【ビル管過去問】令和3年度 問題18|大気汚染防止法の目的|VOC・水銀・自動車排出ガス規制を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物衛生行政概論第18問

問題

大気汚染防止法第1条の目的に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 排出ガスに係るダイオキシン類の量について許容限度を定める。

(2) 揮発性有機化合物の排出等を規制する。

(3) 有害大気汚染物質対策の実施を推進する。

(4) 自動車排出ガスに係る許容限度を定める。

(5) 水銀等の排出を規制する。

ビル管過去問|大気汚染防止法の目的|VOC・水銀・自動車排出ガス規制を解説

この問題は、大気汚染防止法第1条に定められている目的の内容を正しく理解しているかを問う問題です。大気汚染防止法は、ばい煙や揮発性有機化合物、水銀などの排出規制や、有害大気汚染物質対策の推進を通じて、国民の健康を保護し、生活環境を保全することを目的としています。一方で、ダイオキシン類については大気汚染防止法でも一定の規制がありますが、第1条の目的としては「排出ガスに係るダイオキシン類の量について許容限度を定める」といった表現は適切ではありません。したがって、誤っているのは(1)です。他の選択肢は、いずれも大気汚染防止法第1条の目的に含まれる内容として適切です。

下に移動する

(1) 排出ガスに係るダイオキシン類の量について許容限度を定める。

不適切です。その理由は、大気汚染防止法第1条は、工場や事業場から排出されるばい煙や揮発性有機化合物などを規制し、有害大気汚染物質対策を推進することで、国民の健康を保護し、生活環境を保全することを目的としているからです。ダイオキシン類については、廃棄物焼却炉などからの排出規制が関係してきますが、第1条の目的の条文では「排出ガスに係るダイオキシン類の量について許容限度を定める」という形では整理されていません。この選択肢は、実際の規制内容の一部を、目的条文の表現であるかのように言い換えている点が誤りです。目的条文では、法律全体のねらいが抽象的かつ包括的に示されることが多く、個別の規制手法をそのまま書くとは限らないことを押さえておくことが大切です。

(2) 揮発性有機化合物の排出等を規制する。

適切です。その理由は、大気汚染防止法の目的には、揮発性有機化合物、いわゆるVOCの排出等の規制が含まれているからです。VOCは、塗装、印刷、洗浄、化学製品の製造など幅広い場面で発生し、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因物質の一つになります。そのため、VOCの排出を抑えることは、大気環境の改善につながります。大気汚染防止法は、こうした物質による大気汚染を防ぐための基本的な枠組みを担っており、この選択肢は第1条の目的に沿った内容です。受験対策としては、ばい煙だけでなくVOCも大気汚染防止法の重要な規制対象であることを確実に覚えておくとよいです。

(3) 有害大気汚染物質対策の実施を推進する。

適切です。その理由は、大気汚染防止法第1条には、有害大気汚染物質対策の実施を推進することが含まれているからです。有害大気汚染物質とは、低濃度であっても長期的なばく露により健康影響が懸念される物質のことです。すべてを一律に排出基準で管理するのではなく、科学的知見を踏まえながら対策を進めていく必要があります。そこで法律の目的として、単に規制するだけでなく、対策の実施を推進するという考え方が示されています。この表現は、現代の環境法規に見られる特徴でもあり、健康被害の未然防止という観点から非常に重要です。

(4) 自動車排出ガスに係る許容限度を定める。

適切です。その理由は、大気汚染防止法の目的には、自動車排出ガスに係る許容限度を定めることが含まれているからです。工場や事業場だけでなく、自動車も大気汚染の重要な発生源です。特に窒素酸化物や一酸化炭素、粒子状物質などは、自動車交通の多い地域で大気環境に大きな影響を与えます。そのため、大気汚染防止法では自動車排出ガスについても対象とし、その許容限度を定めることで大気汚染の防止を図っています。建築物衛生行政概論では、固定発生源だけでなく移動発生源も視野に入れて法律の目的を理解することが重要です。

(5) 水銀等の排出を規制する。

適切です。その理由は、大気汚染防止法の目的には、水銀等の排出の規制が含まれているからです。水銀は大気中に排出されると広範囲に拡散し、環境中を循環しながら人や生態系に影響を及ぼすおそれがあります。そのため、国際的な水銀対策の流れも踏まえて、国内法でも排出規制が整備されています。大気汚染防止法は、従来のばい煙規制に加え、こうした新たな環境課題にも対応してきました。この選択肢は、法律の目的として現在の制度趣旨に合致しています。試験では、近年追加・強化された規制対象が問われることもあるため、水銀が対象に含まれる点はしっかり押さえておきたいところです。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

大気汚染防止法の目的は、工場や事業場から排出されるばい煙や揮発性有機化合物の排出等を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、自動車排出ガスに係る許容限度を定め、水銀等の排出を規制することなどにより、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することにあります。ここで重要なのは、法律の目的条文では、個別の細かな規制内容を列挙するというより、法律全体の方向性を示している点です。したがって、実際に規制対象となる物質や施設を知っていても、それをそのまま目的条文の文言と混同しないことが大切です。試験対策としては、ばい煙、VOC、有害大気汚染物質、自動車排出ガス、水銀という主要キーワードを一つのまとまりとして整理して覚えると効果的です。また、ダイオキシン類のように関連法令や個別規制で扱われる内容が、大気汚染防止法の目的そのものと同じとは限らない点も重要です。目的、定義、規制対象、基準のそれぞれを分けて整理することが、正誤判断に直結します。

下に移動する

ひっかけポイント

この問題のひっかけは、実際に規制されている内容と、第1条の目的条文に書かれている内容を混同させるところにあります。受験者は、ダイオキシン類が大気環境問題に関係することを知っているため、「大気汚染防止法の目的にも当然入っていそうだ」と考えてしまいやすいです。しかし、法律問題では、現実に規制対象であることと、目的条文にどのように表現されているかは別問題です。つまり、一部だけ正しい知識をもとに、条文表現まで正しいと思い込んでしまう思考の罠が仕掛けられています。このタイプの問題では、「その内容が一般論として正しいか」ではなく、「第1条の目的として適切な表現か」という視点で読むことが大切です。法律の目的条文、定義条文、規制条文を区別して読む習慣をつけると、同じようなひっかけに強くなれます。

次の問題へ