出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|空気環境の調整第48問
問題
建築材料表面(白色プラスター、アスファルト、新しい亜鉛鉄板、光ったアルミ箔)の長波長放射率と日射吸収率の関係を下の図中に示している。
最も適当なものはどれか。

(1) A:白色プラスター B:アスファルト C:光ったアルミ箔 D:新しい亜鉛鉄板
(2) A:光ったアルミ箔 B:新しい亜鉛鉄板 C:白色プラスター D:アスファルト
(3) A:白色プラスター B:アスファルト C:新しい亜鉛鉄板 D:光ったアルミ箔
(4) A:アスファルト B:白色プラスター C:新しい亜鉛鉄板 D:光ったアルミ箔
(5) A:新しい亜鉛鉄板 B:光ったアルミ箔 C:白色プラスター D:アスファルト
ビル管過去問|建築材料の長波長放射率と日射吸収率を解説
この問題は、建築材料の表面が長波長放射をどの程度放出しやすいかを示す長波長放射率と、太陽光をどの程度吸収しやすいかを示す日射吸収率の組合せを判断する問題です。正しい選択肢は(1)です。白色プラスターは放射率が高く日射吸収率は比較的低めであり、アスファルトは放射率も日射吸収率も高い材料です。一方、光ったアルミ箔は金属光沢を持つため放射率も日射吸収率も非常に低く、新しい亜鉛鉄板はその中間に位置します。表面の色だけでなく、金属か非金属か、光沢があるかどうかに注目すると正答しやすくなります。
(1) A:白色プラスター B:アスファルト C:光ったアルミ箔 D:新しい亜鉛鉄板
適切です。白色プラスターは非金属で表面の放射率が高く、熱を長波長放射として放出しやすい材料です。ただし白色であるため、日射に対しては黒色材料ほど吸収しません。アスファルトは黒っぽい表面で日射を強く吸収し、しかも非金属系材料として放射率も高いので、日射吸収率と長波長放射率の両方が高い側に位置します。光ったアルミ箔は金属で光沢が強く、太陽光もあまり吸収せず、長波長放射も出しにくいので、両方とも低い側に位置します。新しい亜鉛鉄板は金属材料であり、光ったアルミ箔ほど極端ではないものの、一般に放射率も日射吸収率も低めから中程度で、4材料の中では中間的な位置になります。したがって、この対応関係が最も適当です。
(2) A:光ったアルミ箔 B:新しい亜鉛鉄板 C:白色プラスター D:アスファルト
不適切です。光ったアルミ箔をAに置くと、図のAが高い放射率側にある場合に整合しなくなります。光ったアルミ箔は金属光沢面の代表例であり、長波長放射率が非常に低い材料です。また日射吸収率も低く、熱を受けにくい性質があります。逆にアスファルトは黒色系で日射をよく吸収し、放射率も高いので、もっと高い側に置かれるべき材料です。白色プラスターも放射率は高めであり、金属材料より低放射率側に置くのは不自然です。材料ごとの典型的な熱放射特性と一致しないため誤りです。
(3) A:白色プラスター B:アスファルト C:新しい亜鉛鉄板 D:光ったアルミ箔
不適切です。この選択肢はAとBの並びは一見もっともらしいのですが、CとDの配置が逆です。新しい亜鉛鉄板と光ったアルミ箔を比べると、光ったアルミ箔のほうが金属光沢が強く、長波長放射率も日射吸収率もより低くなります。新しい亜鉛鉄板も金属なので低めではありますが、光ったアルミ箔ほど極端に低いとはいえません。したがって、図の中で最も低い領域に置くべきなのは光ったアルミ箔です。この順序を取り違えると誤答になります。
(4) A:アスファルト B:白色プラスター C:新しい亜鉛鉄板 D:光ったアルミ箔
不適切です。アスファルトと白色プラスターを入れ替えている点が誤りです。アスファルトは黒色で日射吸収率が高く、強く日射を受けて温まりやすい材料です。白色プラスターも放射率は高いですが、白色であるため日射の吸収はアスファルトほど大きくありません。つまり、両者は放射率がともに高めでも、日射吸収率に差があります。この違いを無視してアスファルトと白色プラスターの位置を逆にすると、図の関係と合わなくなります。
(5) A:新しい亜鉛鉄板 B:光ったアルミ箔 C:白色プラスター D:アスファルト
不適切です。新しい亜鉛鉄板をAに、光ったアルミ箔をBに置く配置は、両者の差を正しく反映していません。光ったアルミ箔は4材料の中でも特に放射率が低く、日射吸収率も低い代表的な材料です。新しい亜鉛鉄板は金属材料であるため低めではありますが、光ったアルミ箔ほど低いとは限りません。また白色プラスターとアスファルトは非金属系として放射率が高い側に位置しますが、日射吸収率ではアスファルトのほうが高いのが基本です。この選択肢は全体の並び方に無理があり、最も適当とはいえません。
この問題で覚えるポイント
長波長放射率とは、材料表面が熱を赤外線として放射しやすい程度を示す値です。値が大きいほど熱を放射しやすくなります。日射吸収率とは、太陽からの短波長放射をどれだけ吸収するかを示す値です。値が大きいほど日射を受けて温まりやすくなります。非金属でざらついた表面や塗装面は、一般に長波長放射率が高い傾向があります。これに対し、金属光沢のある面は長波長放射率が低く、熱を放射しにくい性質があります。日射吸収率は色の影響を強く受け、黒色や濃色は高く、白色や淡色は低くなるのが原則です。したがって、黒色のアスファルトは日射吸収率が高く、白色プラスターはそれより低くなります。また、光ったアルミ箔のような金属光沢面は日射の反射が大きく、日射吸収率も低くなります。試験では、黒い材料は吸収しやすい、光った金属は吸収も放射もしにくい、白い非金属は放射率は高いが吸収率は黒色材ほど高くない、という整理ができると対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題でひっかかりやすいのは、白い材料は熱を反射しやすいから放射率も低いはずだ、と短絡的に考えてしまうことです。しかし、日射吸収率と長波長放射率は同じ意味ではありません。白色プラスターは日射をあまり吸収しない一方で、長波長放射率は高い材料です。逆に、金属は見た目が明るいから日射だけ反射するのではなく、長波長放射も出しにくいという点が重要です。もう一つの罠は、金属材料同士の違いを無視してしまうことです。新しい亜鉛鉄板と光ったアルミ箔はどちらも低めですが、光ったアルミ箔のほうがより極端に低い代表例です。色だけで判断せず、材料の種類と表面状態まで含めて考えることが正答への近道です。
