムは、一般に個別熱源よりも高効率な大規模設備を採用しやすく、排熱利用や集中管理もしやすいため、環境負荷の低減に寄与することが多いです。一方で、蓄熱システム、電動冷凍機とボイラの組合せ、直焚吸収冷温水機、コージェネレーション方式には、それぞれ典型的な特徴があり、正しく整理して覚えることが大切です。

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(1) 地域冷暖房システムでは、個別熱源システムに比べて、一般に環境負荷は増加する。

不適切です。その理由は、地域冷暖房システムは複数の建物に対して熱をまとめて供給する方式であり、大規模で効率の高い熱源機器を導入しやすく、運転管理も集中できるため、一般に省エネルギー化や環境負荷低減に有利だからです。さらに、未利用エネルギーや排熱の活用が可能になる場合もあり、個別に小型設備を各建物へ設置するよりも、燃料使用量や二酸化炭素排出量を抑えやすい傾向があります。もちろん、配管による熱損失や初期投資などの課題はありますが、「一般に環境負荷は増加する」という表現は逆です。このため、この選択肢が最も不適当です。

(2) 蓄熱システムは、電力負荷平準化、熱源装置容量削減に効果がある。

適切です。その理由は、蓄熱システムは夜間など電力需要の少ない時間帯に冷熱や温熱を蓄え、昼間の空調負荷が大きい時間帯にその熱を利用する仕組みだからです。これにより、昼間の電力ピークを抑えることができ、電力負荷の平準化に役立ちます。また、最大負荷時の一部を蓄熱でまかなえるため、熱源装置そのものを最大負荷ぴったりの大きさにしなくてもよくなり、結果として熱源装置容量を小さくできる場合があります。ビル管では、蓄熱の代表的な効果として「ピークカット」「ピークシフト」「設備容量の縮小」をセットで押さえておくと得点しやすいです。

(3) 電動冷凍機とボイラを組み合わせる方式は、夏期に電力消費量がピークとなる。

適切です。その理由は、この方式では冷房時に主として電動冷凍機を使用するため、冷房負荷が大きい夏期に電力消費が増えやすいからです。一方、暖房時はボイラで温水や蒸気をつくるため、冬期は燃料消費の比重が高くなります。つまり、この方式は夏に電力需要が集中しやすい熱源構成だといえます。試験では、冷房は電力、暖房は燃料という役割分担を整理できているかが問われやすいです。冷房負荷が大きい建物では、夏季の受電設備への影響も考慮されるため、この記述は妥当です。

(4) 直焚吸収冷温水機は、1台の機器で冷水のみ又は湯水のみだけでなく、これらを同時に製造することができる。

適切です。その理由は、直焚吸収冷温水機はガスや油などを燃料として駆動し、冷房時には冷水、暖房時には温水を供給できる機器であり、機種によっては冷水と温水を同時に取り出せるものもあるからです。このため、季節や用途に応じて柔軟に対応しやすいという特徴があります。とくに中間期や、建物内で冷房と暖房の要求が同時に発生する場合には、このような機能が有効です。吸収式は電動冷凍機に比べて電力消費を抑えやすい一方、燃焼設備を伴う点や部分負荷効率などもあわせて理解しておくと、比較問題に対応しやすくなります。

(5) 電力需要を主として運転するコージェネレーション方式では、空気調和やその他の熱需要に追従できない場合がある。

適切です。その理由は、コージェネレーションは発電と同時に排熱も利用する方式ですが、運転の基準を電力需要に置くか、熱需要に置くかによって使い方が変わるからです。もし電力需要を優先して運転すると、発生する排熱量がその時の空調や給湯などの熱需要と一致しないことがあります。その結果、熱が余ったり、逆に不足したりして、熱需要に十分追従できない場合があります。コージェネレーションは総合エネルギー効率の高い方式ですが、電気と熱を同時に生み出すという性質上、両者の需要バランスが重要です。この仕組みを理解すると、問題文の意味がつかみやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

空調熱源方式では、それぞれの方式が何をエネルギー源とし、どの需要に強く、どこに制約があるかを整理して覚えることが重要です。地域冷暖房は、大規模集中による高効率運転、保守管理の集約化、未利用エネルギー活用などにより、一般に個別熱源より環境負荷低減に有利です。ただし、配管熱損失や導入コストは別の論点として存在します。蓄熱システムは、夜間電力の活用によるピークシフト、昼間ピークの抑制によるピークカット、さらに熱源容量の低減が重要なポイントです。電動冷凍機とボイラの組合せは、冷房時に電力、暖房時に燃料を主として用いる典型的な構成であり、夏期の電力ピークが生じやすいことを押さえます。直焚吸収冷温水機は、燃料を使って冷温水をつくる方式で、冷房と暖房の両方に対応でき、機種によっては冷水と温水の同時供給も可能です。コージェネレーションは、発電時の排熱を有効利用することで総合効率を高める方式ですが、電力需要主導か熱需要主導かで運転特性が異なり、片方を優先するともう片方に追従しにくいことがあります。試験では、省エネルギー性、環境負荷、ピーク電力、熱と電気の需給バランスという観点で比較できるようにしておくと強いです。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、環境負荷が小さいとされる方式を、あえて逆の表現で示している点にあります。地域冷暖房は「大規模だから損失も多そうだ」という日常感覚で読むと、環境負荷が増えそうに思えてしまいますが、試験では個別熱源との総合比較で考える必要があります。また、各方式には長所と短所が混在しているため、一部だけ正しい知識をもとに全文を正しいと誤認しやすいのも罠です。たとえば、コージェネレーションは高効率という印象だけで覚えていると、熱需要に追従しにくい場合があるという制約を見落としやすくなります。蓄熱も、省エネ設備という理解だけでは不十分で、電力負荷平準化や装置容量削減まで結びつけて覚えていないと判断を誤ります。こうした問題では、「その方式の代表的なメリット」と「運用上の制約」を必ず対にして整理することが、ひっかけ回避のコツです。

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