【ビル管過去問】令和3年度 問題36|情報機器作業の労働衛生|VDT作業・照度基準・眼精疲労対策を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物の環境衛生第36問

問題

情報機器作業に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 作業者の健康に関する調査で、最も多い自覚症状は眼の症状である。

(2) ディスプレイのグレア防止には、直接照明を用いる。

(3) 書類上及びキーボード上における照度は300 lx以上が推奨される。

(4) ディスプレイ画面上における照度は500 lx以下が推奨される。

(5) ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと、周囲の明るさとの差は、なるべく小さくする。

ビル管過去問|情報機器作業の労働衛生|VDT作業・照度基準・眼精疲労対策を解説

この問題は、情報機器作業における労働衛生管理の基本事項を問う問題です。とくに重要なのは、照度の基準値、グレア防止の方法、そして作業者に多い自覚症状の傾向です。情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインでは、ディスプレイ画面上の照度は500 lx以下、書類上及びキーボード上の照度は300 lx以上とされ、さらにグレア防止には間接照明等の使用が示されています。したがって、不適当なのは「直接照明を用いる」としたものです。正しい整理としては、眼の症状は多くみられる自覚症状であり、照度基準や明るさの差を小さくする考え方も適切です。

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(1) 作業者の健康に関する調査で、最も多い自覚症状は眼の症状である。

適切です。情報機器作業では、長時間にわたって画面を見続けるため、眼の疲れ、乾き、かすみなどの眼に関する症状が生じやすいことが知られています。このため、作業環境の整備では、単に机や椅子の配置だけでなく、視環境を整えることが非常に重要です。本選択肢は、情報機器作業で現れやすい健康影響の特徴を押さえた記述として妥当です。なお、ガイドラインでも、作業者の心身の負担軽減のために、照明、グレア防止、休憩などの管理が求められています。

(2) ディスプレイのグレア防止には、直接照明を用いる。

不適切です。グレアとは、画面への映り込みやまぶしさによって、文字や画像が見えにくくなり、眼の負担が増す状態をいいます。情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインでは、グレア防止のための措置として、画面の角度調整、反射防止型ディスプレイの使用、そして間接照明等のグレア防止用照明器具の使用が示されています。つまり、グレア防止の方向性は、光を直接当てることではなく、反射やまぶしさを抑えることにあります。したがって、「直接照明を用いる」という記述は逆の内容であり、誤りです。

(3) 書類上及びキーボード上における照度は300 lx以上が推奨される。

適切です。情報機器作業では、画面だけでなく、書類やキーボードも視認しやすい明るさが必要です。ガイドラインでは、ディスプレイを用いる場合、書類上及びキーボード上における照度は300 lx以上とすることが示されています。暗すぎると文字が読みづらくなり、姿勢の崩れや眼精疲労の原因になります。そのため、この数値は試験でそのまま問われやすい重要な基準です。

(4) ディスプレイ画面上における照度は500 lx以下が推奨される。

適切です。ディスプレイ画面は、明るすぎても見やすくなるとは限りません。むしろ過度の照明は、映り込みや反射を招き、視認性を悪化させることがあります。そのため、ガイドラインでは、ディスプレイ画面上における照度は500 lx以下とすることが示されています。書類面の基準と逆になりやすいため混同しやすいですが、画面は上限、書類とキーボードは下限で覚えることが大切です。

(5) ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと、周囲の明るさとの差は、なるべく小さくする。

適切です。画面、書類、キーボード、周囲環境の明るさに大きな差があると、視線を移すたびに眼が明るさの変化へ適応しなければならず、疲労が増えやすくなります。そのため、ガイドラインでも、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさとの差は、なるべく小さくすることが示されています。この選択肢は、眼精疲労を防ぐための基本的な考え方を正しく述べたものです。

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この問題で覚えるポイント

情報機器作業では、視環境の調整が最重要です。まず数値として、書類上及びキーボード上の照度は300 lx以上、ディスプレイ画面上の照度は500 lx以下を確実に覚える必要があります。ここでは、書類やキーボードは「暗すぎてはいけない」ため下限で示され、ディスプレイ画面は「明るすぎてはいけない」ため上限で示される点が重要です。さらに、画面と周囲、書類面などの明るさの差はなるべく小さくします。これは眼の順応負担を減らし、眼精疲労を防ぐためです。グレア対策としては、画面の向きや傾きの調整、反射防止型ディスプレイの使用、間接照明等の採用が基本であり、直接照明で画面を照らす考え方は誤りです。試験では、照度の数値、上限と下限の違い、グレア防止の具体策が頻出です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「明るくすれば見やすいはずだ」という日常感覚をそのまま当てはめてしまう点にあります。実際には、ディスプレイ作業では単純に明るければよいわけではなく、画面への映り込みやまぶしさを抑えることが重要です。そのため、グレア防止では直接照明ではなく、間接照明等が用いられます。また、書類面の300 lx以上と、画面上の500 lx以下は、数値だけを曖昧に覚えていると簡単に逆転してしまいます。さらに、「一部は正しそうだが肝心な方向性が逆」という選択肢が典型的な罠です。今後も、照度基準では「どこを測るのか」「下限なのか上限なのか」「何を防ぐための基準なのか」までセットで整理すると、同種の問題に強くなります。

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