出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|給水および排水の管理第107問
問題
給水及び排水に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 阻集器-排水管を閉塞する異物を分離·収集するための設備
(2) 逃し通気管-排水系統内の下水ガスによる臭気を除去するための管
(3) 膨張管-給湯配管系統の安全装置
(4) 水封式トラップ-封水によって排水管内の悪臭などが室内に侵入することを防止する装置
(5) FRP-ガラス繊維で補強したプラスチック
ビル管過去問|給水排水用語を解説
この問題は、給水及び排水設備で使われる基本用語と、その役割を正しく対応させられるかを問う問題です。(2)が不適切です。逃し通気管は臭気を除去するための管ではなく、排水管内の圧力変動を緩和し、トラップの封水を保護するために設けられる通気管です。

(1) 阻集器-排水管を閉塞する異物を分離·収集するための設備
適切です。阻集器は、排水中に含まれる油脂、砂、毛髪、固形物などを排水管へ流入する前に分離し、収集するための設備です。たとえば厨房ではグリース阻集器によって油脂分を取り除き、美容室などでは毛髪を捕集する設備が用いられます。これらの異物がそのまま排水管に流れると、管内に付着したり堆積したりして、排水不良や詰まりの原因になります。そのため、阻集器は排水設備を正常に保つための重要な設備です。
(2) 逃し通気管-排水系統内の下水ガスによる臭気を除去するための管
不適切です。逃し通気管は、下水ガスによる臭気を除去するための管ではありません。主な役割は、排水管内の圧力変動を緩和し、トラップの封水が破られるのを防ぐことです。排水が流れると排水管内に負圧や正圧が生じることがあり、その影響で封水が吸い出されたり、押し出されたりすることがあります。封水が失われると、排水管内の悪臭や害虫が室内へ侵入する原因になります。つまり、逃し通気管は臭気そのものを除去する設備ではなく、臭気の侵入を防ぐために封水を保護する通気設備と理解するとよいです。
(3) 膨張管-給湯配管系統の安全装置
適切です。膨張管は、給湯配管系統において水の温度上昇による体積膨張を逃がすための安全装置です。水は加熱されると膨張するため、密閉された配管内では圧力が上昇します。この圧力上昇を放置すると、配管や機器に過大な負担がかかり、破損や漏水につながるおそれがあります。膨張管は、このような圧力上昇を安全に逃がす役割を持つため、給湯設備の安全確保に関係する装置です。
(4) 水封式トラップ-封水によって排水管内の悪臭などが室内に侵入することを防止する装置
適切です。水封式トラップは、器具と排水管の間に水をため、その水によって排水管内の悪臭や害虫、ガスなどが室内へ侵入するのを防ぐ装置です。このための水を封水といいます。洗面器、流し台、便器などの排水部分には、一般にトラップが設けられています。ただし、封水は蒸発、自己サイホン作用、誘導サイホン作用、はね出し作用などによって失われることがあるため、通気管によって圧力変動を抑えることが重要です。
(5) FRP-ガラス繊維で補強したプラスチック
適切です。FRPは、Fiber Reinforced Plasticsの略で、繊維強化プラスチックを意味します。建築設備分野では、ガラス繊維で補強したプラスチックとして用いられることが多く、軽量で強度があり、耐食性にも優れています。水槽、浴槽、配管関連部材などに使用されることがあります。単なるプラスチックではなく、繊維で補強されている点が特徴です。
この問題で覚えるポイント
給水排水設備の用語問題では、名称の印象だけで判断せず、その設備が何を防ぐためのものかを押さえることが大切です。阻集器は排水中の異物を分離、収集し、排水管の閉塞を防ぐ設備です。水封式トラップは封水によって悪臭や害虫の侵入を防ぐ装置です。通気管は臭気を取り除くためのものではなく、排水管内の圧力変動を調整し、トラップの封水を守るためのものです。給湯設備では、水の加熱による膨張で圧力が上がるため、膨張管などの安全装置が重要になります。FRPはガラス繊維などで補強されたプラスチックであり、軽量性、強度、耐食性を持つ材料として覚えておくとよいです。特に、臭気を防ぐ役割はトラップと封水、封水を守る役割は通気管という関係を整理しておくと、同じテーマの問題に対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、逃し通気管を「臭気を除去するための管」と説明している点です。通気という言葉から、空気を入れ替えて臭気を排出するようなイメージを持つと誤答しやすくなります。しかし、排水設備における通気管の本質は、臭気の除去ではなく圧力調整です。排水管内の圧力変動を抑えることで、トラップの封水を保護し、結果として臭気の侵入を防ぎます。このように、最終的な効果だけを見ると一部は正しそうに見えても、直接の目的が違う場合は不適切になります。ビル管試験では、「悪臭を防ぐ」「圧力を調整する」「異物を分離する」など、似た目的に見える設備を混同させる問題がよく出ます。用語の説明では、設備の直接的な役割まで確認することが大切です。